54. 叙爵
冬の社交シーズンになった。ジグムントお義父様とアベリアお義母様と、俺とレンは王都にやってきた。
王都に来て俺は王宮に呼ばれた。ジグムントお義父様と一緒に王宮に行くと、俺は子爵に叙爵されるとのこと。
アー川会戦の作戦立案と魔道馬車の開発さらに王宮でのスパイ捕縛も密かに加味されて、いきなり子爵に叙爵されるとのこと。
これまでは成人前で、他の貴族から守るということで、ジグムントお義父様が、王様に働きかけていたようである。学園を卒業し、成人したので、このあたりが頃合いということで今回の叙爵になったとのこと。
他にも叙爵される貴族もいるそうである。これについては冬の王宮のパーティーで披露されるとのこと。領地ももらえるとのこと。領地はユルノギ王国に隣接する王家領とのこと。シャタイン伯爵家やアレパプール男爵家がお隣さんになる。最近はユルノギ王国の様子がきな臭いので、その守りに俺とレンを配置したようにも取れる。
叙爵に伴う難しいことはすべてジグムントお義父様とアベリアお義母様に任せて、俺は操り人形に徹することにした。また、子爵家の名前は中心都市ネイメーと同じネイメー子爵家とした。紋章やそれ以外のことはすべてレンに任せた。
その時間を利用して今後のことを考えた。領都ネイメーに駐留するアムスム王国軍が撤収するのは半年後の5月、それまでに子爵家の領軍を形だけでも整えなければ、隣接するユルノギ王国のハウゼンバー侯爵家の領軍が攻めてくる可能性がある。少なくとも国境侵犯はしてくると考えられる。
予想されるハウゼンバー侯爵軍の規模は約3000傭兵を加えたとしても最大4000人ほど、守りに徹するとして陣地を構築すれば、それでも最低2000人は必要である。数だけなら農民を徴用すれば揃えられるが指揮官がいない。
そこで、籠城戦はあきらめ魔道馬車を用いた野戦で決着をつけることにした。
ジグムントお義父様にお願いして、それまで魔道馬車については1台につき2名の運転手を公爵家から派遣していたが、それをすべて貸与先の貴族家の人間に肩代りしてもらい、その分をネイメー子爵家に派遣してもらうようにした。これにより魔道馬車の運転手600人を確保した。
そして俺は魔道馬車を新たに作り、これまで俺の収納空間ボックスに保管してある分も含めて200台の魔道馬車を確保した。
しかし、魔道馬車の屋根の上から攻撃をする魔法士がいない。そこで魔法士はあきらめ、屋根の上に爆裂弾の発射装置をつけて、それを魔道馬車の車内から操作するようにした。なお、この装置は脱着式とした。また、魔法士がいないのに攻撃ができるのを誤魔化すため、屋根の上には魔法士人形を作って魔法士がいるように見せかけることにした。
このことについては魔道馬車の乗員に固く口止めした。武装魔道馬車の誕生である。これだと、発射装置を操作する人間を武装魔道馬車1台につき2名確保すればいい。運転手2名と合わせれば武装魔道馬車1台で4名、200台で計800人必要である。
足らない200人についてはジグムントお義父様に依頼して、テー公爵家及びその寄子の子弟から募ってもらった。
この募集に関しては、男子だけでなく女子でも構わないとした。魔道馬車の中で操作するだけなら男子でも女子でも変わらないと思ったのと、軍にも女性がいる方が華やかになると思ったからである。また、多分に俺の趣味でもある。男女に給金の差は付けない、働きに応じた給金を支払うという募集条件に魅かれたのか、男性よりも女性の方が多く集まった。
そして、テー公爵領の山中で、空砲を用いた武装魔道馬車の訓練を行った。この中で明らかとなったのは、命中率の低さと指揮系統の混乱である。
命中率の向上については、発射装置にダンパーとスプリングを設置し、さらに衝撃吸収の魔法陣を設置した。これでも動く車内からの発射というのは難しいようなので、武装魔道馬車の攻撃目標を同じにすることにより、部隊全体で一体的に集中発射することにした。これにより、命中率の低さをカバーすることにした。
しかし、そのためには、指揮官の命令を個々の武装魔道馬車に伝える必要がある。そこで、武装魔道馬車の中に監視装置を設置して内部のスクリーンに指揮官の命令を表示するようにした。
このようにして完成した武装魔道馬車での訓練を冬の間に行った。




