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一般人になりたい隠し事令嬢と、暴きたい旦那様 〜チャラ男な最強当主の執着から逃げられない〜  作者: 天野 はるか
第1章:美味しいご飯ともふもふ隠蔽工作

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第14話:床下のファースト・ステップ

この作品を読んでいただき、ありがとうございます!


第一部の作成が終わりましたので、投稿を毎週月曜日・金曜日・土曜日の週3回に変更いたします!


30話まではこの頻度で投稿していきますので、是非読んでいただけると嬉しいです!!

 朝、旦那様がふらりと私の部屋にやってきて、ずっしりと重たい小袋を私に手渡してきた。


「……あ、あの、旦那様? これはいったい……っ」


「ん? これ、紗夜ちゃんの今月分のお小遣いだよ。これで好きなものを何でも買っていいからね~!」


(……は?ちょっと待って、こんな手が沈むくらい重たいお金がお小遣い!?)


 私が驚きながらもそっと袋の口を開けてみると、無能扱いされていた実家(篝家)では見たことがないような額の、キラキラと輝く純度の高い硬貨がこれでもかと詰まっていた。


「こ、こんなにたくさん、本当に、私などがいただいてもよろしいのですか……?」


「もちろんさ~! じゃあ、僕は律に捕まる前に逃げるね~」


 私はいつもの気弱でおどおどとした演技を崩さずに小袋を受け取り、嵐のように去っていく旦那様を見送った。


 ふすまが閉まった瞬間、私の口元がニヤリと歪む。


(……やったわ! さすがは歴史ある蒼月あおつき家、あのケチな篝家とは格が違うわね!!)


 そして夜になり、完全に一人になった自室で、私は今朝もらった小袋から硬貨を取り出して畳の上に並べていた。


 チャリン、チャリンという小気味いい音が部屋に響く。私が大喜びでお金を数えている様子が伝わったのか、押し入れから琥珀こはくがトコトコと歩いてやってきた。


「……きゅ~?」


 琥珀は並べられた硬貨を不思議そうに前足でチョイチョイとつつき、小さく首をかしげている。


 そんな愛くるしい相棒をよそに、私の目は完全に自由への野心で輝いていた。


(……これだけあれば、円満離縁した後に小さな家を借りても、数ヶ月は余裕で遊んで暮らせるわ……!)


 そんな喜びの反面、私はこの大金の隠し場所について考えを巡らせていた。


 押し入れはすでに琥珀の秘密基地セーフハウスになっているし、クローゼットや布団の隙間は、優秀な使用人たちが掃除の際に見つけてしまう可能性がある。


(……どうしようかしら。私以外には絶対に触られない、かつ誰の目にも留まらない完璧な隠し場所を探さないと……)


 私がそんなことを考えながら、部屋中の隅から隅までを鋭い目で見つめていた、その時。一箇所だけ、タンスの陰にある畳の合わせ目がわずかに浮いている場所を見つけた。


 その部分の畳をそっとずらし、床板の一枚を慎重に持ち上げてみる。するとそこには、暗くて狭いけれど、今まで誰の目にも触れてこなかったような、隠すのには絶好のスペース(床下)が広がっていた。


 私はそこにお小遣いの入った袋をしっかりと縛って、床下の奥深くへとコッソリしまい込んだ。


 そうして畳を元通りに戻すと、どこからどう見ても何の違和感もない、ただの綺麗な和室にしか見えない。


(……よし! これで完璧ね! 旦那様、あなたのくれたお小遣いは、私の輝かしい隠居スローライフのために有効活用させてもらうわ!)


 私が満足げにふんぞり返って胸を張ると、すぐ隣で琥珀も私の真似をするように「きゅ~っ!」と小さな背筋をピンと伸ばした。


 私はそんな愛くるしい相棒をぎゅっと抱きしめ、順調すぎる計画の第一歩に、深く期待を膨らませるのだった。

読んでいただき、ありがとうございます!

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