第31話 消息不明の佐山
「なるほど。そう言うことがあったんだね。一時間目の休み時間に湊くんが知らない女の子と一緒にいたときは気が気じゃなかったよ」
「ごめんね。不安にさせて。でも、どうしても見過ごせなくてさ」
「わかってるよ。湊くんはそういう子を見過ごせる人じゃないって。そういう所も私は好きだからいいんだけどさ」
「なんか、お前って本当に色んなトラブルに巻き込まれるよな。そう言う何かに愛されてるのか?」
昼休み。空き教室で僕たちは机を寄せ合って、お昼ご飯を食べていた。
「さあね。僕はそう言う問題に愛されたいとは思ってないんだけどね。でも、あの場に居合わせなかったら僕は後悔してただろうし」
もし、あの時に僕が屋上におらず秋奈さんが死んでいたら。自分のせいでその結末を招いたとしたら。
僕はその現実に耐えることができないかもしれない。
「あの時は本当にありがとうございます。今もこうやって私が孤立しないように一緒にお昼ご飯に誘っていただいて」
「いいって。湊が良いって言ったんなら、俺も思う所はねぇし。これからよろしくな。秋奈さん」
「私もよろしくね。秋奈ちゃん。私は望月日向。一年生だけどクラスは違うよね」
「うん。私は三組だから」
少し、怯えたように秋奈さんは日向に付け加える。
緊張しているのか……いや、初対面の時日向が秋奈さんを鬼のような形相で見ていたからか。
「にしても、秋奈さんも災難だよな。義理に兄のせいで虐められるなんてよ」
「いえ、夜霧先輩に比べたら私なんて。本当に夜霧先輩にはご迷惑をおかけてて申し訳ないです」
「その話は蒸し返さなくていいから。それよりもお昼食べよう」
変な雰囲気になりかけたけど、何とかお昼ご飯に意識を向けて軌道修正をした。
「にしても、妹がそんなことになってるのに兄貴の方はなにしてるんだよ」
「私もわからないんですよね。あの出来事以降、兄はあんまり家に帰ってきてないので」
「そうなの?」
「はい。どうしているのか本当に私のもわからないんです。変な事をしてなければいいんですけど」
不安そうに秋奈さんは語る。確かに、高校生の兄が家に帰ってこなくなったら少しは心配するか。
にしても、家に帰らずに何をしているんだろうか? なんだか少し嫌な予感がする。
「マジか。それはちょっと心配だな」
「だね。でも、本当に何してるんだろ」
日向と隆介は互いに首を傾げて何かを考えているようだった。
不安は残るけど、ここで考えても結論が出る事じゃないし。僕は思考をするのをやめることにした。
「何か分かったら教えてもらってもいいかな?」
「勿論です。何から何まで迷惑かけてごめんなさい」
「謝らないで良いから。秋奈さんも困ったことがあったら何でも相談してね」
秋奈さんを慰めながら、思考を巡らせる。
生徒会長になってからやらないといけないことが見えてきた。
「そろそろ、ちゃんと動き始めるか」




