266.東方の調査(市内観光)
イリナの願いは叶えたので、イリナは成仏したと思ったが、まだこの世に未練があるようで、相変わらずハルトの側にいる。レンの機嫌が相変わらず悪い。女の直感かイリナが絶世の美少女ということを何となくわかっているようである。
しかし、今ここでそれを言うと話がややこしくなるのであえて触れないでおく。
「なんか、イリナもまだこの世に未練があるようだ。成仏しないのかと聞いたが、分からないとのことであった。今は俺たちの旅に付いて行きたいそうだ」
「旦那様、成仏とはどういう意味ですか」
「そうだな、俺たちの国では、そんな言い方はしないな。これはイリナが信仰していた仏教の考え方だ。この世に未練を残さず仏になる。つまり死んであの世へ行くということだ」
「それは、旦那様の言語理解のスキルで分かるのですか」
まさか前世の知識ともいえずに
「そうだ」
と答えた。
「それにしても厄介ですね。まだ未練があるのですかね」
「本人もわからないそうだ。とにかく今は俺たちと一緒に旅をしたいそうだ。別に構わないだろう。幽霊だし、食事もしないし、俺以外見えないのだから」
「まあ、いないものと思えばそれだけですが、でもいると思うといるように思うので何となく不気味です」
「そんなことはないぞ、イリナは可愛いぞ。お前たちを驚かすこともしないと言っている」
「そうですか、お優しいことで」
何となくレンの機嫌が悪い。
その日は今後の予定を話ししたかったが、レンの機嫌が悪いので、そのまま寝た。
次の日の朝、ゆっくり起きて、今後の予定を話しした。今まで忙しかったので、しばらくはこの都市でゆっくりしてはどうかという話になった。
サラムは商品の仕入れと販売で出かけていった。俺たちはまた市内観光をすることにした。この都市はこの大陸の東西の交易路の主要な都市、市場に行くと雑多な商品が並べられていた。
鑑定をかけるとまた、購入意欲が無くなるので、とりあえず気に入った物を手に取ってみることにした。
「おやじ、この壺は何だ」
「これは大陸の東の国カイギン王国で作られている陶磁器だ」
「これが本家本元の陶磁器か」
「手に取ってみてもいいか」
「見るのは自由だが手に取るのはやめてくれ。傷でもつけられたらことだ。その壺は高い。金貨2枚だ」
確か、ヤマユリ商会で売っている、俺たちが土魔法で作った陶磁器は1つ銀貨1枚だったかな。それから比べると高い。確かに俺たちが土魔法で作った物よりも趣がある。絵柄も異国情緒がある。しかしやっぱり買う気がおきないのでやめた。
レンたちは何をしているかなと思ってレンを見ると、レンはこの地方の服にご執心のようだ。この地方の人がきている服を着れば、あまり目立たないかもしれない。レンが買った服屋で俺も男性用の服を買った。
そのあと、食品を売っている店に行った。お勧めを聞くと丸いパンの様な物を勧められたが、これは前回買ったので、ほかに何かないかと聞くと干しブドウを勧められた。
1つ食べてみると甘い味が口いっぱいに広がる。それで、そこにあったものをすべて買おうとしたら、レンに買い過ぎだと怒られた。
しかし、食にこだわるのは俺の主義とレンの言葉を無視して、その店の干しブドウをすべて買った。買った干しブドウはマジックバッグに収納した。
買った干しブドウを食べ歩きしながら、食べたら、レンに
「マナーが悪い」
と言われたが、
「旅の恥はかき捨て」
と言ったら、
「どこの言葉だ」
と言われたので、
「俺たちの国にそんな言葉なかったか」
と聞くと
「知りません」
と冷たい。
「最近機嫌が悪いのはあれの日か」と思ったが、そんな事を口に出そうものなら、この市場が吹き飛ぶ。俺は自重するのだった。
そうやって、夕方まで1日、この都市で食べ歩いた。もっとも食べ歩いたのは俺だけで、レンたちは少し離れて関係ないそぶりをしていた。しかし護衛がしっかりガードしているので、お仲間なのは丸わかりである。
とにかく俺がこの都市で気に入ったのは果物と果物関連の食品だった。




