234.反省会2
「俺から一つ。俺たち軽騎兵は、馬で移動するので、草地でないところで野営されると、馬に食べさせる飼い葉がない。ポルイスト王国では馬がよく畑の麦を食べたと言って苦情が来た。このあたりの対策を何んとかしてほしい」
「わかった、東の族の軽騎兵には1人1つのマジックバッグを持たせる。これに飼い葉を入れておけ、そして、草地でないところに来た時はマジックバッグに入れてある飼い葉を食わせろ」
「そうしてもらえると助かる」
「それからもう一つ、魔道馬車は早い。全速力で走られると、俺たち軽騎兵はついていけない。そこで、馬運搬用の魔道馬車を増やしてほしい。今回のポルイスト王国遠征では15000人の軽騎兵と3万頭の馬を連れて行った。馬運搬車はなかった。それでよく魔道馬車が先行して俺たちは置いて行かれた。2000台の馬運搬車では足らない」
「それなら、馬運搬車は何台ぐらいいる」
「遠征軍の規模を今回と同じ15000人とすると最低でも馬は3万頭、馬運搬車1台で5頭の馬を運べるから6000台、つまりあと4000台は必要である」
「わかった、すぐには出来ないが順次作って配備する」
「ありがとうございます」
「あのう、私たちもいいですか」
「どうぞ」
「私たちリチ族は、基本魔道馬車の運転なのですが、魔道馬車はトイレもあるし、寝ることもできるので、非常に快適なのですが、何日も籠城するような場合、何人もの兵士が狭い空間の中で一緒にいるというのは、息が詰まるというか、プライベートなことが出来ないというか、出来たら個室のある空間が欲しいです」
「それなら、籠城して魔道馬車を宿舎代わりに使うときは、マエズラ族とリチ族は使う魔道馬車を分けるか。戦闘が予想されるときは困るが、寝る時だけなら構わない」
「そうしてもらえると、ありがたいです」
「但し、だれがどの魔道馬車に乗るかはお前たちで決めろ。また同乗するマエズラ族にも了解を取るように」
「わかりました」
「俺たちもいいですか」
「お、お前たちも何か問題点に気づいたか。いいことだ」
「問題点というわけではないのですが、俺たちはサウナがないと、元気が出ないというか、それとレン様の銅像がないと祈ることもできません」
「わかった。持ち運びできる簡易なサウナとレンの銅像を作って容量の大きいマジックバッグに入れるようにする。これを大隊長おまえに渡しておく。籠城した時などはマジックバッグから出してサウナに入ればいい」
「ありがとうございます」
「イーストブルガシェル国から来たカタパルト操作兵の隊長さん、何か言うことはないか」
「そうですね、私たちは今回はあまりお役に立てなかったので」
「しかし、カウトサラゴ市の攻撃では役に立ったと思うが」
「そうですが、私たちは移動手段も限られていますので、いざというときは、すぐに駆け付けることが出来ません」
「そうだな、それではお前たちも魔道馬車で移動するか。そしてマジックバッグに分解して入れておきタカタパルトを現地に到着後すぐに組み立てて、攻撃を開始する。これなら、すぐに役に立てると思うが」
「そうですね、それなら、私たちの軍の移動についていけます」
今回で意見をまとめると次のようになった。
1.奴隷紋をつける専属部隊をつくる。都市を占領したらすぐにその部隊に任せる。部隊の規模は2000人の部隊を5つ作る。この部隊は東の族から選定する。
2.軽騎兵には全員1人1つのマジックバグを携行させ、そこに馬の飼い葉を入れておく。
3.馬運搬車をあと4000台製造し、今後軽騎兵の移動はこの馬運搬車で行う。そして、戦闘時のみ騎乗する。
4.籠城時に魔道馬車を宿舎代わりにして利用する時は個人のプライベートに配慮して、魔道馬車の乗員の配置は柔軟に行う。
5.マエズラ族の族長には大容量のマジックバッグを渡し、その中に簡易のサウナとレンの銅像を入れておく。そして籠城時にはいつでもサウナに入ったり、祈りをささげられたりできるようにする。
6.工兵(イーストブルガシェル国から来たカタパルト操作兵)も本隊に遅れないように、移動は魔道馬車で行う。そして、マジックバッグに入れたカタパルトを現地ですぐに組み立てて、戦闘にすぐに参加できるようにする。
非常に有意義な会議であった。とにかくスピード重視。前世の機械化部隊のようである。
その後、この意見に基づきマジックバッグの製作、これは子供たちに任せた。サウナとレンの銅像はレンに任せた。魔道馬車と馬運搬車の製造は俺の仕事。数が多いだけに春までかかった。そうして、マエズラ王国の軍隊は春には、機械化部隊へ様変わりした。
この部隊だと1日の移動距離は、日中だけ走るとしても500kmから600kmは移動できる。たぶんこの時代の軍隊の移動速度の20倍である。




