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一般人になりたい隠し事令嬢と、暴きたい旦那様 〜チャラ男な最強当主の執着から逃げられない〜  作者: 天野 はるか
第3章:床下の秘密と、不穏な足音

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第23話:着々と進む離縁準備

この作品を読んでいただき、ありがとうございます!


第一部の作成が終わりましたので、投稿を毎週月曜日・金曜日・土曜日の週3回に変更いたします!


30話まではこの頻度で投稿していきますので、是非読んでいただけると嬉しいです!!

 旦那様のもとに嫁いでから、早いもので数ヶ月の月日が流れていた。


 旦那様の毎日のようなサボり訪問や、時折これでもかと見せつけてくる大人の色気、そして「可愛いお嫁さんの素顔を暴く」という恐ろしい宣言のせいで、私の部屋は常に甘やかな緊張感に包まれていた。


(あの男、最近ますます距離が近いし、私への揺さぶりがどんどん激しくなっている気がするのよねぇ……。このままじゃ、いつ無能令嬢の化けの皮が剥がされてもおかしくないわ……!)


 私はじわじわと迫りくる危機を肌で感じながらも、旦那様がりつさんにたっぷり説教されながら仕事をしているという絶好の隙を突き、自室の隅の畳を持ち上げた。


 その床下の暗がりに、私は旦那様達の目を盗んで厳重に布で包んだいくつかの木箱をこっそり隠していたのだ。


 そんな私のしていることが気になったのか、押し入れからトコトコとやってきた琥珀こはくが、私の足元で「きゅ~?」と小さく首を傾げた。


「……見て、琥珀!これが私がこれまで必死に集めてきた、自由への切符たちよ!!」


 私は胸を張りながら木箱の蓋を開け、琥珀にその中身を見せた。


 一つ目の箱に収められているのは、旦那様から貰ったお小遣いの残りをコツコツと貯めた、ずっしりと重い「大量の金貨」。


 もう一つの箱には、町へ出掛けた際に密かに集めておいた仕事の求人チラシと、町娘が着るような目立たない古着の木綿着物を入れていた。


(……どうよ!町での働き口も着物もばっちり揃えたんだから、これでいつ離縁されても、周りから浮くことなく一般人として自立した生活が送れるわ!!)


 私と一緒に身を乗り出して箱を覗き込んでいた琥珀も、大量の金貨が放つ眩い輝きに「きゅい~っ!」と目を輝かせ、なんだか楽しそうに短い前足をパタつかせている。


「……よし!これでとりあえず、一通りの離縁準備は整ったわね!」


 畳の上にすべての離縁準備品を並べ、私は達成感と共に、満足げに腰に手を当てた。


(……見てなさいよ、チャラ男当主! 私の夢の隠居スローライフは、もうすぐそこなんだから!!)


 とはいえ、いつあの男が律さんの包囲網を破って逃げてくるか分からない。私は急いでこれらを床下へと戻し、手際よく畳を元通りに直した。


 そして片付けが完了したまさにその瞬間、計ったかのようなタイミングで、廊下からいつものサボり魔の軽い声が響き渡った。


「紗夜ちゃ~ん! 入るよ~!」


(……げぇっ!? 噂をすれば、本当に来やがったわね!?)


 私は心臓が跳ね上がったのを感じながらも、一瞬でおどおどした令嬢のフリに切り替えると、襖を開けて旦那様を招き入れた。


「……は、はいぃっ……! ど、どうぞ……っ」


 いつものように、これでもかと身を縮ませて弱々しく対応する私。けれど、その内心では、旦那様のヘラヘラ顔に向かって力強く宣戦布告を叩きつけていた。


(……せいぜい今は、何も知らずに呑気に笑っていると良いわ! その隙に私は何が何でも自由を掴み取ってやるんだから……っ!)


 こうして床下の秘密を抱えながらも、私と旦那様の終わりの見えない腹の探り合いは、今日も静かに続いていくのだった。

読んでいただき、ありがとうございます!

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