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235.東方の情報収集

 マエズラ王国での軍隊の再編が一段落したので、サウスナンテンブルグに戻って、今後の予定について家族に話した。参加者は俺とレン達妻たちと長男リヒトと次男マイクと三男ミシェルである。


「破門騒動とそれに続くポルイスト王国との戦争も終わった。マエズラ王国の軍隊も今回の戦争を踏まえて、問題点を洗い出して、再編を行っている途中である。今後の予定なのだが、俺の予想では、東方から強力な軍隊が攻めてくると思っている。それがいつになるかは分からないが、これは確実に来ると思っている」


「強力な軍隊というと」

「騎馬軍団だ。北大陸の東方には限りないぐらい広い草原が広がっている。そこには幾多の遊牧民がいて、彼らが1つにまとまると強大な遊牧国家が出来る。東の族を見ていてもわかると思うが、遊牧民は男も女もすべて騎乗できる。そして例外なく強力な戦士だ。


 東の族の人口がどれくらいかはっきりしないが、従属的な種族を含めると30万人から40万人、最近は出産ラッシュだそうだし、東の市を見て配下になりたいと言ってくる遊牧民も多いそうなので多分実際はもっと多いと思う。


 小さい子供は除くとしてもたぶん30万人ぐらいは馬に乗れると思う。このような国家が攻めてきたらと思うと非常に恐怖である」


「そうですね、確かに東の族は強いと思う。だったら、東の族に戦わせてみたら」

「それは無理だ、彼らは強い者に従う。それに最近は東の族は生活が豊かになって、戦士としては弱くなっている。たぶん負ける」


「それではどうするおつもりですか」

「マエズラ王国で東方から来る商人に聞き取りをして、東方の情勢を探る。その後実際に商人の一団に付き添って、東方の国々を訪れたみたい。そして、肌で感じてみたい。対応はその状況で判断したい」


「商人に聞くのは問題ないですが、旦那様が実際に行くのは問題があるかと思います。安全面はどうするおつもりですか。それに東の国々で、もしいい女がいると、戻ってこないような状況になるかもしれません。監視役が要ります」


「旦那様が行くのは決定事項ですか」

「そうだ」

「それなら私も行こうかしら、久しぶりに旦那様と2人で旅行もいいかも」

「旅行ではないぞ、状況調査だ」

「同じようなものでしょう」


「ほかの者はそれでいいのか。俺とレンがいなくなるとリヒトお前がこの侯爵家を回すのだぞ」

「わかっています。でも、母様は言い出したら聞かないし。何かあったら転移魔法で連れ戻しに行きますから」

「そうしてくれ」


 無事家族会議も終わり俺とレンは2人で東方視察に出かけることになった。その間はリヒトが、家を回すことになった。


 その後、俺とレンそれに商人の聞き取りということでリタも連れて転移魔法で、マエズラ王国の旧王都リチ市に転移した。そこで、リチ市を治めるかつての王族3人娘に会った。3人ともまだ結婚していないということで、何となくレンの機嫌が悪い。早速取引のある商人を紹介してもらった。ハルトとレンとリタだとばれる恐れがあるので、俺はハレ、レンはレー、リタはリーと名乗ることにした。


 俺とレンそれにリタはヤマユリ商会の商人ということで、東方から来た商人とあった。商人の名前はアガ、アガ商会の会長だそうだ。


 アガは大陸の東から絹を仕入れて、キャラバンを組んでリチ市まで来ているそうである。以前は大陸の東から東の帝国までを行き来していたが、最近はニープール王国とセープール王国との戦争もなくなり、カンテリク国からは街道も整備されており、また軍隊が巡回しているため安全なことからリチ市まで来るようになったとのことである。


「俺はハレ、隣は俺の妻のレー、そして、ヤマユリ商会の商品の仕入れ担当のリー、ヤマユリ商会では東方の産物を大量に購入しており。今後ともこの交易路が維持されるかを気にしている。そこで、東方の情勢を教えてほしい」


「ヤマユリ商会は私どもとも取引があるので、私の知っていることでしたらお教えします。ただ、私たちはこの大陸の東の果てからこのリチ市まで来るのに片道で1年以上かかっております。そこで、私どもの知る情報は1年遅れとお考え下さい」

「そんなにかかるのか」

「はい、往復ですと3年ほどになります」


「生まれはどこなのだ」

「生まれはセープール王国ですが、そこは行きと帰りに寄るだけで、ほとんどは旅の人です。生まれは有って無いようなものです」

「そうか、同じ商人なのに、商隊とは大変だな」

「おそれいります」


 ハルトは自己紹介で商人と言っておきながら、完全に上から目線の会話である。もう貴族とばれている。しかし、それをおくびにも出さないのは、アガもさすが商人といったところである。貴族と分かっていても相手が平民という態度を取ればそれに合わせる。これは処世術である。


「セープール王国は北半分は草原と山の国ですが、南半分は砂漠とオアシスの国になります。このセープール王国の東にはセイトウ王国があります。ここも砂漠の国です。その東にはカイギン王国があります。カイギン王国はとても大きな国です。そして、ここは砂漠の国ではなく、緑豊かな畑が広がっており、多くの民が住んでおります。そして、ここで、絹が生産されております。絹はカイコという虫の繭から作られるらしいのですが、詳しい作り方は知りません。東の果ての国々でも作られているようですが、貴族様のお目にかなうような物というと、やはりカイギン王国産の絹に及びません。そこで、私どもは遠くカイギン王国までキャラバンを組んで仕入れに行っております」

「大変そうだな、山賊とかは出ないのか」

「山賊はあまり出ません。私が通っている国々では税は取られますが商隊を保護しておりますので、安全です。ただ、戦争で国が乱れると、山賊が出ます。最近はニープール王国から西の東の帝国の間が戦争が絶えないと聞いております。そこでここリチ市まで来る商隊も増えたと聞いております」

「そうか、それで、セイトウ王国やカイギン王国の北の方は問題ないのか」

「そこについては遊牧民が群雄割拠していると聞いておりますが、詳しいことは知りません。セイトウ王国で聞いた話ですと、たまに遊牧民が襲ってくるそうですが、まだ大規模な襲撃はないようです」

「そうか、感謝する」


 こうして、商人からの聞き取りは終了した。

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