249.東方の調査(米料理が無くて愚痴を言うハルト)
街道が川沿いを通っていることから、周りには畑も見える。昨日食べたコメを作っている水田を探しているが、見つからない。前世の記憶では「田植えは5月だった」と思うが、今は4月、でも「水田ならわかるはず」と思って探しているが見つからない。
あまりきょろきょろしていたら、レンが
「旦那様、何を探しているのですか」
「昨日食べた米を作っているところを探している」
「そうなのですか。また何かあったのかと思いました」
「おいレン、そんなどうでもいいというような顔をするな。米だぞ、米、俺にとっては大事なことだ」
「そうですか旦那様にも女以外にも大事な物があったのですか」
「あるさ、俺は食べることには貪欲だ」
「そうでしたね。納豆に豆腐、他にも何かありましたっけ」
「あるぞ、味噌、醤油、唐揚げ、天ぷら、漬物。いっぱい作ってきた」
「まだ、足らないのですか」
「足らない。もっと美味しいものを食べたい」
「おい、サラム、次の休憩はどこだ」
「次は小さな村になります」
「いつも同じなのか」
「そうです、違う場所となると、初めて場所になるので、安全面が不安です」
「そうか。なら、仕方がない。その村には何か美味しい料理はあるのか」
「美味しいと言われても人により好みが違いますので」
「米だ、米を使った料理なら何でもいい」
「わかりました。聞いてみます。でも、そこは休憩するだけですから出来上がるのを待つわけにはいきませんよ」
「そうか、なら材料だけ買って行く」
このやり取りを聞いていた問題令嬢は、ハル様は食べることに貪欲。特にコメは大好き。この2つを記録しておくのだった。
次の休憩場所に着いた。ほんと小さな村だった。サラムは話があると言って、知り合いのところへ行ってしまった。俺たちはここで、昼食。店で昼食が出てくるのを待っている。出てきた昼食は肉と小麦粉ニンジン玉ねぎあと何が入っているかよくわからない。米が使われていないことだけは分かる。味は米が使われていないにもかかわらず、美味しい。作ってくれた人に悪いので完食した。するとレンが
「旦那様は、口ではあれこれ言う割には出されたものはすべて食べるのですね」
「俺は美味い物はすべて食べるぞ。米があれば最高と言っただけだ」
「そうですか、それはよかったですね」
昼食後、サラムが戻ってきた。米を抱えていた。
「おお、米だ。ありがたい」
そう言って、丁重にコメを頂いて、俺の収納空間ボックスに入れた。
その後はまた、暇な、そしてお尻の痛い旅の再開である。街道もここまで来ると、人口の多い川沿いを進むこともあって、行きかう人も多い。途中幾つも村や町がある。もう魔獣や盗賊の心配もないようである。
それにしても広い。水平線の彼方まで街道が続いている。川沿いということもあって畑があるし灌木も植わっている、人家もまばらだが見える。
まさしく牧歌的風景である。限りなく広がる緑を宿した平原、青い空とそこに浮かぶに白い雲、俺が詩人なら、何か出来そうである。
「おい、アファフとアメル、お前たちは、詩とかは読まないのか」
「読むわけないじゃないですか。私たちは東の族、そんな教養は持ち合わせていません」
「そうか、東の族は脳筋だったな」
「でも昔から言われている言葉ならありますよ」
「そうなのか、どんな言葉だ」
「東の族は昔は大地を駆ける馬だった。そして、大地の果てまで駆けて行った。その馬が駆けた大地の果てまでが私たちの土地になった。自由に駆ける。それが東の族の誇り、そして文化。その文化を忘れない限り、神は私たちに祝福を与える。そしてその祝福の基、東の族は繁栄する。どう素敵でしょう」
「素敵って、絶えず馬で駆けろって、それ脳筋の歌じゃないか」
「そんなことないです。私たちの文化です」
そうしたら、レンもやって来た。
「旦那様、私も詩が出来ました」
「どんな詩だ」
「昔、1人の美少女がいました」
「その美少女はつらい日々を送っていました」
「するとそこに白馬に乗った美少年がやって来ました」
「お嬢さん、私と同じ人生を歩みませんか」
「その美少女は差し出された少年の手を取った」
「しかし、その少年は白馬に乗った浮気男だった」
何となく俺のことを言っているような気がしたが無視することにした。自分を美少女と言っているあたりかなり厚かましい。多分レンとは違う人のことだ。
「どう、素敵でしょう」
「その詩と、この風景がどう結びつくのだ。まるっきり関係ないじゃないか」
「そんなこと言われても、私にもこの風景を歌に詠むような才能ありませんよ」
「そうだったな、お前も脳筋だったな」
「例えば、こんな感じだ」
「青い空、緑の土地に、可憐花、ここはプールシャ、人の行く道」
「どうだ」
するとレンと絶世の美女2人が
「私たちを、可憐花だなんて」
と言ってうっとりしている。
今日もくだらない会話が続く。とにかく暇なのである。そしてお尻が痛い。そのお尻の痛さを忘れさせる会話である。




