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ワガノワ・メソッド:キーロフ出身の漢がバレエの真実をぶった切る  作者: はまゆう


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第17話 【真実】ワガノワの「番号」、ただの呼び名じゃなかった。

「先生、なんでワガノワって番号ばっかりなんですか?」


若い奴に聞かれた。

「1番、2番、3番…覚えるの面倒くさいし、名前つけたらいいのに」って。


俺、その時、こう言った。


「その『番号』が、お前の身体を『地図』にしてるんだ。」


「は?」って顔してた。

でもな、これ、ワガノワの最も深い秘密の一つなんだ。


---


ある日、見た「混乱するダンサー」


今からもうずいぶん前になる。

あるスタジオで、フランスから来たダンサーがワガノワのレッスンを受けた時の話だ。


そのダンサー、技術は悪くなかった。

でも、先生の指示に混乱してた。


「1番!」って言われて、彼は動かない。

「3番!」って言われて、また動かない。


終わった後、彼が言った。

「番号が多すぎて、どれがどれだか覚えられません…」


先生が答えた。

「覚える必要はない。身体が覚えるんだ。」


彼、もっと混乱してた。


でも、その先生の言葉には、深い意味があった。


---


ワガノワの番号システムが「番号」である理由


まずは基本から行くぞ。


ワガノワには「番号」がたくさん出てくる。

・アームポジション:1番、2番、3番

・脚のポジション:1番〜5番

・アンドゥオールの段階:1番、2番、3番


なんで「名前」じゃなくて「番号」なのか?


理由は「順序」を明確にするためだ。


「アラベスク」とか「アチチュード」とか、

名前には「順序」がない。


でも「1番、2番、3番」には「順序」がある。

1番を飛ばして2番には行けない。


番号は「順番を覚えさせるための装置」なんだ。


---


番号システムの「3つの隠された役割」


よし、じゃあ教える。

ワガノワの番号システムが持つ「隠された3つの役割」だ。


役割1:「段階」を教える


番号の最大の特徴は「段階性」だ。


・1番は「入り口」

・2番は「通過点」

・3番は「出口」


みたいな。


例えば、アンドゥオールの段階。

「1番のアンドゥオール」は骨盤を立てる段階。

「2番のアンドゥオール」は大転子を回す段階。

「3番のアンドゥオール」は膝を整える段階。


「1番」ができてから「2番」に行く。

「2番」ができてから「3番」に行く。


番号は「今、どこにいるか」を示す道標なんだ。


役割2:「目標」を明確にする


「アラベスクをもっと高く」と言われると、

目標が「高さ」だけになる。


でも「3番のアンドゥオールを目指せ」と言われると、

目標が「その段階の完成」になる。


番号は「抽象的」な目標を「具体的」にする。


「もっと上手くなる」じゃない。

「3番ができるようになる」だ。


番号は「目に見える目標」を作る。


役割3:「共通言語」になる


これ、意外と大事なんだ。


世界中のバレエ教師が、同じ番号を使う。

・ロシアでも

・日本でも

・アメリカでも

・オーストラリアでも


「1番」と言えば、世界中で同じポジションを指す。


名前だと、国によって呼び方が違う。

でも番号なら、どこでも同じだ。


番号は「国境を超える共通言語」なんだ。


---


ある日の老師、伝説の一言


俺がキーロフで教え始めた頃、

ある大先輩に「なんで番号なんですか?」って聞いた。


先輩、こう言った。


「数字はな、『覚えろ』って言ってるんじゃない。

『段階を踏め』って言ってるんだ。」


「え?」


先輩は続けた。

「1番ができてから2番。

2番ができてから3番。


『名前』だと、全部同時にやろうとする。

『番号』だと、順番にやらざるを得ない。


これが、ワガノワの教育の基本なんだ。

『順番に』やらせるために、番号を使ってる。」


その時、番号システムの本当の目的が理解できた。


---


「番号を覚える」のではなく「番号を感じる」


ここで一つ、大事なことを言う。


多くの人は「番号=暗記」だと思ってる。

「1番はこうで、2番はこうで…」って。


でもな、ワガノワでは違う。


番号は「覚える」ものじゃない。

「感じる」ものなんだ。


例えば、アームポジションの1番。


「腕を前に丸く上げる」って覚えるんじゃない。

「背中が伸びて、肩甲骨が下がって、

脇が開いて、肘が丸くて…」

そういう「身体の感覚」と一緒に覚える。


番号が「引き金」になって、

その「感覚のセット」が一瞬で呼び出される。


これが「身体が覚える」ってことだ。


---


番号システムの「進化の仕方」


番号システムは、進化する。


最初は「1番って何?」から始まる。

暗記して、覚えて、形を真似る。


次に、「1番の感覚」を覚える。

形じゃなくて、身体の使い方を覚える。


最後に、「1番が身体になる」。

考えなくても、自然と1番の身体になる。


この3段階を経て、番号は「自分のもの」になる。


「覚える」段階で止まってる奴は、

番号に「縛られて」る。


「感じる」段階まで行った奴は、

番号に「自由に」なる。


---


よくある誤解、3つ


ここで番号システムに関する誤解を解いておく。


誤解1:「番号は形式主義」


「番号ばかり気にして、自由な表現ができない」

そう思ってる奴、いるだろ?


でもな、番号は「自由になるための基礎」だ。


基礎がない自由は「ただの混乱」。

基礎がある自由は「真の表現」。


番号は「混乱」を「秩序」に変える。


誤解2:「番号は覚えれば終わり」


「1番覚えた。はい終わり」

そう思ってる奴、危ない。


番号は「覚えて終わり」じゃない。

「使いこなす」までが番号だ。


覚えるのは「入り口」。

使いこなすのが「ゴール」。


誤解3:「番号はワガノワだけ」


「ワガノワだけが番号を使ってる」

そう思ってる奴、いるかも。


でもな、番号システムは、

世界中のバレエメソッドで使われてる。


違うのは「どう教えるか」だ。

ワガノワは「順番」を徹底する。

他のメソッドは「結果」だけを求める。


番号自体は道具。

使い方が違うだけだ。


---


結論:番号は「地図」であり「道標」である


よし、まとめるぞ。


ワガノワの番号システム。


それは「暗記するもの」じゃない。

「覚えるもの」でもない。


番号は「地図」であり「道標」なんだ。


・今、自分がどこにいるか(段階)

・次に、どこに行くべきか(目標)

・どうやって、そこにたどり着くか(方法)


この3つを「番号」で示している。


番号を「暗記」で終わらせるな。

番号を「感覚」に変えろ。

番号を「身体」にしろ。


その時、お前は番号から「自由」になる。





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