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第三話:フィジカル・ウィザード

ティピカルは激怒しながら、軍隊にこう伝える。

「お前ら! このおかしな男を殺せ!」

ティピカルとノルマティアの軍勢は大勢で襲いかかる。

その時、機械のような刀が突然蒸気を吹かせ、紫色の煙に囲まれる。

「クソ! 煙幕か!?」

次の瞬間、カゲは的確に相手の隙の流れを悟り、斬撃を一気に叩き込む。

「ぐああああああ!!」

奴らは血飛沫を滝のように流しながら、絶命した。

更にカゲは残った兵士に対し自分の身体能力を全開に使い、斬撃を入れ込む。

するとティピカルはあることに気づく。

「なんだあれは? 刀に闇魔法を付与させたのか? それだけではない。闇魔法の魔力を使って、刀の間合いを詰めている・・・・・・俺たち民族も言っていた完成されし呪われた戦闘民族『身体的な魔導士(フィジカルウィザード)』」

更にティピカルは軍勢の列を強固にし、カゲに対し圧力を加えていく。

「ウリヤァああああああ!!」

カゲは雄叫びを上げながら、ついに両手を三角にし、闇魔法を使って遠距離攻撃をしてきた。

彼の用いた闇魔法は、透けた紫紺の四角形からどんどん平面になり、一つの線のようになった。

紫紺の光線は敵兵士全員に向けて発射し、軍隊および敵兵士らは連鎖的に血を吹き出し倒れて行った。その光線は光をも切り裂き、月光をもなくなるほどだった。

ティピカルが遠距離で矢の形をした光魔法を解き放ったが、それも全て闇魔法の光線で切り裂いてしまう。

そして、このほぼ一対数千万という圧倒的な差がありつつも、なんとも異例な戦いは約一週間という短さで集結した。


――一週間後


ついにカゲはティピカルにとどめを刺そうとしていた。

「お前がどんな言い訳を付けようが殺す・・・・・・」

カゲのこの世で最も強い怒りを露わにしながら、ティピカルに伝える。

「フフフ・・・・・・俺を殺したところで何も変わらない・・・・・・我々ノルマティア族がお前ら劣等民族のことをなんて呼んでいるのか知っているか? 『異常者達』だよ。我々だけじゃない・・・・・・他の民族もだ。お前らは生まれて来た時点で呪われているのだ・・・・・・!」

カゲは冷静になりながら、怒りを抑えてこう聴く。

「『異常者達』・・・・・・? なぜそうお前ら如きに言われなければならない!」

ティピカルは笑えながら答える。

「お前らソツア族は『曖昧な話も理解できない』、『心も読めない』、『黒魔術も白魔術も使えない』。 そんな民族が生きているだけで反吐が出る・・・・・・なのに『機械が作れるだけですごい』? 笑わせるな・・・・・・! お前ら劣等民族よりも優れた黒魔術を使いこなせる魔術はいれば国をもっと発展できたというのに・・・・・・!この出来損ないがああああああ!」

カゲは刀で彼の首を切り落とす。

カゲはこの血塗られた大地を見渡しながら、恋人や仲間を殺された怒りや悲しみだけでなく、自分が呪われた存在ではないかと自分自身を疑い始めた複雑な感情を胸にし、彼は前屈みに倒れて気絶する。


――数週間後


ソツア村はノルマティア族の策により、大量のソツア族が虐殺されたため、サムなどを含む機械は熱暴走をし、大爆発を起こした。その爆発によって、ほとんどのソツア族が亡くなった。

白骨化した死体の残骸に囲まれたカゲはソツア族の中年の男に体をさすられ、起こされる。

「・・・・・・お、俺は死んだのか?」

カゲは意識が朦朧になりながらも答える。

ソツア族の中年の男はおどおどしながらもこう聞いた。

「い、生きている・・・・・・?」

カゲは突然体を急に起こし、立ち上がろうとする。

「・・・・・・行かねば!」

「む、無理をしないでください! もう戦いは終わったのです!」

カゲはその言葉に驚愕を抑えられなかった。

「『終わった』・・・・・・だと? どれぐらい経ったんだ?」

「数週間は経っています!」

「そ、そうか・・・・・・通りで死体が骨になっている訳だ。とりあえず、何か食べ物を・・・・・・」

ソツア族の男は試験管に入った緑色の液体のようなものを渡す。

「これは?」

「一ヶ月分食事を取らなくても大丈夫な液体栄養食です。」

カゲは急いでそれを飲み込む。

「あ、ありがとう・・・・・・それと、ソツア村の中心部に行きたいのだがいいか?」

男は慌ててこう答える。

「危険です! あそこでサムが熱暴走を起こして大爆発を起こしたことは知らないのですか?」

「大爆発? う、嘘だ・・・・・・」

カゲは何もかも失って、涙が溢れ、周りの景色が滲んで見えた。

「ヘカテーも・・・・・・マークおじさんも・・・・・・村のみんなも・・・・・・俺は何も守れなかった・・・・・・」

すると男はカゲの立場に同情しながら、こう語った。

「いえ、あなたが悪いわけではないのです。ですが、あなたの復讐に私も付き合っていきます」

カゲは泣きながらも驚いた顔を見せる。

「私も昔、他の民族に襲われ家族を失いました。『復讐はよくない』、そう言われても心が納得しませんでした。だから一緒に復讐を果たしましょう。私も地獄に行く覚悟はできています」

カゲは思いっきり男を抱きしめ赤ん坊のように泣き始めた。


――翌日


カゲは身支度をし、新しい街の再建をするためにソツア村に別れを告げ、助けられた中年の男と旅へ出かけることにした。

そして、出かける前にカゲはヘカテーの墓に白のマーガレットの花を手向けた。

「ヘカテー・・・・・・君のことは絶対に忘れない」

カゲは中年の男に目線を合わせる。

「そういえば、あんたの名前を聞いていなかった。あんた、名前は?」

「『ホノカ』と申します。それとついでにもう一つ言っておくことがありまして・・・・・・」

カゲは耳を傾げる

「なんだ?」

「私はソツア族の村長の次期候補を探していました。その次期候補としてあなたを選んでいました」

カゲは驚愕する。

「なんだって!? でも、どうして俺なんだ!」

「この村は身体的に優れていない人が多いです。そのため、次の襲撃などを喰らった際は文化そのものどころか村そのものがなくなってしまう危険性があったのです。そのため、次期候補として身体能力が優れた人材が必要だったのです。そして、唯一『闇の善』という能力を手にした存在だったのです」

しかし、カゲはあまり嬉しそうな表情をしなかった。

「俺にそんな重役は務められない・・・・・・」

「どうして?」

「数週間前の惨殺を知っているだろう・・・・・・あれで誰も助けられないどころか誰かに助けてもらってばかりだった。だから・・・・・・」

「だからやめるんですか?」

「ああ」

「ヘカテーはそれで喜ぶとは思いませんよ」

カゲは重く考え込む。

「・・・・・・わかった。出来る限りのことは尽くそう。」

ここから、フィジカル・ウィザードと語られるまでの物語が始まったのであった。


つづく


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