第39話 復讐を誓う狂気の元カノ
「なあ、お前はなんでそんなに普通の顔をしてられるんだよ。この書類仕事疲れねぇの?」
「疲れはするけど。そこまでじゃないよ。僕は元々こういう仕事は嫌いじゃないしね」
「そりゃ、知ってるけどよ。にしてもだろ。その机に積まれてる書類の山的にさ」
「まあね。クリスマスパーティーの運営業務が初仕事になるだなんて思わなかったよ」
今、僕達生徒会が担当しているのは十二月の末に行われるクリスマスパーティーの運営に関する仕事をしていた。
場所や時間は既に決まっているので、パーティー時に行う催しだったりケータリングの手配。その他もろもろと言った感じだ。
「隆介先輩。弱音を吐いていても仕事は終わらないんですから、頑張りましょ」
「後輩にこう言われたらやらざる負えないな。うし、頑張るか」
「その調子だぞ~隆介。あと、これよろしくな」
「……おい。お前俺がやる気を出した途端に仕事を押し付けるなよ。まあ、やるけどさ」
なんやかんや文句を言いながらも、隆介はちゃんと書類仕事をこなしてくれる。
その様子を見ながら、僕も自分の書類を進めていく。
カリカリと書類に何かを書き込む音だけが、生徒会室に響いていた。
こういうのも案外悪くないな。勉強とは違った感じで。
「そう言えばですけど、日向さんはどうしたんですか? 今日はこないんですか?」
「ああ、日向ならこゆ……望月先生に呼ばれてるんだ。もうそろそろ帰って来るはずだけど」
「そりゃあ、珍しいな。日向さんの事だから怒られてるってことは無いだろうけどよ」
「僕も詳しく聞いたわけじゃないからわからないけど。多分、ほのかが流した噂の件で呼び出されてるんじゃないか?」
「……ああ、なるほど」
隆介は苦い顔をしながら、苦笑していた。
彼女を職員室まで連れて行った際に相当暴れられたらしいので、苦い思い出しかないのだろう。
その節は本当に迷惑をかけて申し訳ないと思っている。
「夜霧先輩、心配なら見に行ってもいいんですよ?」
「う~ん、どこにいるかわからない状態ならまだしも。場所はわかってるし、望月先生の所にいるなら安心だしね」
「つっても、心配なもんは心配だろ?」
「それはまあな。心配じゃないと言ったら嘘になるけど。会長の業務を放棄するわけにも行かないしね」
心配ではあるけど、僕には会長と言う立場がある、
二人を巻き込んだのが僕である以上、その仕事を放棄するのはあまりよろしくないと思うから。
心配する気持ちをグッと抑え込んで、書類に目を落とす。
どんな企画にしようか、何をすればパーティーに来るみんなを楽しませることが出来るか。
日向と一緒にクリスマスパーティーをするのならどんなものにしたいのか。
それを考えながら、作業に没頭する。
「遅くなってごめんね。みんな仕事を任せちゃって」
「いいって。それよりも望月先生の要件はなんだったの?」
「う~ん、秘密。それより、ほら。その書類の山分けて。手伝うから」
「ああ、ありがとう」
なんだか、微妙にはぐらかされたけど。多分、ここにいる人たちにはあまり聞かせたくないってことなんだろうな。
そこは日向の意思をくみ取って、ここでは何も聞かないことにしよう。
【ほのか視点】
嘘だ嘘だ嘘だ。
湊が私以外を選ぶなんてありえない。しかも、湊が私を裏切って私を罠に嵌めるなんておかしい。
「そうだ、この世界は狂ってるんだ。誰のせいだ? 誰のせいダ? 誰のセイダ? ダレノセイダ?」
あの女だ。私から湊をかすめ取った泥棒猫。絶対に地獄に叩き落としてやる。
私のことを誑かした佐山も絶対に許さない。
あいつがいなかったら、私が湊に裏切られることもなかったのに。
「まずはあの佐山に復讐しないと。ちょうど停学期間だし、時間はいくらでもあるでしょ」
最近学校に来ていないらしいけど、あいつがいる場所の心当たりくらい私にだってある。その場所を回ってあの男から地獄に落とす。
「その後はあの女だ。望月日向。絶対に許さないからな」
復讐すると決めたら、徹底的に。
噂を広めるなんて生ぬるい事はもうしない。
もっと直接的に地獄を見せる。
「うぇへへ。見てなさいよ。自分から殺してほしいと懇願するまで徹底的に地獄に落として、ヤル。泣きわめいても絶対に容赦しない」
私は真っ暗な部屋を出て、外に向かう。
これからの復讐に当たって、必要なものを買いに行くために。
【ほのか視点終了】




