53.アンナの処遇
手紙を送ってしばらくしたら、アレパプール男爵家のテレル様とヘレナ様、ヘレナ様はアンナの母親とのこと、それにシャタイン伯爵家のハディー様が、公爵邸に魔道馬車でやってきた。
公爵邸の応接室でお義父様、お義母様、お義姉様、俺、レンが対応した。
ハディー様が
「このたびは大恩あるテー公爵家の方々にご迷惑をかけたことをお詫びします。
アレパプール男爵家の借金はシャタイン伯爵家が肩代わりしますので、そのことについては気にする必要はありません。アンナの取り扱いはいかようにもしてください」
と言ったので、俺が、
「アンナは俺が奴隷商のところで買ったので、今のところ俺の奴隷となっている。もし、そちらが引き取りたいというのであれば、引き渡そうと思ったが、アンナは家に帰りたくないというので、公爵邸で俺の仕事を手伝ってもらおうと思っている」
と言うと、テレル様が、
「家に帰らないのか、もういやな結婚をさせたりしないから」
と言った。
「そうよ、アンナ、お父さんもこう言っているのだから」
とヘレナ様が言った。
「うう、でもやっぱり気持ちの整理がつかないから。それに家に帰ったらお邪魔虫だし、することもないから、ここにいたら、ハルトさんがヤマユリ商会の仕事を任せてくれるって言うし」
とアンナが答えた。
「ヤマユリ商会って」
とハディー様が叫んだ。
「ヤマユリ商会って、ひょっとしてハルト様の商会?」
「そうだよ、言ってなかった。」
「聞いてない。魔道馬車もハルト様が作っているの?」
「そうだけど、これは内緒にしてね」
「わかりました。それでヤマユリ商会の売上、月にいくらくらいあるの」
「王都のチョウチョ商会への納入した商品の納入金額と魔道馬車の賃貸料も入れると月金貨2900枚ぐらい、年間35000枚ぐらい」
「年間金貨3万枚」
そう言って、一同絶句している。
「そうだよ、だから帳簿付けをしてくれる奴隷が欲しいといつも言っていたじゃない。それをレンが絶対ダメって言っていたのだから」
「わかったわよ、ハルトが奴隷を買うのは認める」
そしたら、アンナは
「私はここに残って、ヤマユリ商会の仕事をする」
と言い出した。
これには父親のテレル様も、母親のヘレナ様も納得せざるを得なかった。なお、アンナさんについては、解放奴隷にすると他の貴族に何か言われたときに対応できないため、そのまま奴隷としてハルトの管理下に置くことになった。
ちなみに、ヤマユリ商会とチョウチョ商会の売上は以下のとおりである。
ヤマユリ商会の月の売上の主なものは、リバーシ(銀貨1枚)が100個で金貨10枚、栄養剤(小銀貨2枚)が1,000本で金貨20枚、陶磁器(小銀貨5枚)が200個で金貨10枚、照明パネル(銀貨1枚)が100個で金貨10枚、振動の少ない車輪(4輪取り換えで金貨50枚)が1セットで金貨50枚、マジックバッグ容量小(金貨100枚)が1個で金貨100枚、石鹸(小銀貨1枚)が1000個で金貨10枚、洗髪用液体石鹸(小銀貨1枚)が1000個で金貨10枚、これらで小計金貨220枚、それ以外の商品で金貨10枚、さらに毎月中級ポーション(銀貨6枚)を30本、初級ポーション(銀貨1枚と小銀貨2枚)を100本商業ギルドに納めている。(合計金貨30枚)、ここまでの小計金貨260枚、砂糖6t金貨600枚、魔道馬車の賃貸料公爵家への分月金貨5枚が80台で金貨400枚、他の貴族家への分月金貨3枚300台で金貨900枚、合計金貨2160枚ぐらいになる。
一方、チョウチョ商会の月の売り上げは、リバーシ(銀貨2枚)1000個で金貨200枚、陶磁器(銀貨1枚)2000個で金貨200枚、石鹸(小銀貨2枚)10000個で金貨200枚、洗髪用液体石鹸(小銀貨2枚) 10000個で金貨200枚、消臭液(小銀貨2枚)1000個で金貨20枚、砂糖(1kg銀貨1枚)が3tで金貨300枚、他の食品の売り上げで金貨300枚、合計金貨1420枚。うち、ヤマユリ商会への支払いは50%の金貨710枚
なお、エバについては愛人とすることになった。第2夫人とすると奴隷では難しいとのこと。ジグムントお義父様によると、側室は王家に届けが必要だが、愛人は何もいらないとのこと。
ちなみに公爵家にハルトの側室の綴り書きが主に下位貴族から、いくつか来ているそうだ。レンが怒ると思ってハルトには見せてなかったとのこと。
ハディー様とテレル様とヘレナ様は、しばらく公爵邸に泊まることになった。ヤマユリ商会の店も見に来た。
値段はチョウチョ商会の王都店の半分だというと、陶磁器をいくつか買っていった。
ハディー様が、2階の俺とレンの居室に来て奴隷のエバを見て
「ハルトの奴隷ハーレム計画は前進しているのですね。よくレンが許したね」
と言った。
「奴隷ハーレム計画は俺の夢だ。その計画に基づいてレンを買ったのだから口答えは許さない」
「だって、毎日グジグジ言うのだもの。おまけに奴隷を買うのを許してくれないと娼館へ行くとか言い出すし。結局根負けしたの」
「それでアンナを買ったのだ。それにしてはよく手を出さなかったね」
「俺にも貴族と平民の見分けぐらいつく。貴族に手を出すとやばい。元平民なだけに、貴族とはかかわりたくない。本能的にそう思ってしまう」
「そーなんだ。学院ではハルトは結構点数高かったんだよ。養子とはいえ公爵令息だし、顔も頭もいいし、魔法や剣術も強いし、チョウチョ商会にかかわっているから金もあるみたいだし。
下位貴族の令嬢の中には本気で愛人にしてほしいと言っていた娘もいたよ」
「え、でも俺学院で口説かれたことなんてなかったよ」
「当たり前じゃない、横にレンがいるのだもの、レンだって養子とはいえ公爵令嬢だし、それにそばにはユリアーネ様もいたし、もしユリアーネ様の耳に入れば、家ごとつぶされる。
昔お茶会でレンを馬鹿にした伯爵家が後でつぶされかけたという話を聞いたことがある」
「あの時はユリアーネお義姉様が相当怒って、飲み物もお菓子も一切口にしなかったんだ。次の日伯爵家の当主が謝りに来たのは知っているけど、やばい話になっていたんだ」
「やっぱりそうなんだ。それで話が変わるけど、ハルトとレン、子づくりしているのだよね。もし、女の子だったら、うちの弟の嫁にするって話覚えているよね。うちの弟は今4歳だから、がんばってね」
「覚えている。毎日頑張っている。たぶん来年には生まれる」
「だから旦那様今日も頑張るのですよ」
レンの鼻息が荒い。
ハディー様とテレル様とヘレナ様は、1週間ほど公爵邸に滞在して帰っていった。なお、アンナさんは奴隷とはいえヤマユリ商会の取りまとめをしてもらうため、月に金貨3枚の給金を出すことにした。




