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265.東方の調査(亡国の民のその後2)

 イリナという名の幽霊の頼みで亡国の民の血を引く者探しを始めたハルト一行であったが、見つかった奴隷は30人と少なかったことから、マエズラ王国で保護することになった。


「今から俺の国に連れて行く。なお、こちらにいるサラムという商人が引き続きこの地でお前たちの同胞を探してくれることになった。


 もしお前たちの仲間が増えればまた俺の国で保護することになると思う。それでいいか。と言っても了解してもらうしかないのだがな」


 すると、

「俺たちの扱いはどうなるのか。奴隷のままか」

「お前たちが『奴隷が嫌』と言えば解放奴隷にできるが、そうなると俺の庇護は得られないぞ。俺の奴隷なら、誰も手出しはしない。しかし平民ならちょっかいを出してくる者もいるかもしれない。とりあえずは奴隷のままとし、そのうち考える。それでいいか」

「わかった」


「近くへ寄れ。今から俺の国に連れて行く」

30人の亡国の民が近くに寄ったので俺は東の市へ転移した。場所は宮殿の前の広場、ここだと宮殿がよく見える。この宮殿は、このあたりでちょっとした観光名所である。とにかくこの宮殿はよく目立つ。おとぎの国のお城のような真っ白な外観と高い尖塔。


 まず、30人の亡国の民は一瞬で風景が切り替わったことに驚いている。そして見上げるお城に圧倒されている。

「いいか、これが俺の国、マエズラ王国だ。そしてここは東の市の宮殿前だ。今から宮殿に入る」

「これがご主人様の王国ですか、ものすごいお城ですね」

奴隷たちが驚いている。


 そう言って、俺は宮殿に向かって歩いて行った。すると広場にいた人たちがこちらを見ている。そして、

「精根の王だ」

誰かが叫んだ。すると、そこにいた人たちがうやうやしく頭を下げる。これで俺が国王だという言葉も理解してもらえだろう。


 そのまま宮殿に入ると、東の族の族長が慌てて出てきた。

「ハルト様、何かあったのですか」

「ちょうどいいところに来た。お前に頼み事がある。後ろの30人の奴隷を保護してほしい」

「保護ですか。愛人にするわけではないのですね」

「ちがう。レンと同じようなことは言うな。今回は真面目な話だ」

「そうですか、奴隷と聞くとハルト様の場合、たいがい愛人にするので。今回もそうかと思いました」

「違う、今回は断じて違う。それにこのことはレンも了解済みだ」

「それならいいのですが」


 その後、俺は宮殿の執務室で、これまでのいきさつを話して王家の秘宝とハイゼント王国の血を引く者の取り扱いを東の族の族長に一任した。


 横にいるイリナがうれしそうな顔をしている。

「これで、ハイゼント王国の死んだ者たちも浮かばれるでしょう。王家を再興するというお父様の夢は叶わなかったけれど、王国に民が幸せに暮らしているだけで私は満足です」


 その後、俺はまたレンやサラムそれにアファフとアメルがいる宿に戻った。これでハイゼント王国のことは一件落着、イリナも成仏できるだろう。そう思った。


 宿に戻って

「王家の秘宝とあの30人は族長に任せた。悪い取り扱いはしないだろう。族長は『東の市での生活になれたら、彼らの適性を見て仕事を見つける』と言っていた」

「そうですか。これで安心できますね。やっと本来の旅に戻れますね」

「そうですね。また東に向かって旅をしますか」

「そうしますか」


 そう思って、一息ついた時

「ハルト様の旅って何ですか」

イリナの声がする。

「イリナ、成仏したのじゃないのか。お前の願いは叶えたぞ」

「成仏と言われても、私もハルト様の旅に付いて行きたい」


 するとレンやサラムが

「イリナさんの霊はまだこの世にあるのですか」

「ある。まだ成仏していない。今俺の横にいる。俺たちの旅に付いてくるそうだ」

何となくレンの目が吊り上がったように思ったが無視することにした。

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