262.東方の調査(亡国の民の子孫を探す旅2)
俺たちは馬車に乗って、護衛は騎乗して、西への旅は続いた。
「なあ、サラム、俺達東へ行うはずだったよな。いいのかな」
「いいじゃないですか。あのまま東へ向かっていたら、セープール王国の監視にひっかかって、今頃は監視員をつけられていたかもしれません。まさか、私たちがこの山脈を横断して南に行って、そこから西に行くなんて、誰も考えないでしょう」
「そうだな、物は考えようだな」
この会話を聞いていたレムが
「あのうご主人様は、セープール王国の役人に捕まるようなことをしたのですか」
「悪いことはしていない。貴族令嬢の命を救っただけだ」
「そうなのですか、それなのになぜ逃げるようなことをするのですか」
「その貴族令嬢が問題なのだ。俺を面倒ごとに引きずり込もうとしたから、公爵邸の前で下ろしておいてきた」
「それに旦那様に色目を使ったのですよ。命を救ってもらっておきながら、人の夫を取ろうとするなんて、まったく横着な人間です」
「そうなのですか、悪いことをしたわけではないのですね」
「悪いことはしていない。しかし、これは秘密だ。いいな」
「それにして、この馬車揺れるな。もっといい馬車はなかったのか」
「ありませんよ。このあたりの移動は馬かラクダですよ。馬車なんて、この地域の人は使いませんよ」
「そうか、なら仕方がない。つぎの町では少しゆっくりしないか。馬車に揺られるだけでは体がもたない」
「いいですよ、どうせ暇な旅ですから。私も商売をしてきます」
「そうだな、お前は前の町で仕入れたものを次の町で売っているのだな」
「そうですよ、そうしないと荷物がかさむばかりで利益が出ませんから。今回のようにマジックバッグを大量に貸していただいて、荷物をすべてマジックバッグに入れられるなんてことはなかったですから」
「そうか、そんな気にいってもらえたのなら、そのマジックバッグ、今後も貸しといてあげようか」
「そうしてもらえるのですか。それはハレ様に感謝です」
その後次の町に着いた。宿に入って、休憩してまた奴隷商のところに行った。サラムは商売で出かけていった。ついでに美白ポーション用の薬草を買ってくるように頼んでおいた。レアとセリ親子は宿に居残りとした。
奴隷商のところでは1人の少年の奴隷を購入した。名前はサム。込み入った話をするので一旦宿に戻った。そして、レアとセリ親子に
「おい、レアとセリ、またハイゼント王国の関係者が見つかったぞ、名前はサムだ。仲良くしろよ」
すると、サムは驚いたような顔をして
「なぜ、その国の名前を知っているのですか。もうずいぶん昔に滅んだと聞いているのですが」
「ああ、俺たちは理由は言えないが、その国の子孫を探している」
「そうなのですか。私はおじいちゃんに俺の先祖はハイゼント王国の貴族だったと聞いている。そして、その誇りを忘れずに誇り高く生きろと教えられました」
「そうか、その貴族の家名は何だ」
「たしか、ハイゼーだったと思う」
それを聞いてイリナに
「おい、ハイゼー家って聞いたことがあるか」
「あります。確か伯爵家だったと思います」
それをきいて
「お前の家はハイゼー伯爵家か」
「どうしてそれを、そして今誰と話をしていたのですか」
「どうもあっているようだな」
「これから話すことは内密だ。まず、ハイゼント王国は200年前に滅んだ。その際、1人の王族が北の山脈を越えて逃げた。そしてその地で、その王族は死んだ。
最初は王家を再興する予定つもりだったが、時間が経つうちにそれもあきらめたそうだ。最後の望みとして、ハイゼント王国の血を引く者を探し出して託したいことがあるそうだ。
俺たちはその意思を叶えてあげたいと思って、ハイゼント王国民の血を引く者を探している」
あえて、王家の秘宝の話は伏せた。若し情報が洩れるとやっと見つけた人間が殺されると思ったからだ。
その日は宿でサムにいろいろ聞いたがやはり昔のことはあまり聞かされていないようで、サム以外の情報は得られなかった。




