表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
海蝕洞の幻宝  作者: 昭真
4/6

第四話 海蝕洞の中へ侵入せよ

回 想

 三人の小学生を乗せた小舟は、穏やかな波の上を滑るように、沖へと進んで行った。能天気なトシは遠足気分、舟の漕ぎ方を散々教え込まれてきたたけしは、快調に舟を進めて行った。ただ一人、シンジは海の状態を冷静に見つめていた。やがて、波が荒れ出すと、シンジは崖から一旦離れ、波に乗って一直線に洞窟へと突き進むことを提案し、三人は実行に移すのだった。シンジの適確な判断で荒波をかいくぐり、小舟は洞窟へと接近して行った。

「たけしっ、洞窟が近い。早く中へ入ってしまおう。もたもたしてると、崖にぶつけられるぞっ!」

 シンジが大声で叫んだ。

「わかった、任せろっ!」

 たけしの心から恐怖は消えていた。シンジの冷静さに引きずられて、たけしにも波が的確に読めるようになっていた。

「洞窟と舟が一直線になるように、舟の位置を調整するんだ」

 たけしは慎重に魯を右へ左へと傾けた。船を前進させなくても波が洞窟へと誘導してくれる。あとは舟が崖に激突しないように、魯を操るだけだった。

「あと10mだぁ、次の来る波に乗って、洞窟の中へ入るぞっ!」

 シンジがまた叫んだ。次の波で一気に崖へと舟は押し出される。舵を取り損ねたら、舟は木っ端みじんになる。たけしは無言のまま、洞窟の入り口から目を離さなかった。

「たけし、頼むぞぉ」

 トシが船の先端で弱々しく叫ぶが、たけしの耳には届かない。

「最後の波が来るぞー!」

 シンジの声と共に、小舟の先端が大きく持ち上げられると、崖に向かって一気に加速した。シンジは舟のへりを掴んだ。トシは頭を舟の中で抱えた。たけしは立ったまま集中力を切らさない。

「行けっー!」

 たけしの掛け声とともに、小舟は薄暗い洞窟の中へと進入していった。


 洞窟の中は嘘のように波が小さい。三人を乗せた小舟は、洞窟へとゆっくり進んでいった。中に入って行くほどに光が奪われていく。シンジはリュックの中から懐中電灯を取り出して、進行方向を照らした。

「シンジ、おまえのお陰で助かったよ。おれとトシだけだったら、洞窟に近付くこともできなかったよ。本当にありがとう」

 たけしの言葉にトシも無言で頷いていた。

「まだ、洞窟にはいったばっかりだぜ」

 シンジはクールに答えた。

「この先は何があるかわからない。トシは魯を持って、障害物があったいつでもつけるようにしておいてくれ。それと、宝物を素手で触らないように、手袋をつけておこう」

 シンジは軍手をリュックから取り出すと、たけしとトシに手渡した。

「いよいよだなぁ、たけしぃー」

 ついさっきまで泣きそうな顔をしていたがトシが、いつもと変わらない能天気な笑顔に戻っていた。

「そうだなぁ、早く見たい、見たい」

 緊張感から解放されたたけしは、小舟を洞窟の中へとどんどん進めていった。


「かなり奥の方まで来たけど、まだ行くのかよ。もう真っ暗で何も見えないよ」

 トシがまた情けない声をあげた。

「何言ってんだよ。まだ何も見つけてないじゃないか」

 たけしはまだまだ進むつもりだった。

 既に懐中電灯の明かりがなければ何も見えなくなっていた。洞窟の入り口から射す太陽の光は、ここまで届いていなかった。波はほとんどなくなり、舟は波のない湖の上を進んでいるようだった。

「あれ、なんだ?」

 シンジの声を聞いたたけしとトシは、洞窟の奥に目をやると、眩しいばかりの青い光が放たれだした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ