第21話 頭のおかしい元恋人
翌日、学校に登校してからすぐに僕たちは……というか全校生徒は体育館に集められていた。
あまりにも突然の招集に戸惑っている生徒が大多数いる中、僕はどんな話がされるのか。
その予想がついていた。
「ええ~わざわざこんなに朝早くから呼び出してしまってすまない。今回君たちに集まってもらったのは、最近学校内で流れている噂の件に関してだ」
壇上に立った小雪さんがそう言うと、体育館内がざわつき始める。
みんな、何の話なのか即座に理解したのだろう。
そして、僕の方に一斉に視線が集まる。
……あんまり注目を集めるのは好きじゃないんだけどな。
「結論から先に言うが、あの噂は全てデマだ。首謀者の佐山要は一か月間の停学処分。関連した生徒も一週間の停学処分だ。そして、今回の件に協力をしたバスケ部は三か月の活動停止処分は下ることになった」
瞬間、ざわざわと体育館内が騒がしくなった。
きっと今回の件がデマだなんて、全く想像もしていなかったんだろう。
だからこその驚愕。
「そう言うわけだ。みんな、今回の件を踏まえてちゃんと考えて欲しい。その噂の発生源がどこなのか。信憑性があるのか。ちゃんと考えて行動をして欲しい」
小雪さんは真剣に体育館にいる生徒全員に語り掛ける。
あまりの真剣具合に僕も息を呑んでしまうほどだった。
「そうじゃないと、今後君たちは犯罪に巻き込まれるかもしれない。犯罪に巻き込まれるどころか、自分が加害者になってしまうかもしれない。そのことをちゃんと考えてこれからの学校生活を送ってほしい」
真剣に、僕たち生徒を見ながら小雪さんはそう言った。
本当にカッコいいな。
僕にもあんな風になれるかな。
「いや、これからの努力次第か」
小雪さんは一礼をして、壇上を後にした。
その後は、今回の件に関しての総評的なことを校長先生がしていた。
体育館の中にいたみんなはその話にあまり身が入っていないように見える。
「これから、僕ってどうなるんだろ?」
確かに、今回の件で悪い噂は払しょくできたと思う。
だけど、噂がなくなったからと言って元通りとは行かないだろう。
教室で僕に虐め行為をしなかった生徒たちも所詮は傍観者。
見て見ぬふりをしていたのだから。
◇
「と、こんな感じの決着になったわけだ。言いたい事はあるか?」
「ないですね。そもそも学校側の判断ですし。僕としてはもう関係のない人間ですので」
佐山には確かに苦しい思いをさせられた。
だけど、僕はそのおかげで日向と付き合う事もできたわけだ。
感謝するというのも変な話だけど、完全に憎み切ってるわけでもない。
今回噂をしたってことは、ほのかと付き合ってたらいずれこうなってたってことだしね。
「そうか。まあ、だろうな。あと、来週からは普通に教室で受けてもらう事になった。まあ、もう虐めはないと思うけど。何かあったらすぐに相談してくれ」
「わかりました。ありがとうございます。小雪さん」
「うん。じゃあ、授業を始めようか」
今日一日、僕は先生たちの個別授業を受けた。
そして放課後に日向と一緒に帰ろうと教室を出ようとしたら、声をかけられた。
その声は凄く聞くのが懐かしくて、もう聞きたくはない声だ。
「湊、ちょっといい?」
「何か用か? ……いや、用もないのに僕の所なんかに来ないか」
目の前に現れたのは、僕の元カノであり噂を流した共犯者のほのかだった。
正直、もうあまり見たい顔でもないんだけどな。
「私とやり直して。佐山先輩とは気の迷いだったの!」
「……は?」
何を言っているのか理解ができない。
何考えているのか。
きっと僕とは思考が全く違うんだろう。
「だから、やりなおそ! 私の事まだ好きでしょ?」
「……」
あまりの暴論に僕が呆然としていると、そこに割り込む声があった。




