表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワガノワ・メソッド:キーロフ出身の漢がバレエの真実をぶった切る  作者: はまゆう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/10

第8話 【激白】バレエの「常識」、半分以上ウソだった。

「先生、これって正しいんですか?」


若い奴が、バレエの「常識」について聞いてきた。

「みんなそう言ってるし、ずっとそう教わってきたんですけど…」


俺、その時思わずため息が出た。


「みんなが言ってることと、正しいことは、別だ。」


この業界、変な「常識」がはびこりすぎてる。

今日はな、そのウソをバッサリ切ってやる。


---


ある日、聞いた「衝撃の常識」


今からもうずいぶん前になる。

とあるスタジオで、先生が生徒に言ってた言葉。


「お腹を凹ませて!」

「お尻を締めて!」

「肩を下げて!」


どこのスタジオでも聞く言葉だ。

当時は俺も「ふーん」って聞いてた。


でもな、ある時、キーロフの医者にその話をしたら、

医者がこう言ったんだ。


「それ、身体を壊す方法ですね。」


耳を疑ったよ。


医者は続けた。

「お腹を凹ませると、呼吸が浅くなる」

「お尻を締めると、股関節が動かなくなる」

「肩を下げようとすると、逆に首が固まる」


つまり、よく聞く「常識」の多くは、

解剖学的に間違ってるってことだった。


---


バレエ界「5大誤解」、ぶった切る


よし、じゃあ具体的に教える。

世の中に蔓延する「5大誤解」を、一つずつぶった切ってやる。


誤解1:「お腹を凹ませるのが正しい」


お前、これやったことあるだろ?

「お腹引っ込めて!」って言われて、思いっきり凹ませた。


でもな、それ、呼吸ができなくなるだけなんだ。


正しいのは「凹ます」じゃない。

「軽く引き上げる」だ。


どう違うか?

凹ます=息を全部吐いて、そのままキープ。

引き上げる=息を吸った状態で、お腹の下の方に軽く力を入れる。


凹ますと、横隔膜が動かなくなる。

引き上げるなら、横隔膜は自由に動ける。


試してみろ。

お腹を凹ませた状態で、深呼吸してみろ。

できねえだろ?


誤解2:「お尻を締めるとアンドゥオールが深くなる」


これ、最悪の誤解の一つだ。

「アンドゥオール=お尻をギュッと締める」と思ってる奴、後を絶たない。


でもな、お尻を締めると、逆にアンドゥオールは浅くなる。


なぜか?

お尻の筋肉(大殿筋)は、股関節を外に回す筋肉じゃない。

むしろ、内に回す働きがあるんだ。


つまり、お尻を締めれば締めるほど、

股関節は内側に入っていく。


正しいのは「締める」じゃない。

「下ろす」だ。


お尻の力を抜いて、自然に下ろす。

すると、股関節が動きやすくなる。


誤解3:「肩を下げるときれいに見える」


「肩が上がってる!」って言われて、

思いっきり肩を下げたこと、あるだろ?


でもな、肩を「下げよう」とすると、首が固まる。


なぜか?

肩を下げる筋肉(広背筋など)は、

首の筋肉とつながってる。

無理に下げようとすると、首まで一緒に固まるんだ。


正しいのは「下げる」じゃない。

「背中に広げる」だ。


肩を下ろすイメージじゃなくて、

肩甲骨を背中側にスライドさせるイメージ。

そうすると、首は自由なまま、肩だけが落ち着く。


誤解4:「膝をピンと伸ばすのが正しい」


バレエでは「膝を伸ばせ」ってよく言われる。

で、多くの人がロックしてる。


でもな、膝をロックすると、衝撃を吸収できなくなる。


ジャンプの着地の時、ロックしてたらどうなる?

膝に全衝撃が集中する。壊れるぞ。


正しいのは「ロック」じゃない。

「軽く伸ばす」だ。


膝がカチッとロックする手前で止める。

筋肉で軽く支える状態。

これが「踊れる膝」の正体だ。


誤解5:「つま先をピンと伸ばせばきれい」


これもよく聞く。

「もっと足先を!」って。


でもな、足首だけでピンと伸ばしても、

そこに「感情」は乗らない。


正しいのは「足首だけ」じゃない。

「ふくらはぎからつま先まで連続して伸ばす」だ。


足首を伸ばす筋肉は、ふくらはぎから来てる。

ふくらはぎを意識せずに足首だけ伸ばそうとすると、

足首に負担がかかるだけ。


ふくらはぎ→アキレス腱→足首→つま先

この連鎖を感じながら伸ばせ。


---


なぜ「誤解」が生まれるのか?


ここで一つ、深い話をしよう。

なぜこんなに誤解が蔓延してるのか?


3つの理由がある。


理由1:「感覚」と「指示」のズレ


先生が言ってることと、

生徒が聞いてることは、違う。


先生が「お腹を凹ませて」って言う時、

本当に伝えたいのは「体幹を引き締めろ」だ。

でも、それを言葉で伝えるのが難しい。


だから「凹ませて」って言う。

で、生徒はそのまま「凹ます」を実行する。


これが誤解の始まりだ。


理由2:「見た目」と「機能」の混同


見た目が同じでも、中身が違うことがある。


例えば、あるダンサーのお腹は「凹んで」見える。

でも、それは「凹ませてる」からじゃない。

「引き上がってる」からだ。


見た目だけ真似しようとしても、

中身が伴わなければ、ただの「形」になる。


バレエは「見た目」じゃない。

「機能」なんだ。


理由3:「即効性」を求める心理


「お腹を凹ませれば、すぐに細く見える」

「お尻を締めれば、すぐにアンドゥオールが深く見える」


そういう「即効性」のある方法が広まる。

でもな、その場しのぎの方法は、

長期的には必ず歪みを生む。


ワガノワは「即効性」を求めない。

「持続可能性」を求める。


---


正しい「常識」の見分け方、教えてやる


「先生、じゃあ何が正しくて何が間違いか、どう見分ければいいんですか?」


いい質問だ。

3つのチェックポイントを教える。


チェック1:「呼吸ができるか?」


その方法をやった時、深呼吸できるか?

できないなら、それは間違い。


正しい方法は、呼吸を深くする。

間違った方法は、呼吸を浅くする。


チェック2:「全身がつながるか?」


その方法をやった時、腕と背中がつながるか?

脚と体幹がつながるか?


部分だけが動いてるなら、それは間違い。

正しい方法は、全身の連鎖を生み出す。


チェック3:「10年後も続けられるか?」


その方法を10年続けたら、身体は大丈夫か?

壊れそうなら、それは間違い。


正しい方法は、長く続けられる。

間違った方法は、いつか壊れる。


---


ある日の老師、伝説の一言


俺がキーロフで学んでいた頃、

ある老師に「どうしてこんなに誤解が多いんですか?」って聞いた。


老師、しばらく黙ってた。

で、こう言った。


「正しいことを言うのは、勇気がいるからだ。」


「お腹を凹ませて」って言えば、一瞬で形は変わる。

でも「引き上げろ」って言うと、説明が長い。

「どうやって?」って質問が返ってくる。

それを一つ一つ説明するのは、面倒だ。


多くの教師は「面倒」を避ける。

だから「即効性のあるウソ」が広まる。


でもな、本当の教師は違う。

面倒でも正しいことを伝える。

それが「本物」と「偽物」の違いだ。


---


結論:「みんながやってるから」で踊るな


よし、まとめるぞ。


バレエ界には「誤解」がはびこってる。

・お腹は「凹ます」じゃない

・お尻は「締める」じゃない

・肩は「下げる」じゃない

・膝は「ロック」じゃない

・足先は「足首だけ」じゃない


「みんながやってるから」

「ずっとそう教わったから」


その理由で踊り続けるな。


自分で考えろ。

自分の身体で確かめろ。

呼吸できるか?

全身つながるか?

10年後も大丈夫か?


それがワガノワの考え方だ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ