261.東方の調査(亡国の民の子孫を探す旅1)
サラムが宿に戻ってきて今日の調査の結果を報告してくれることになった。なじみの商会で聞いた話によると、ハイゼント王国は今から200年くらい前に滅んだそうである。
王国の首都はここから少し東に行ったところにあった。王国は南から来た遊牧民に襲われて、王都は焼き払われた。そして生き残った人々は奴隷にされて売り払われた。その当時ここより西に大きな王国があったので、そこで売られたとのことです。
それからここに町が出来て。人が戻って来たそうです。この町にも当時のハイゼント王国の子孫がいるかもしれないが、たぶん彼らの多くは今でも奴隷だろうとのことです。
つまり、ハイゼント王国の子孫を探すなら奴隷商のところに行ってハイゼント王国の子孫を探すのが一番手っ取り早いということです。奴隷商のところから奴隷を買うならトラブルも少ないですし安全です。
そして、この町の奴隷商にいなかったら、その西の町の奴隷商のところに行けばたぶん見つかるだろうとのことです。
次の日、俺たちは宿を出ると、この町の奴隷商のところに行った。奴隷商にハイゼント王国の子孫を探しているというと不思議がられたが、別に滅んだ国を復興するわけではなく、ただ探していると言った。連れてこられた奴隷たちに順番に鑑定をかけていった。
すると、その中の1組の親子がハイゼント王国の子孫とでたので、その親子を購入した。この奴隷商のところにはこの親子以外にハイゼント王国に関係する奴隷はいなかった。
宿に戻って、話を聞くことになった。
「おれはハレ、冒険者をしている。あまり詳細なことは言えないが、ハイゼント王国の子孫を探している。お前たちがハイゼント王国について知っていることを話してほしい」
「この度は私たち親子を買い上げいただいてありがとうございます。私はレア、そしてこちらは娘のセリ、私たちは生まれた時から奴隷です。親も奴隷でした。詳しいことは知りません。ずっと奴隷だったと聞いています。ハイゼント王国についても知りません」
さすがに200年というと何代にもわたる。まして奴隷だと自分の先祖のことは知らないようである。
「どうする。イリナ」
「どうすると言われても、私の姿はハルト様以外には見えないし、声も聞こえないのでは話もできません」
「そうだな、とりあえずこの町はここまでということで次の町に行くか」
その後、サラムやレンとも協議したが、この町の人間をすべて鑑定するわけにもいかないし、奴隷になっている人間を譲ってくれと言っても、問題が生じるだけなので、次の町に行くことになった。
レアとセリの親子については馬に乗れないというので、馬車を購入して馬車で行くことにした。次の日サラムが馬車を購入してきた。
1台の馬車に俺とレンとアファフとアメルとサラム、それにレアとセリ親子の7人が乗って、残りは馬で行くことになった。なお、イリナも馬車に乗っている。幽霊なので俺以外には見えないし重さもないが人数でいうと8人である。時々セリが後ろを振り返って不思議そうな顔をしている。
やっとお尻の痛い馬の旅はお役御免と思ったが、この馬車あまり乗り心地がよくない。よく揺れる。クッションも悪い。それに街道があまりよくない。相変わらずお尻の痛い旅が続くのであった。
「あのう、私たちは奴隷なのですが、歩かなくていいのですか」
「いい。そのまま乗っていろ。馬車がないと、俺たちは馬だから、お前たちはついてこられなくなる」
「俺たちは今、ハイゼント王国の子孫を探している。ハイゼント王国は今から200年ほど前に滅んだそうだ。お前たちはその子孫の血を引いているらしい」
「そうなのですか、よくわかりません」
「お前たちの深い彫と大きい目、小さい鼻はハイゼント王国人の特徴らしい」
俺はイリナを見ながら言った。
するとレンが
「イリナさんは、ひょっとして美人なのではないですか」
「いや、イリナは普通の顔だ、ハイゼント王国人の特徴はイリナに聞いて言っただけだ」
なぜかレンが俺をジト目でにらんでいる。しかし、ここはとぼけることにした。どうせレンにはイリナは見えない。
「あのう、私たちは何をするのですか。奴隷だと何かしないといけないはずですが」
「そうだな、お前たちに何をしてもらうか、おいレン、どうする」
「そうですね。とりあえず私たちのメイドとしておきましょうか」
「ということだ、お前たちはここにいるレンとアファフとアメルの身の回りの世話をすること、言われないときは何もしなくていい」
このようにして、ハイゼント王国人の子孫を探す旅が始まった。




