28.陰謀の影
その夜、俺は昼間の猫のことが気になって、あの貧民街のいたるところに監視装置を送り込んだ。
あのあたりに、以前王都に来る時に俺たちを襲った闇ギルドがあるかもしれない。なくても、その情報が得られるかもしれない。
そしてついに闇ギルドの本部を見つけた。そこはあの猫のとらわれている建物にあった。
それから数日すると、ジグムント様から
「1週間後にユリアーネ様がシュベルテ伯爵家のお茶会に参加するので、レンとともに護衛をしてほしい」
と言われた。
俺は従者、レンはメイドとのこと。レンは無茶苦茶乗り気である。
「私が公爵家のメイド」
と言って、先輩メイドの指導を受けている。
そしたら、ユリアーネ様が
「ハルトは普通にしていていいけど、レンはあまり目立たないようにしなさい。レンは見た目がよくないのだから、テー公爵家にはこんなメイドしかいないと思われては困るから。
それにレンはやりすぎるみたいだし。私、忘れたわけではないのですよ、20人の盗賊が一瞬でひき肉になったのを」
と言って、口元を抑えて洗面所へ駆け出していった。
ユリアーネお嬢様にとって、どうもあのシーンはトラウマのようである。
それから俺はお茶会の開かれるシュベルテ伯爵家にも監視装置を張り付けるとともに、自分でも伯爵家の監視をした。
そしたら、シュベルテ伯爵家のメイドが闇ギルドの人間と接触しているのがわかった。どうもお茶会の時に飲み物に遅効性の毒を仕込んでお嬢様に飲ませようとしているようだ。
シュベルテ伯爵家の人間はこのことに気づいてないようだ。闇ギルドの人間を尾行したら、シーメルバル子爵家に入って行った。
そこで、シーメルバル子爵家を監視装置で監視したら、ベー王国のたぶん暗部の人間がいた。一度だけ鑑定をかけたら変な顔をしていたので、能力的にかなり高いと思いそれ以上の鑑定は危険と判断して止めた。
とりあえず、ここまでの状況で公爵様に報告した。
監視装置と鑑定は秘密なので、俺はあくまで俺が張り付いて得た情報として、公爵様に報告した。
「シュベルテ伯爵家のメイドの1人が闇ギルドの人間とつながっており、このことを伯爵家の人間は知らない。
メイドは今度のお茶会で遅効性の毒を入れた飲み物をユリアーネ様に飲ませようとしている。
闇ギルドはシーメルバル子爵家から依頼を受けたようだ。
そしてシーメルバル子爵家はベー王国の暗部とつながっている。暗部の人間は非常に能力が高く俺の監視がばれそうになった。」
こんな内容で報告した。
公爵様から
「その毒を使う前にメイドから奪うことは可能か。」
と聞かれたので、
「ユリアーネ様の護衛をレンだけに任せてよいなら、多分メイドに気づかれずに奪うことができる。」
と答えた。
公爵様からは、あまり時間がかかっても困るが一時ならユリアーネ様から離れてもよいとの返事をもらった。




