第26話 神凪会長の狂気と湊の目的
【水無月視点】
「会長も本当に容赦がないね~」
「あら? 何のこと?」
「だって、会長でしょ? 他の選挙者を潰して回ってたのって」
「どうでしょうね。私はそんな事知らないわ」
会長は白々しく言ってのける。
この人は本当に怖い。
みなとっちを会長にするためとはいえ、他の選挙者を潰して回るとはさすがにドン引きだね。
「はぁ、そういうスタンスなのは構わないけど。なんでそこまでするの? みなとっちにそこまでするのはなんでなの~」
「私は、彼がこれからどんな学校を作っていくのかに興味がある。それに、彼の目的にもな」
「みなとっちの作る学校?」
「そう。彼は一度どん底に落ちた。それこそ、一度は自殺を選ぶほどに」
みなとっちは確かに自殺しようとした。
そう本人に聞いたことがある。
「だからこそ、みなとっちのこれからが気になると?」
「そうだね。一度どん底に落ちた人間は更に強くなる。私は彼がどれほど成長するのか。その可能性を見てみたいんだよ」
会長は何も悪びれずに言う。
本当に、純粋に彼の成長を見たいんだろう。
だからこそ、恐ろしい。
目的を果たすために手段を選ばない所とか。
「なるほどね~じゃあ、金島ほのかを放置しているのもそのせい?」
「放置? なんのことかな」
「みなとっちに調べて欲しいって言われてた彼女のことをなんでわざわざ放置したのかな~ってね」
「なに。簡単な話だよ。お姫様を助ける役割はナイト様の役割だ。それをするのは彼であるべきで私ではないからね」
「なるほどね~ありがと。聞きたい事は聞けたよ」
「ならよかった。それよりも、これからニコはどう動くつもりだい?」
「普通に残りの高校生活を謳歌するかにゃ~これと言ってやることもないしね」
今の私にそこまでやるべきことは無い。
選挙に関しても、会長がみなとっちについているなら出来ることも少ないだろうし。
みなとっちの悪い噂も少しずつ無くなってきてるし。
それも、会長が手を回してるのかもしれないけど。
「そうか。なんかあったら教えてくれ。相談でもなんでもいいぞ」
「うん。何かあったら相談させてもらうね~それじゃ」
生徒会室を出てから息をつく。
正直、最近の会長ちょっとこわいんよね~
何考えてるかわからないというかさ。
「でも、私もみなとっちを応援してるっぽいから私はノータッチでいこうかにゃ」
そう決意して、家に帰ることにした。
【水無月視点終了】
「湊くん、中間一位おめでとう!」
「ありがとう。まあ、神凪会長のおかげで何とかなっている感が否めないけどね」
「それでも、湊くんの努力が認められてるのも本当だよ? 一年生のみんなは結構湊くんのこと好意的に見てるんだから」
「そうなのか?」
今まで一年生との接点は全くなかったから、そんな風に思われているだなんて知らなかった。
でも、好意的に見られているのは嬉しいな。
「うん! 最近では私に紹介してとか言ってくる子も多いんだから」
「……それは、コメントに困るな」
「本当にね! 私が湊くんの恋人だって言うのにさ」
「大丈夫。僕は日向しか眼中にないから」
どんなに可愛い子に言い寄られても、僕は日向以外と付き合う気はない。
僕を助けてくれたからって言うのもそうだし。
何よりも、僕は僕自身の手で日向を幸せにしたいから。
「あ、ありがとね。それと、今から一緒に買い物行かない?」
「いいけど、なんでいきなり?」
「今日の夕飯分の食材が無くなっちゃってさ。せっかくなら一緒に行かないかな~って思って」
「僕でよければ全然。じゃあ、ちょっと着替えるから待っててもらってもいい?」
「もちろん。ゆっくり着替えてきてね」
そこまでゆっくり着替えるつもりはないけど。
日向に見送られながら、僕は自分の部屋に戻る。
「にしても、まさか中間発表の段階で一位を取れるとは思えなかったな」
神凪会長の力を改めて思い知らされた。
でも、おかげで僕の目的も果たせそうだ。
「虐めのない学校を作り上げる。それと、日向に変な事をしようとしている奴を潰す。それが僕の目標だ」
少し前から、流れ始めている日向の悪い噂。
それを誰が流しているのか。
そして、流してなんのメリットがあるのか。
まだわからないけど、それを調べるためにも生徒会長と言う肩書は欲しい。
「さて、これからが頑張りどころか」
僕はそう心に決めて素早く着替えて日向と一緒に買い物に向かうのだった。




