40.映像と音声を記録する魔道具
冬の社交界シーズンになったので、ジグムントお義父様が領都から出てきた。長男のアール様3歳はお留守番、アール様1人だけ残すのはかわいそうということで、アベリアお義母様も領都に残るとのこと。
ジグムントお義父様は王都に到着すると王宮へ出かけて行った。戻ってきて、以前学園で使った
「映像と音声を記録する魔道具」
のことを聞かれた。
学園で使った魔道具の話が国王の耳にも入ったようだ。
どうも、アムスム王国の秘密が外部に漏れているようで、王宮にスパイがいるかもしれないので、この魔道具を王宮内に設置して、犯人を捕まえたいとのことらしい。
ジグムントお義父様から、
「その魔道具はどのようなものなのか」
と言われたので、
小指の先ほどの大きさの魔道具を見せて、
「これで、映像と音声を記録します。これで3日ほど使えます。魔石を大きくすると連続で使える時間が長くなります。1日ほどでいいのならこれの1/3ぐらいの大きさにできますが、そうなると風で飛んで行ったりする恐れがあります。それで、そのような大きさにするのであれば、ペン先につけるか置物に張り付ける方がいいと思います。映像と音声を再生するには再生用の魔道具を用います」
と答えた。
「ここで使ってみてくれ」
と言われたので、魔道具のスイッチを入れた。しばらくしてスイッチを切って、再生用の魔道具にセットして再生した。
「すごいものだな。これは今どれくらいあるか」
と言われたので
「今あるのは100個ぐらいですが、大きさを指定してもらえれば3日ほどあれば500個ぐらいは作れます。ただ、1個につき金貨1枚はもらわないと」
と答えた。
結局そのまま王宮に連れていかれた。王宮なんて初めてである。どうしていいかわからない。ジグムントお義父様の言われるまま行動するだけである。
王宮に行くと、そのまま別室に案内された。しばらくするとレオンハルト国王様とリンゼー第2王子様が部屋に入ってきた。
先ほど同じ説明をした。小指の先ほどの魔道具が300個、その2倍ぐらいの大きさと、その1/3ぐらいの大きさの魔道具をそれぞれ100個、それに再生用の魔道具を20個の注文を受けた。1個金貨1枚で買い取ってくれるそうだ。設置はリンゼー第2王子様がしてくれるそうだ。
俺は3日ほどで、魔道具を作った。学園は風邪ということで欠席にした。そして、ジグムントお義父様と一緒に王宮に行って、リンゼー第2王子様に納品した。
俺は
「この魔道具が王宮に設置されるということは、魔力の波長が同じ監視装置を王宮内に張り付けてもばれない」
と思った。
それで、密かに監視装置を1000個ほど王宮内に張り付けた。魔道具だと後で再生して確認する必要があるが、監視装置なら、自動的に異変を察知したとき、俺に連絡が来る。
そしたら、変装用の魔道具をした人間が見つかった。俺はジグムントお義父様に
「王宮を見てみたい」
と言ってその男の方へ歩いて行った。そして、遠くからその男が見える位置まで来ると、ジグムントお義父様に
「あの男は変装用の魔道具を使っている。スパイの可能性がある」
と言ったら、難しい顔している。
リンゼー第2王子様を連れに行こうとすれば、その間に逃げられる。
「仕方ない。捕まえてくれ」
ジグムントお義父様の了解が得られたので、すぐにその男の周りに結界を張って、中の酸素を抜いた。
この結果はてき面で口元を抑えて苦しそうにしていたが、しばらくして気絶した。
リンゼー第2王子様を呼んできてもらって、変装用の魔道具のスイッチを切ったら、以前シーメルバル子爵家で見たベー王国の暗部の人間だった。
俺がそれを言うとリンゼー第2王子様は驚いていた。そのあとこの男を手引きした人間や協力者を徹底的に捕まえるとのこと。
後で聞いた話であるが、王都には男を手引きした貴族がいたとのこと、その貴族の紹介で王宮に潜り込めたとのこと。
そして、その男に情報を漏らしていた王宮の官吏が数人いたとのこと。それらの人間がすべて捕らえられたそうである。
今回その男が逃亡できなかったのは、俺がその男を捕まえる際に窒息させたため、体に異常が出たみたいで魔法が使えなくなったためとのことである。
これらは秘密裡に処理されたため、具体的な貴族の名前などは教えてもらえなかった。




