27.王都の1日
王都はこの国の最大都市でたぶん人口は15万から20万ぐらい、アー川と主要街道の交わるところとして、交易と政治の中心都市として発展してきた。現在も人口が増え続けているようで、現在王都を囲う城壁の拡張工事をしているとのこと。
王都についてから、俺とレンの仕事はユリアーネ様の護衛とのこと。ユリアーネ様が公爵邸にいるときは自由にしていいとのこと。
早速俺とレンは王都観光に行こうとしたがどこへ行けばいいかわからない。それで、公爵邸の従士のアントンさんに王都の案内をお願いした。
公爵邸を出ようとしたら、ユリアーネ様から待ったがかかった。ユリアーネ様も連れて行けとのこと。うざい。ユリアーネ様がいると、絶えず周囲に注意を張らないといけない。無茶苦茶疲れる。まして初めての王都で土地勘なんて全くない。
「誰かやめるように言ってくれないかな」
と思い、執事のライムさんに報告したが、ここへ来る道中の俺とレンの強さを知っているので、
「ハルト殿とレン殿がいれば問題ないだろう。」
ということで、2つ返事でOKが出た。
心配なので、誰にも言わないように言って、ユリアーネ様に透明の魔力の防具をまとわせた。
ユリアーネ様が
「これはどれくらいの強さなのだ」
と言われたので、
「ナイフぐらいなら簡単にはじきます。魔法攻撃も効きません。ただし毒を吸ったり、毒を含んだ食べ物を食べたりした場合、魔力の防具の効果はありません」
と説明した。
試しにレンに魔力の防具をまとわせて、ナイフを投げた。ナイフはレンに刺さらずに、下に落ちた。
俺とレンとユリアーネ様とアントンの4人は町人風の服に着替えて、公爵家の馬車で中央広場まで送ってもらった。ここで下ろしてもらい、夕方迎えに来てもらうのである。
服屋に魔道具店、本屋と順番に見ていった。そして、屋台で串焼きを買って、休憩。さすが食べる前には鑑定で問題ないか確認している。
そして町人の生活を満喫しているとき、ユリアーネ様が、
「ハルトとレンは冒険者なんでしょ、ギルドにはいかなくていいの」
嫌な予感がする。
レンは人畜無害だが、超絶美少女のユリアーネ様を連れて行ったら絶対絡まれる。
「何とか誤魔化さないと」
と思っていたら、レンが
「そいえば、テー公爵領のギルドで、王都へ行ったら王都のギルドへもよってと言われた」
と言った。
そしたらユリアーネ様が
「これから行ってみよう。そして私も冒険者登録する。そして私も依頼受けるの」
どうも無理のようである。
上司の命令は絶対。しぶしぶ冒険者ギルドへ向かった。トラブル回避のため、収納空間ボックスから出したフードをユリアーネ様にかぶってもらったのが、せめてもの救いであった。
それからギルドではユリアーネ様はユリー、アントンはアントとすることにしてもらった。
ギルドの扉を開けて、俺とレン、ここまでは問題ない。
そのあと、ユリアーネ様が入っていくと、フードをかぶっていてもさすが公爵令嬢、オーラが違う、その場にいた連中の視線が集まる。
俺は
「絡まれてはまずい」
と思い、少し魔力を開放して威圧した。
そして受付に向かい
「俺と隣のレンはテー公爵領の冒険者、依頼で王都に来た。それから、こちらのユリーとアトンが冒険者登録したいというので手続きしてほしい」
と言った。
受付嬢は先ほどの威圧に少しびびっていたが、事務的に手続きしてくれた。ギルドカードをもらってユリアーネ様は嬉しそうである。
早速依頼を受けるというので掲示板のところへ行ったが、Gランクで受けられる依頼は薬草採取に溝掃除、草むしりぐらいしかない。
薬草採取は夕方までに戻ってこられない。さすがに公爵令嬢としては、溝掃除や草むしりは嫌そうである。
あれこれ言っていたら、迷子の猫探し。そんな依頼を見つけてきた。どこにあった、そんな依頼。土地勘のない王都で迷子の猫なんか見つかるわけがない。でも、ユリアーネ様の意志はかたいようである。
見つからなくても違約金は不要と書いてあるのがせめてもの救いである。
「夕方までの暇つぶし」
そう思って諦めることにした。
依頼主のところに行くと、依頼主はおばあさん、飼っている猫が3日ほど前から帰ってこないそうである。
猫の特徴を聞き、身の回りの物を見せてもらい鑑定でネコの魔力の特徴を調べた。そして、索敵でネコの位置を調べた。
そしたら、少し遠い、おかしいと思い監視装置を送って調べると、薄汚い部屋、そして通りの様子からそこは貧民街のようである。
索敵の能力は秘密にしたいし、俺が犬のように、においを追うことができるということにした。そして、猫の近くまで行ったら、アントンが
「ここから先は貧民街なので行かない方がいい」
と言った。
ユリアーネ様が
「ハルトとレンがいれば問題ないでしょう」
と言ったが
「トラブルになったら衛兵が来る。そうしたらユリアーネ様が貧民街へ行ったことがジグムント様にばれますよ」
と言ったら、諦めてくれた。
おばあさんには、「においを追っていったら、貧民街に行ったが、それ以上はわからなかった」と報告した。
そんなことをしていたら、夕方になったので迎えの馬車で帰ってきた。結局暇つぶしだった。




