251.東方の調査(ワンの事情)
ワンがやっと口を開いた。
「私は、プスチュク・ワン、プスチュク公爵家の三女です。今回ここプールシャーに来たのは父から、ここの領主の動向を探るように言われたからです。
表向きは観光、そういうことにして部下と一緒にプールシャーに来ました。私は諜報なんてできないので、諜報活動は部下がしていました。
しかし、その部下の1人がへまをして領主に諜報活動をしていることがばれました。
すぐにプールシャーを逃げ出して東に向かおうとしたのですが、すでに東門は抑えられていたので、仕方なくオプラスカ要塞を目指したのです。
しかし、途中で盗賊に捕まってしまって部下は殺されて私一人取り残されたのです。
そんな時ハル様が盗賊を退治してくれたので、この人について行けば王都に戻れると思って同行をお願いしたのです」
「まるっきり面倒ごとじゃないか」
俺は飽きれてしまった。レンやイケメン男子2人組、絶世美女2人組、護衛10人も同様の様子である。
「ちょっと待て、これからどうするか相談する」
「見捨てないで、ハル様たちに見捨てられたら私は殺される」
「分かった、そうわめくな」
ワンから離れて俺たちの周りに防音結界を張った。
「どうする。ワンだけ俺の転移魔法で王都へ連れて行ってくるか」
「それはダメ、旦那様とワンを2人きりにすると、ワンが旦那様を誘惑する」
「それは十分あり得ますね、遊牧民は強い男が好きですから、転移魔法なんて見せられたら、絶対に離さないでしょうね」
「俺はそんなに信用ないか」
「ないです」
「すると、あれを見せるしかないか」
「そうですね、マエズラ王国特使、これを見せればここの領主は手出しできないでしょうね。手出しすれば、オプラスカ要塞から5000人の軍隊がきます。ハルト様、オプラスカ要塞からここまで魔道馬車でどれくらいできます」
「魔道馬車なら半日だ。ついでに言うと東の市からだと5日ほどだ」
「つまり半日後にはこの都市を5000人の軍隊が取り囲む。さらにその4日後には東の市の支援軍2000台の魔道馬車と乗員12000人、馬運車で移動する軽騎兵10000人がこの都市の周囲を囲うということですか」
「そういうことだ」
「これをネタに、ここの領主を脅すか」
「そうですね」
「それで、俺たちはこのままの旅を続けるということか」
「ワンはどうする」
「ワンはレー付きのメイドとするか」
「でもワンはどう見てもマエズラ王国人に見えませんよ」
「問題ない。まず髪の色は俺の魔法で変える。さらに、ちぐはぐな化粧をすれば、レン付きの不細工の完成だ」
「これでいいか」
「いいです、ワンの顔をめちゃくちゃにできるというのは快感ですね」
「そうだな、俺たちをトラブルに巻き込んだお返しだ」
話がまとまったので、結界を解いてワンに向き合った。
「今後の方針が決まった。俺はマエズラ王国がセイトウ王国に遣わした特使だ。ここにマエズラ国王からセイトウ国王への親書もある。これをここの領主に見せる。
これを見せればここの領主は俺たちに手出しできない。若し手出しすれば、ここの領主どころかこの国が亡ぶ。
お前はこれからワンではなくコロだ。レー付きのメイド、コロとなる。まず髪の色は俺の魔法で俺たちマエズラ王国人の様な金髪に変える。
顔立ちは化粧で変える。心配しなくてもいいレー付きのメイドは護衛も含めてすべて不細工だ。多少化粧が失敗してもその方が違和感が無くなる。
言葉は何もしゃべるな。それでいいか」
「分かりました。ハル様とレー様はマエズラ王国の特使だったのですね、これまでのご無礼をお許しください。それから私を見捨てないでありがとうございます」
俺はすぐに、ワンの髪を金髪に変えた。それから、レンとアファフとアメルによって、ワンの顔が化粧によってぐちゃぐちゃになった。
そのあと、俺は土魔法とすべての結界を解いた。




