41.恩賞
俺がベー王国のスパイを捕らえたので、王宮から「褒美を与えたい」と言ってきた。
俺はジグムントお義父様と一緒に王宮へ行った。別室に案内され、レオンハルト国王様とリンゼー第2王子様に面会した。
「今回のスパイのことは公にされていないが、できることがあれば希望に沿いたい」
とのこと。俺は
「私には元商家の娘の奴隷がいます。学院を出ているというので、相当大きな商家だったと思います。彼女は両親が死んだ後、借金があるということで奴隷になったとのことですが、私はその経緯に疑問を持っているので王宮に商業関係の書類があれば調べてみたい」
すると
「商業関係の書類だと商務省になる。テー公爵を商務省の特別監査官に任命するので、ハルト殿とその娘は助手ということでテー公爵と一緒に調べればよい」
国王様の許可が出た。
公爵邸へ戻って、俺が王宮でベー王国のスパイをとらえたこと、そして、その褒美として商務省の書類の調査をできることになったこと。
リタが奴隷になった経緯がおかしいと思っているので、その時の書類が保存されていれば、何かわかるかもしれないことを説明した。
そして、リタとレンにも協力を依頼した。リタは自分のために、貴重な褒美を使ってくれたことに感謝していた。
ユリアーネお姉様もついてくることになった。
俺には鑑定魔法がある。これがあれば書類を見ただけで不正が分かる。後は不正をした箇所に付箋を貼って簡単なメモ書きをすれば、あとはレンとリタが処理してくれる。
彼女たちの事務処理能力は高い。俺は急ぎ収納空間ボックスの中で付箋を大量に作った。
ジグムントお義父様とユリアーネお姉様、俺とレンそれにリタは次の日商務省に行った。ジグムントお義父様が今回の監査について説明した。
急なことだったので商務省の官吏は戸惑っていたが、国王からの監察官への任命書も持っていたので、受け入れられたようだ。
俺たちは書類が保管されている部屋に案内してもらうと、自分たちでチェックするので各自仕事に戻ってもいいと言って立ち合いの2人を除いて、他の官吏には元の部屋に戻ってもらった。
1枚ずつ書類を鑑定するのは面倒だなと思い、まとめてできないかなと思って
「この部屋ごと不正箇所を鑑定」
と唱えたら、頭の中に、この部屋の不正箇所が分かるようになった。
そこで、不正箇所に順番に付箋を貼って簡単なメモ書きをしていった。そして、レンとリタそれにユリアーネお姉様に確認をお願いした。
俺たちがあまりにもてきぱきと作業するので、商務省の立ち会い人は驚いていた。
そして、税金をごまかしていた商会が5つ見つかった。また、特定の官吏が間違いをしていることも判明した。また、契約書の内容がおかしい取引が5つ見つかった。また、上司の決裁がないのに処理済みになっている書類が出てきた。
この書類を作成したのはゲスタという官吏でこれにはコー商会という商会が関わっていた。そこで、コー商会で索敵したら、あと10個出てきた。見ると、契約書の相手方が違うのに、筆跡が全く同じだった。明らかに契約書が偽造されている。この11個の書類を作成した官吏はゲスタの他にライムとテレルという官吏がいた。
そこで今度はゲスタ、ライム、テレルで不正書類の検索をかけた。するとさらに10個の書類が見つかった。
結局ゲスタ、ライム、テレルはコー商会とパコ商会と組んで契約書を偽造した書類を作成していた。そして、その21個の多くが上司の決裁が無いのに処理済みとなっていた。
その中にリタの父親の書類もあった。役人の不正という重大な問題が明らかになったので、ジグムントお義父様にお願いしてリンゼー第二王子様を呼びに行ってもらった。
明らかになった内容を説明すると、リンゼー第二王子様は厳正に対処すると約束してくれた。そして、ゲスタ、ライム、テレル、コー商会長、パコ商会長の捕縛を命じていた。
後日、関係者の処分の内容を説明された。ゲスタはコー商会長と謀ってリタの両親の暗殺をしたことも判明したようだ。ゲスタは伯爵家の出だそうだが、その伯爵家の関与はなかったそうだ。それで、ゲスタは財産没収で鉱山送り、さらに伯爵家へもゲスタが払えない分の損害を賠償するよう命じられたとのこと。
コー商会は商会と商会長の財産はすべて没収、商会長とこれにかかわった者は処刑、ライム、テレルもゲスタと同様、財産没収と鉱山送り、出身家への損害賠償請求、パコ商会もコー商会と同様、財産没収と処刑とのこと。
そして、リタはリタの父親の商会の損害額が明らかになればその金額が補償される。また、リタの奴隷契約はそれ自体が無効とのこと。これをリタに説明すると泣いて喜んだ。




