第8話 日向の思いと湊の未練?
一週間の予定が決まり、僕は日向ちゃんに割り当てられた部屋のベッドに横になっていた。
そう言えば、スマホの電源を今まで入れていなかったことを思い出して電源を入れる。すると、日向と隆介からメッセージが入っていることが分かった。
二人には本当に心配をかけたみたいだ。
「僕は友人に恵まれてるな」
小雪さんも僕の事を心配してくれているようだったし。
今日が月曜日だから今週の日曜日まで、時間が生まれたわけだ。
日向と過ごすのには変わりないけど、隆介と話もしたい。
学校終わりに家に来てもらおうか。
「メッセージ送っておこう」
僕は隆介に心配をかけたことに対する謝罪と、今度話がしたいから家に来てくれないかとメッセージを送った。
すると、すぐに返信が来て明日の学校終わりにうちに来てくれることになった。
流石に日向の家に呼ぶわけにはいかないので、隆介が来たときは事情を話して隣の僕の家で話をすることにしよう。
「そういえば、会長は元気してるかな」
僕は一応、生徒会に所属している。
生徒会のみんなも、僕が浮気をした最低な男だと思っているんだろうか。
不安になってスマホの画面を確認してみるけど、生徒会メンバーからは何も連絡が来ていない。
だけど、他の人たちは僕に悪口を送ってブロックしていたけど、それもしていなかった。
「どう思われてるんだろ」
不安になるけど、それを今考えても益のないことだと割り切って思考から追い出す。
そして、スマホをベッドの上に置いてそのまま仰向けになって目を瞑る。
疲れもあってか、すぐに眠気が襲ってきて僕はそのまま眠りに落ちた。
【日向視点】
「ねえ、お姉ちゃん」
「どうしたの? ひなちゃん」
「学校側の対応って実際どんな感じだったの?」
「基本的に隠ぺいしようとしている感じだったけど。私がすぐに問題にしたら、逆に早期解決に向けて動き出してくれたよ」
流石お姉ちゃんだ。
そう言うところの駆け引きとかがとんでもなくうまい。
でも、やっぱり隠ぺいしようとしてたのか。
学校側も完全に信用できるってわけじゃないんだな。
「本当にありがとう」
「ひなちゃんにお礼を言われるようなことじゃないよ。湊は私にとっても弟みたいな存在だからね。しっかりあの子を貶めた連中には報いを受けさせる気だよ」
「うん。私も協力するから」
もし、あの時に私が屋上にたどり着いていなかったら?
後少しでも屋上に行くのが遅れていたら?
そう考えると背筋が冷たくなるのを感じる。
「ダメだ。こういう問題に学生であるひなちゃんを巻き込むわけにはいかない」
「……でも」
「大丈夫。ちゃんと湊の立場が回復するように私が動くから。ひなちゃんは湊に寄り添ってあげて。彼もああ見えて結構堪えてるだろうから」
「わかった」
お姉ちゃんが動いてくれるなら、安心できる。
私は心置きなく湊くんを慰めることにしよう。
「うん。そういうわけだから今週は湊とゆっくりしなよ」
「ありがとう! お姉ちゃん」
私はお姉ちゃんにお礼を言ってから、湊くんの部屋に行く。
ノックをしてみるけど、返事がない。
今の時間は夜の九時だけど、こんな時間に寝てるとは思えないから扉を開けてみる。
「湊くん?」
返事がないと、どうしても屋上のことを思い出して不安になってしまう。
扉を開けてみると、部屋に電気はついていなかった。
部屋の中を見渡してみると、ベッドの上で湊くんが少し苦しそうにしながら寝息を立てていた。
「湊くん、大丈夫だよ。一人じゃないから」
うなされている湊くんの手を握る。
私の手よりも一回り大きくて、男の子っぽい手。
手を握っていると、さっきまで苦しそうな表情をしていた湊くんの表情が和らいだ。
「ふふっ寝てる顔は可愛いね」
いつもは凛としているように見える湊くんの顔だけど、こうやって眠っているときはあどけなさのようなものが残っていて、可愛く見える、
この顔を湊くんは元カノにも見せていたんだろうか。
だとしたら、ちょっと嫌だな。
「こんどはあんな女に引っかかったらダメだよ」
寝ている彼の頬をツンツンしながらそう言ってみるけど。
きっと聞こえていない。
というか、聞かれてたらちょっと困る。
恥ずかしいし。
【日向視点終了】
「ん、ふあぁ」
目が覚めると、最近は見慣れつつある天井が目に入る。
今日は火曜日だけど、僕の場合は学校に行かなくていいことになっている。
まあ、それは今週中だけだけど。
ちょっと長めの休暇だと思って、満喫するか。
「じっとしていると、変なことばっかり考えてしまいそうだし。何かして気を紛らわせようかな」
洗面所で顔を洗って歯を磨く。
朝のルーティンを手早くこなしていると、日向の部屋が開かれる。
「ふぁ~おはよ。湊くん」
「おはよう日向。今日は起きるのが遅かったんだね」
「学校がないから、ちょっと気を抜いてたかも。ごめん、すぐに朝ごはんの準備するから」
「いや、たまには僕がやるよ。日向はゆっくりしてて」
「いいの?」
日向は目をこすりながら、申し訳なさそうにしている。
その姿が、なんだか可愛くて無意識で頭を撫でてしまう。
「もちろん。というか、動いて気を紛らわせたいんだ」
丁寧に頭を撫でた後、僕はキッチンに向かい朝食の準備をする。
久しぶりに日向の頭を撫でた気がするけど、すごく撫で心地がよかったように思う。
普段から髪のケアを怠っていないんだろう。
「女性ってそういうところすごいよな」
美容に気を使ったり、服装に気を使ったりと。
僕の偏見かもしれないけど、男性よりも気を使う場面が多いような気がする。
「いや、余計なことは考えないで早く朝食の準備をしよう」
僕は変なことを考えている頭を振って、思考を朝食に向ける。
トーストを焼いて、今日は休みだから目玉焼きとかも作ってみる。
そうこうしているうちに、日向も顔を洗ったりし終わったみたいで二人で仲良く朝食を済ませた。
「今日の午後は少しの間自分の家に戻ってもいいかな?」
「それは別にいいけど、なんで?」
「今日の放課後に隆介がうちに来るんだよ。流石にこの家に上げるわけにはいかないし」
最近は風呂と洗濯以外で自分の家に戻ることがないため、いざ戻るとなると変に緊張する。
自分でもおかしな話だと思うんだけど。
「なるほど、それって私も一緒に会っちゃダメ? 久しぶりに話したいし」
「それは……多分構わないと思うけど。一応聞いておくね」
念のために、隆介にメッセージを入れてみたらすぐに許可が下りたため今日の放課後は三人で僕の家にて話をすることになった。
「湊くん、一つ聞いてもいいかな」
「どうしたの?」
「湊くんは元カノさんについてどう思ってるの?」
真正面から真剣に日向はそんなことを聞いてくるのだった。




