264.東方の調査(亡国の民のその後1)
その後俺たちハルト一行はいくつかの町を経由した。町に行くたびに奴隷商によってハイゼント王国の関係者探しを続けた。その結果購入した奴隷は15人になった。元貴族はサムだけだった。王族はいなかった。
そして、この地域で最大の都市にやって来た。ハイゼント王国が遊牧民に襲われて、生き残った人々が奴隷として売られた町である。ここだと多くのハイゼント王国民の血を引く者がいるかもしれない。
俺たちは順番に奴隷商のところを回った。しかし、見つけたハイゼント王国民の血を引く者は15人ほどだった。その中には貴族の血を引く者はいたが王族の血を引く者はいなかった。
貴族の血を引く者はアフランと言う名の少女だった。
「アフラン、お前はお前の親のことを何か聞いているのか」
「私は、生まれてすぐに母親が死んだので、あまり聞いていません。ただ一緒に奴隷だった人が私の先祖はハイゼント王国の貴族、家名はカリミだと言っていました。
それで、その家名だけはずっと忘れないようにと思って生きてきました。奴隷ということで殴られたり、ご飯を抜かれたりされることもありましたが、元貴族、それだけを胸に耐えてきました。
ご主人様はこれから私たちをどうするのですか」
「どうもしない。お前たちの好きにさせておくつもりだ。食事を抜いたりもしない。安心しろ」
「優しくしてくれるのですか。安心しました」
「イリナ、カリミ家はどんな家だ」
「カリミ家は、公爵家です」
「それと、イリナ、やはり王族の血を引く者はいないな。お前の一族はみんな死んだみたいだな」
「そうですね、やはりと言うか、私が最後だったのでしょう。そうでなければあの日お父様が王家の秘宝を私に託すはずがありません」
「そうだな、考えてみればそうだな」
「それで、どうする、彼らに王家の秘宝を託すか」
「でも、そんなことをしても、これがあるとわかればこの国の人間に奪われて終わりでしょう」
「そうだな、いっそ俺の国に来るか。ハイゼント王国を作ることはできないが、元王国民を保護することはできる」
「ハルト様は、そのような力があるのですか」
「ある、俺は国王だ」
「では、よろしくお願いします」
イリナの了解が得られたので、レンとサラム、それに、アファフとアメルを交えて協議した。
「イリナと協議したのだが、見つかったハイゼント王国の血を引く者は30人なので、とてもじゃないが、何かするというわけにはいかない。
そこで、マエズラ王国で保護しようと思う。俺が見つかった30人をマエズラ王国まで転移で連れて行って、王家の秘宝とともに東の族の族長に管理を任せようと思う。彼なら亡国の民の扱いにも慣れているだろう」
するとレンが
「そうですね。それが一番いいでしょう。今ここで彼らに王家の秘宝を渡しても、取られるだけですから」
また、サラムが
「それでは引き続き、この都市のなじみの商人にハイゼント王国の血を引く者の調査と見つかった場合の保護を依頼しておきましょう。先立つものがいるのですが」
「わかった、金貨2000枚ぐらいでいいか」
「それだけあれば十分です」
「それじゃ金貨2000枚」
俺はマジックバッグから金貨2000枚をサラムに渡した。
その後、見つかったハイゼント王国の血を引く者30人を集めて、
「今のところ、見つかったお前たちの仲間はこれだけだ。全部で30人いる。貴族の血を引くのはアフラン・カリミ、元公爵家だ。それと、サム・ハイゼー、元伯爵家だ。それ以外は平民だ。
これだけでは何かするとしてもとても無理だと思う。それで、俺の国で保護することにした。俺は国王なので、俺の国で保護するのは問題ない。衣食住は保証する。殴ったりはしない。安心しろ」
「ご主人様は国王なのですか。私たちは保護してもらえるのですか。よかった」
元ハイゼント王国民の血を引く者たちには理解してもらえたようである。




