第16話:精霊力を使わない解決法
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第一部の作成が終わりましたので、投稿を毎週月曜日・金曜日・土曜日の週3回に変更いたします!
30話まではこの頻度で投稿していきますので、是非読んでいただけると嬉しいです!!
その日の夜、私は屋敷の貴重品を穏便に返してもらうために、ある名案を思いついていた。
(……そうだわ! ピクシーが夢中になれるような別のおもちゃを、代わりに作ってあげればいいのよ!そうすれば、あの子もきっと満足して帰るはずよね!!)
私はさっそく行動に移すべく、床下に隠してある「隠居用資金」の袋から、一番キラキラと輝いている硬貨を数枚取り出した。それを、手持ちの使っていない手拭いの紐でしっかりと繋ぎ合わせ、最後に小さな鈴をくくりつける。
「……出来たわ! 明るい場所でキラキラ光り、揺らすだけでチャリンチャリンといい音が鳴る、特製巨大鈴よ!!」
(……私の大事な逃亡資金が数枚減るのは正直かなり痛いけれど、背に腹は代えられないわ! ……自分でもちょっとネーミングセンスが悪いとは思うけど、そこはご愛嬌よね!!)
私は完成した特製おもちゃを天井のピクシーに向けて、優しく振って「チャリン」と心地よい音を鳴らしてみせた。
新しい魅力的なおもちゃの登場に、ピクシーは一瞬で目を輝かせ、吸い寄せられるようにふわふわと降りてくる。
「これをあなたにあげるわ! だから代わりに、その抱えている万年筆とキセルを私にちょうだい?」
私が優しく語りかけると、ピクシーは「ふぅ~!」と嬉しそうに笑って特製おもちゃを受け取り、それまで大事そうに遊んでいた律さんの万年筆、旦那様のキセル、そして食堂のスプーンを容赦なくポイポイと放り投げた。
宙を舞ったそれらの貴重品を、すかさず琥珀がキャッチしていく。
(……やったわ! あとはこれらを元の場所にこっそり戻しておけば、万事解決ね!!)
屋敷の物をすべて無事に返してもらった私は、部屋の窓をそっと静かに開け、暗い夜の庭を指差した。
「明日の朝になるとね、ここへ凄く怖い人が来るの。だから、その新しいおもちゃを持って、お友達のいる森へ帰った方がいいわ。気をつけて帰るのよ?」
私がそう諭すと、ピクシーは手作りのおもちゃを両手で大切そうに抱え、まるでお礼を言うかのように私と琥珀の周りをくるくると楽しそうに飛び回り、そのまま嬉しそうに夜の森へと帰っていった。
その姿を見送り、琥珀もホッとしたように「きゅう~!」と満足げに喉を鳴らした。
私がピクシーを見送って、窓を閉めようとしたその瞬間。
夜の静まり返った庭の奥から、ふと誰かに優しく見守られているような、不思議と温かい視線が肌をかすめた。
(……気のせいかしら? 今、誰かに見られていたような……。……まあ、気のせいよね)
一瞬の違和感を覚えつつも、私はすぐに窓をパタンと閉め、鍵をかけた。
――そして翌朝。
お祓いを執り行うために、万全の準備をして紛失現場へと訪れた律と煉十郎だったが、そこにはなぜか、昨日までなくなっていたはずの万年筆やキセルが「最初からそこにあった」かのように、何食わぬ顔で普通に置かれていた。
「……ありますね、私の万年筆。旦那様のキセルはどうですか?」
「……あるね~。やっぱり、僕たちの気のせいだったのかなぁ?」
律は信じられないといった風に目を見開きながら首を傾げ、煉十郎は「気のせいでよかったね~」といつも通りヘラヘラと笑っている。
私はその様子を、廊下の影からそっと盗み見ていた。
(……ふふん!夜のうちに元の場所へコッソリ戻しておいて大正解だったわね。これで万事解決よ!)
私はこの完全なる勝利に、思いっきりのドヤ顔を浮かべ、満足感に浸るのだった。
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