第24話 僕みたいな被害者を生み出さないために
「……それは中々にしんどい出来事だったんだね。すまない。気づいてやれなくて」
「いえ、あんなのに気が付くなんて難しいと思っていますし。それに、おかげと言ってはなんですけど、日向とも出会えたので」
「にしても、許せないね! みなとっちをそんな目に遭わせるなんて」
「もう大丈夫ですよ。こうやって日常に戻ってこられることが出来ましたし。もう何とも思ってないです」
最初はショックが大きかったけど、今はそんなことは無い。
だって、僕は既に幸せだから。
少し前に味わった不幸なんて見ている暇なんかないんだ。
今は全力で日向と幸せになる。
それだけを考えて生活しているのだから。
「やはり、夜霧くんは強いね。普通の人間はそう簡単に切り替えることはできないと思うんだが」
「僕だって簡単に切り替えられたわけじゃないですよ。親友た日向の助けがあって何とか立ち直れたんですから」
「みなとっちは本当に変わったね。なんだか、少し前よりも思考が大人びた感じがする」
「ありがとうございます。それで、本当に僕を会長にするつもりですか?」
「もちろん、無理強いする気はないよ。だけど、そうなってくれたら私たちは安心だというだけの話だ」
それはもう、僕に拒否権はないんじゃ……
まあ、神凪会長にはかなりお世話になっているし。
水無月先輩にもかなり助けられている。
だったら、先輩方に恩を返すためにも立候補するしかないか。
「わかりました。じゃあ、立候補します」
「思い切りがいいね~そういう所結構好きだよ」
「ありがとうございます。それで、選挙っていつなんですか?」
「今から約二か月後の十一月だ。選挙活動云々は私たちの方で何とかするから安心してくれ」
「いや、先輩方も受験で忙しいでしょう。それくらいなら自分でもできますよ」
選挙活動はやったことが無いけど、神凪会長にある程度聞いたら出来るはず。
いや、流石に選挙活度を甘く考え過ぎかな。
「いいよ。私の最後の仕事だ。それくらいはやらせてくれ。それに、受験に関してはそこまで心配はいらない」
「なんでですか?」
そこまで焦らなくても、私は受かるだろうからね」
凄い自信だ。
でも、神凪会長の事だから確かに余裕そうではある。
「会長は余裕でいいね~私はそこまで余裕はないよ~」
「そう言うニコだって、大学は余裕だろう。大学に進学したら一緒に起業でもしないか?」
「それはそれでおもしろそうだにゃ~」
目の前でとんでもない会話をしてるな!?
でも、二人が作る会社か。
凄く良い会社になりそうな事だけはわかるな。
「そう言うわけで私の受験の心配はしなくてもいい。君は選挙の公約文でも考えておいてくれ」
「わかりました。じゃあ、二か月間よろしくお願いします」
「ああ、よろしく。じゃあ、今日は帰ってくれていいよ」
「わかりました。では、お先に失礼します」
僕はすぐに生徒会室を出て、家に帰る。
今日は生徒会によって行くといってはあるけど。
あんまり遅いと心配させてしまうかもしれないし、不安にさせてしまうかもしれない。
最近の日向は少しだけ不安定な感じがするから、あまり不安にはさせたくない。
「ただいま~」
「おかえり湊くん。生徒会はどうだった?」
「会長選挙に立候補することになったよ」
「なんでいきなり!?」
そりゃあ、驚くよな~
僕も提案されたときは凄く驚いたし。
今でも、少し驚きが残ってるし。
「後任がいないって話題になって。神凪会長が僕が会長になればいいって話になってね」
「湊くんも良く思い切ったね」
「まあ、神凪会長に恩もあったし。会長になれば、僕みたいな虐めの被害者を減らせるかな~って」
「凄く良いね! 私はすっごく応援してるよ?」
「何言ってるんだい? 僕が会長になったら日向が副会長になるんだよ?」
会長には他の役員の選任権がある。
だから、僕が会長になったら日向が副会長で役割は何でもいいけど、隆介も生徒会に入ってもらうつもりだ。
「……へ?」




