254.東方の調査(ワンを無理やり公爵邸でおろす)
王都の門を通って、ワンに公爵邸の場所を聞いた。そのままワンの公爵邸に行った。公爵邸の前でワンを下ろすと
「これで、お前との約束は果たした。もう俺たちとは関わるな。お前に関わるとろくなことがない。
俺たちはこれからセイトウ王国まで行かないといけない。マエズラ王国国王からの親書を渡すという大事な使命があるからだ。これを邪魔するようなら全力で排除する。いいな」
「ここまで連れてきてもらったお礼は」
「俺は要らない。むしろお前と関わると面倒ごとが増えそうで嫌だ。礼はサラムが帰りに寄ったときでもしてくれ」
「サラムさんは帰りに寄ってくれますか」
「たぶん1年後ぐらいになると思いますが、王都に来た時は寄らせてもらいます」
「わかりました」
「ここまで連れてきてくださりありがとうございました。そしていろいろご迷惑をかけました。お詫びも仕上げます」
「それでは、さようなら」
その後、俺たちはいつもサラムがいつも泊まっている宿屋に行った。受付を済ませて、部屋に入って今後のことを相談した。
「なあ、サラム、ワンは俺たちのこと親に話すよな」
「当然話すと思います。話さないとプールシャーから王都まで戻ってきた説明が出来ませんから」
「当然その話は国王までいくよな」
「いくと思います」
「王族が出てくると、俺のことが分かるよな」
「可能性はあると思いますが、こちらの人にとってハルト様のような顔の人は見分けがつかないと思います。まして1度あっただけなら親戚とでも言っておけばいいのではありませんか。
どちらにしても明日の朝早く王都を離れた方がいいでしょうな。たぶんこの宿にも監視がついているでしょうから、王都にいるスパイとの接触は今回はやめておきます」
「そうしてくれ」
「本当にワンは疫病神だよな」
「そうですな」
次の日の早朝、宿の朝食も取らずに、宿を出た。そして王都の門が空くのを待って王都を出た。それからはまた暇な、そしてお尻の痛い旅が始まった。
街道の両側には水田が見える。このあたりは水が豊富と見えて水田が広がっている。まだ4月ということで苗は植わっていないが、俺の前世の記憶からしてあれは間違いなく水田だと思う。南に見える遠くの山々は上の方は雪に覆われているみたいで白く輝いている。
「なあ、サラムあれは水田だよな、ここでは米が作られているのか」
「ハルト様は博識ですな。マエズラ王国の人だと、コメは見たことはあっても水田は見たことがないと思うのですが」
「俺はいろいろなところを見てきたから」
「そうでしたな、ハルト様はいろいろなところに領地をお持ちでしたな」
「それで、あれは水田だよな」
「私も詳しくは知りませんが、たぶんあれは水田だと思います」
「そうか、ここはいいところだな」
「ハルト様にとって、コメはそれほど大事なのですか」
「そうだ、美味しいものは命だ。命の源だ」
「そうですか、それはよろしいですな」
王都を出てだいぶたつが、王国の人間が追ってくるような気配はない。早朝ということで旅人も少ない。俺たちは街道をひたすら北西に向かっている。誰も追ってこないと思ったら気が抜けた。
そのまま、俺たちは街道をひたすら進んだ。途中行き交う商人も多い。商人は馬のようである。それに護衛も多い。
「このあたりだと、盗賊に襲われることもあるのか」
「あると思いますが、私たちを襲う盗賊はいないと思います。私の護衛とハルト様の護衛で護衛の数が他の商隊の倍ですから、まず襲ってこないと思います」
「そうか、暇なので襲って来たら返り討ちにしようと思ったのだが、盗賊の方から襲ってこないのか」
王都で、問題令嬢を下ろしてからは、旅も順調のようである。普通だったら心配しなくてはいけない盗賊や魔獣の襲撃もないようである。唯暇な、そしてお尻の痛い旅は続いた。




