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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第21章:英雄の意志

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燃え尽き症候群

⋇ここから真面目なお話が続いた反動で章の最後までふざけ倒してるお話。

 英雄ニア、死す! そんな衝撃的なニュースが全世界に広がってから、およそ一月が経過した。

 当然ながらその影響は甚大だった。何せ唯一邪神と正面切って戦えそうな奴が死んだんだし、世界規模でお通夜ムードだったよ。街を歩けば湿っぽいムードと暗い雰囲気が漂ってて、人は大勢いるのにゴーストタウンみたいな不思議な状態になってたね。邪神として全世界同時放送でニアの死を散々煽り散らかし、絶望を深めたのも原因かな?

 <救世の剣>(ヴェール・フルカ)もほぼ活動休止みたいな状態らしく、今現在は特に何の動きも無い。ニアに何かあったらザドキエルとルキフグスにリーダーを譲るっていう遺言は残しておいたから、少なくともリーダー交代自体は法的に問題無く行われた。前から考えてた資金繰りも鉱山を二、三個購入しといたし、定期的に金とか宝石の原石とか仕込んでやれば問題無し。

 ただし問題なのは新リーダーたちの心の方。拠点たるサントゥアリオの街に戻って来てからというもの、この二人もだいぶアレな様子らしいよ。ルキフグスは部屋にひきこもって出てこないし、ザドキエルは毎日建物のてっぺんで空を見上げてたそがれてるっぽい。二人の中でニアという存在がいかに大きかったか分かるね?

 新リーダー二人がそんな状態じゃ下剋上の一つでも起きそうな感じだが、<救世の剣>(ヴェール・フルカ)の他のメンバーたちも似たり寄ったりな感じだからある意味安心だ。みんな心弱い……弱くない?

 頼りにしてた<救世の剣>(ヴェール・フルカ)が超弱体化&腑抜けになった事もあり、お国の方は軍備を増強する動きを見せてるよ。これはどっちの国も同じ感じだけど、魔獣族の国の方がかなり力を入れてる感じだね。何か魔王の嫁が倒れたって聞いたし、きっと魔王が色々独断でやってるんじゃないかな。しかし倒れるなんて一体何があったんだろうね?


「これはマズいなぁ……」

「確かにこれはマズい事態だ。こんな事になるとは予想もしていなかったね」


 とはいえぶっちゃけると、それら一切合切わりとどうでもいい事だった。だってそれよりも重要かつ差し迫った問題が、僕の視線の先にはあったから。隣でレーンも同意してる辺り、僕の杞憂ではないって事が証明されてる。

 そんな僕たちの視線の先にあるのは――


「………………」


 緑溢れる屋敷の庭、その片隅に座ってぼうっとしてる一人の少女――ミニスちゃんだ。赤い瞳は虚空を眺めてて、空を見てるんだか庭の花々を見てるんだかもはっきりしない。それどころかパッと見では意識があるのかも良く分からん。

 恐ろしい事に、パーティを終えた日からミニスはこんな感じだった。何をするでもなくただ日がな一日庭で虚空を眺めるっていう、非常に無為で退屈な事を一ヵ月も続けてるんだよ。

 もちろん食事はとるしトイレだって行ってるよ? 頻繁に家族からの電話だってかかってくるから、その対応だってしてるしね。ただそれだって何か常にぼうっとした感じの調子だし、それ以外はマジでずっとこんな感じ。まるでブラック企業に長年勤めてた社畜が会社の倒産で暇になるも、何をすれば良いか分からずただ無為に時間を過ごしてるみたいだぁ……。


「ミニスちゃん、心ここにあらずって感じしてるー」

「随分とまあ腑抜けてんなぁ? こんなんじゃどついても張り合いが無くてつまんねぇよ」


 この有様にはリアもだいぶ心配そうだし、キラですら不快感溢れる表情してる。実際キラがぶん殴ってもやり返したりはしなかったしね。いつもなら敵う敵わないは別としてキレてやり返すはずなのに。


「今まで意欲的に仕事に取り組んでたけど、それがいきなり無くなって自由の身になったからなぁ。寂しさも手伝って虚無感に襲われてるっぽいね? 朝から夜までああしてるとか、さすがの僕も心配だぞ……」


 四六時中置物みたいになってるのはさておき、ミニスちゃんのミニスちゃんたる所以である鋭いツッコミが無いのは正直困る。反骨精神の無いミニスちゃんなんてただのメンタルがクソほど強いだけの奴隷じゃないか。そんなの困るよ。


「やはりここは主が慰めてあげるべきじゃないか~い? 私なら主に熱く抱擁されながら愛を注いで貰えば、一発で元気になるよ~?」

「残念ながらそれはもうやった。固く抱きしめながら何度も奥に愛を注いだ上でアレなんだ」

「逆にそのせいでああなったんじゃないかい……?」


 レーンの控えめなツッコミも心地良いは心地良いが、やっぱりこれじゃない感がある。

 なおこの一ヵ月、三日に一回くらいの頻度でトゥーラが言ってる事をやりました。普段なら抱いてる時は実に悔しそうにしてくれて、快楽を必死に噛み殺す感じの堪らない反応を見せてくれるんだけど、ここの所はもう素直に受け入れてよがってくれるんだよ。ただ残念ながら僕に堕ちたってわけではなく、胸にぽっかり空いた穴を埋められるなら何でも良いんだと思われる。

 最初はそういう反応も新鮮で良いなとは思ったよ? でもやっぱりミニスちゃんといえば屈辱や恥辱を堪える表情の方が似合ってるから、いまいちそそられなくなってきてね……。


「ミニスちゃんミニスちゃん、大丈夫ー?」

「……ああ、リア。うん、大丈夫よ」


 色々考えてると、リアがトテトテと近寄って行って声をかける。

 ワンテンポ遅れて言葉を返し視線を向けるミニスだけど、リアを見ているように見えてやっぱり虚空を眺めてる感じがする。えらい虚無的な表情してるなぁ。


「本当にー? 何か真っ白に燃え尽きてるみたいだよー?」

「そんな事ないわよ。面倒な仕事や責任から解放されたおかげで、毎日が充実してて最高にハッピーよ。ハハッ」

「うーん、駄目そー……」


 凄い痛々しい笑みを零し乾いた笑いを口にする姿に、さしものリアも匙を投げて戻って来た。そしてミニスは再び視線を正面に戻し、いずこかをぼーっと眺める。

 どうしよう。これはマジで重傷だ。<救世の剣>(ヴェール・フルカ)のメンバーよりもコイツが一番精神ヤバくない? オリハルコンのメンタルな癖して変な所貧弱なのは何なの? 確かにダイヤモンドだって実は結構脆いけどさぁ……。


「真面目で誠実なのが裏目に出たね。彼女のような人間は働いていないと自分の存在意義を見出せないのかもしれない」

「自分の価値は自分で決めようぜ。しかしあのままだとこっちも気が滅入るんだよなぁ? 何より抱いてても楽しくない」

「叩けば治るんじゃね? 試してみるか?」

「それは最後の手段って事で。時には暴力が通用しない時もあるんだよ。ていうか殴っても治らなかったじゃん」


 好き勝手言うレーンやキラを尻目に、あの燃え尽きたミニスちゃんをどうしたら元に戻せるかを考える。

 一番なのは再びニアとしての役目を与えるわけだけど、あんな涙の別れをしておきながら復活させるとかさすがに無いかなぁ。どうせ復活させるならゾンビリ●ンみたいに、最終決戦の場にアンデッド化した状態で敵として出したいし。

 でも今は英雄ニア並みに忙しい仕事とかも無いから、やっぱりここは純粋に慰めるしかないってわけだ。でも今のミニスの虚無感を埋めるには並大抵の慰めは通用しない。となるとここは……


「……仕方ない。こうなったら一つ、ミニスちゃんのために楽しいレクリエーションでも開くか」

「りぇく……れくりえーしょん?」


 僕の発言に、リアは小首を傾げる。

 人を癒す物と言えば休息に食事、遊び、あとは女だ。とはいえミニスはその休息と食事の日々であんな感じになってるし、そもそも女が通じるのは男か百合の方のみ。だったらもう残るのは遊びしかないよね? 燃え尽きてるミニスを大規模な遊びに引きずり込み、楽しんで元気になって貰おうってわけだ。

 実は前からやりたかった事があるからタイミングもちょうど良かったりする。人数的に微妙だったからルールブックだけ作ってたけど、だいぶ人数が増えた今なら最大限に楽しむ事が出来るだろうしね。今から他の遊びを考える必要もないし。


「また何かろくでもない事をする気だね、この男は……」

「腹減った、メシにしようぜ」

「えぇい、やかましい! 言っておくが全員参加だぞ!」


 なおレーンはろくでもない事と断定してて、キラは興味ない感じ。協調性無いな、コイツら?

 でもこの屋敷にはせっかく大勢の人がいるんだから、メイドや執事も含めて全員参加のレクリエーションにするのは決定事項だ。一人も逃がさないぞ?


「まあ別に構わないが、一体どこで何をするつもりなんだい? ミニスの燃え尽き具合からすると、並大抵の事では彼女を慰める事は出来なさそうだが」

「ふふん、聞いて驚け。実はね――」


 というわけで、軽く触りだけ語って聞かせました。どうせ全員に説明する機会があるだろうから、二度手間になるのは避けたいしね。

 ちなみにキラとリア、トゥーラはわりと乗り気で、レーンもちょっと興味がある感じだったよ。まあこの世界には無いだろう遊びだから無理も無いかな。殺人鬼が興味を示してるのは……まあ、狩りみたいな感じだからじゃない……?






「――という事で、やってきました南の島!」


 それから一週間後。僕らは全員で南の島へとやってきました。南の島といってもリゾートアイランドってわけじゃなくて、純粋に南の方にあった小さな無人島って感じだけど。

 まあ立ってる所は白い砂浜だし、空も海も青くて綺麗だからリゾートっぽいのは確かだね。


「何が『という事』なわけ? 私は碌な説明も無く拉致されて見知らぬ場所に連れてこられてるんだけど?」


 しかしミニスちゃんはご機嫌斜め。透き通ったアクアマリンのような輝きを宿す海も、キラキラと輝く砂浜も、その心を癒すには役者不足の模様。決して朝からぼーっとたそがれてる所を突然拉致されたからではないと思いたい。


「大丈夫、お前以外の皆には説明済みだから。もうみんな先に来てエンジョイしてるし」

「何が大丈夫なわけ? むしろ私だけ何も知らない上に仲間外れって事じゃない?」

「細かい事気にすんな! ほらほら、水着に着替えて遊ぼうぜっ!」

「ちょっ!? やめっ、服脱がすなっ! ギャーッ!?」


 何か不満そうだけど、きっと遊び始めればそんな気分も吹っ飛ぶに違いない。

 というわけで、ミニスに襲い掛かり服を引っぺがして無理やり水着に着替えさせました。無人島とはいえ開放感のある屋外で裸に剥かれたせいか、結構元気に抵抗して派手に騒いでたよ。


「――よし、完璧っ!」


 そしてほんの数十秒で、ミニスちゃんは嫌らしい水着姿と化した。スク水と迷ったけどここはシンプルな黒のマイクロビキニを着せました。ロリボディを申し訳程度に隠してるのが堪らんね? 太めの太腿が余すところなく晒されてるのもまたそそる。自前のウサミミとウサ尻尾があるせいで滅茶苦茶倒錯的なエロい姿に見えるよ、グヘヘ……。


「何が完璧よ、このクソ野郎っ!! 力づくで乙女をひん剥いて裸にしやがってえぇっ!!」

「うぼぁ!?」


 なお屋外で無理やりこんなもん着せられたミニスちゃんは、涙目で飛び蹴りかましてきました。

 散々僕に抱かれて穢されてるのにこんなんで怒るとか、乙女の恥じらいはよく分からんね? セレス辺りに聞けば分かるかな? いや、初めてが無人島の砂浜でオッケーだった奴だし駄目そうだな……。


「……うんうん、やっぱりこの鋭いツッコミが無いとミニスらしくないよね。元気になって来たようで何よりだよ」

「これは元気じゃなくて怒ってんだけど!?」


 吹っ飛んで砂浜に背中から着地した僕に対し、飛び乗ってストンピングをかましてくるミニスちゃん。追撃とかちょっとえぐすぎない? あとマイクロビキニ姿で人の上でそんな事してるから、下から見る光景もだいぶえぐいよ? 誘ってんの?


「……ていうか、何? もしかして、あんたなりに私を心配してるわけ?」

「まあ僕なりにはね。鋼のメンタルが取り柄の子が灰みたいに燃え尽きてるのを見ると調子狂うし」

「ふーん……」


 十発くらい兎獣人の脚力によるストンピングを叩き込んできたかと思えば、急に大人しくなって身体の上から退ける。ちょっと頬が赤いのは気を使われて満更でも無いのか、あるいはただ単にさっきの辱めが尾を引いてるだけか。まあここは両方って所かな。


「というわけで、今日一日南の島で遊ぼうって話よ。楽しいイベントも考えてるから、乞うご期待」

「なるほどね。どうせまた禄でもないイベントなんだろうけど、今日はあんたの企みに乗ってあげるわ。私自身、このままじゃいけないって思ってたとこだしね」

「おお、さすが鋼メンタル。すでに立ち直りつつあったか」


 どうやら強靭なメンタルを持つミニスはすでに自己再生を遂げつつあったっぽい。これはちょっと余計なお世話だったかな? いや、でも一ヵ月近くかかってる辺りだいぶ重傷だったのは確かだ。積もり積もった鬱憤を発散する場は必要か。


「ま、それでもあんたにしては有難い事やってくれたわね。特別にお礼を言ってあげるわ。あ、ありがと……」


 非常に珍しい事に、何とミニスは僕にお礼を口にしてきた。しかも恥ずかしそうに頬を染めてだ。

 いやぁ、良いもの見た。やっぱり善行はするもんですね? まあ世界平和のために身を粉にして働いてる僕ほどの善人は早々いないだろうけどな! 


「どういたしまして。それじゃあ早速みんなの所に行こうか」


 ミニスも突然の拉致に納得してくれたみたいだし、ここでパーッと遊ぶのにも前向きだ。なら後は何も考えずに皆で楽しむだけ。

 そんなわけで僕は立ち上がり、先に来てる皆と合流するために歩き出した。


「……その前に一つだけ良い?」

「おん? どうした?」

「別の水着を寄越しやがれ」

「断る。だが僕を捕まえられたら考えてやろう」


 そして次の瞬間、砂浜でミニスと追いかけっこを始めました。

 うふふ、捕まえてごらんなさ――ちょっ、速い速いっ! そんな獲物を狩るみたいにガチで来なくても良いじゃん! マイクロビキニ気に入らなかった!?


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