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258.東方の調査(異国観光)

 次の日俺たちはハイゼント王国の生き残りを探す旅を始めた。朝お寺を出ると、街道の近くまで転移した。そこからはサラムの商隊という風情で町に向った。


 街道を西へ行く。

「サラム、お前はこの道は来たことあるのか」

「ありますよ。この砂漠は砂漠の北側を通る道と南側を通る道があります。さらに大陸の東西を結ぶ道はこの北側のセープール王国の王都を通る道を加えた3つあります。

 一番南の砂漠の南を通る道はセープール王国の支配権が及ぶぎりぎりのところにあるので、治安があまりよくないのであまり通りませんが、北側の2つは情報収取も兼ねてよく通ります」


「すると、これから行く街にも、スパイはいるのか」

「スパイは居ませんが、なじみの商会はありますので、そこで情報を得ることは出来ます」

「そうか、それなら、しばらくその街に滞在してハイゼント王国の生き残りがいないか調べてくれ」


「わかりました。しかし、ハルト様も物好きですな。幽霊のために、それだけのことをするのですから。それほどまでにイリナさんは美人なのですか」


 以前小声で話してレンにばれたことがあるので、ここは自重。

「いや、普通の容姿だ。ただ彼女の境遇に同情しただけだ」

「そうですか。それならいいのですが」


 するとレンが近くにやって来た。

「旦那様はか弱い女には弱いのですね」

「地獄耳か、こいつは」と思った。


 しばらく行くと、町に着いた。そしてサラムのいつも泊まる宿に入った。サラムは情報を仕入れに行ってくると言って出かけていった。俺たちは暇になった。とにかく俺たちは目立つ。俺とレンはこの地域では完全な異邦人。顔立ちが違っている。それに、アファフとアメルは絶世の美女、町に出ればさらってくれというようなものである。


 でもせっかく異国の町に入ったのに宿で悶々としているのもつまらない。誘惑に負けてアファフとアメルはフードを深くかぶって素顔をさらさないようにして、町に出掛けた。


 まずは市場へ、異国の珍しいものがあるかもしれない。市場で並べられている物を、鑑定を掛けながら冷やかしていく。しかし、この町の市場はぼったくりが多いように思う。鑑定をかけると適性値段がわかる。段々購買意欲が無くなっていく。


「どうしたのですか。旦那様、せっかく異国に来たのに何も買わないのですか」

「そう言われても鑑定をかけると、適正値段が分かる。この市場は高い」

「当たり前じゃないですか、この砂漠を渡ってくるのですよ。安く売っていたら破産してしまいますよ」

「そう言われても」

「おい、イリナお前何か欲しいものないか」

「そう言われても私幽霊だから、触ることできないし」

「そうだな、お前にとっちゃここで売られているものは無用の長物だな」


 購買意欲が無くなったので、腹ごしらえをすることにした。市場で売っている果物を買って、ほかに何かないか見ると、丸い薄っぺらい円盤の様なパン?が売っていた。

「おやじ、これ美味しいのか」

「当たり前だ、これはこの地方の名物料理だ」

名物料理と聞いて護衛の分も含めて人数分買った。


「それにしても旦那様のスキルは便利ですね。異国に来ても、普通に会話できるのですから」

「そうだな、でもアファフとアメルも、この国の言葉は分かるよな」

「わかりますけど、そんなに流暢には会話できませんよ。前から不思議だったのですけど、セープール王国やカイギン王国の両方の言葉を自由に読み書きできたり、幽霊と会話できたり、始めて来た場所のはずなのに、この国の人と普通に会話出来たり、これは精根の王のスキルなのですか」

「そうだ、これは俺のスキル。言語理解というやつだ。すべての言語を自由に操ることが出来る」

「動物もですか」

「分からない。したことがない」

「そうですか」


 市場で売っている品物は買う気がしなかったが、果物と名物料理は美味かった。気をよくして午後は冒険者ギルドに寄ってみることにした。

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