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230.エイダリア市の包囲戦

 主な戦闘が午後に始まり、勝敗が決したのが夕刻とあって、多くのランド王国軍兵士に逃げられたようである。さすがにつけ刃の包囲殲滅戦、〇〇ニバルのようにはうまくいかない。


 今回の戦闘の状況は

我軍の損害

 辺境伯軍 魔道馬車150台兵士3000人のうち、破壊された魔道馬車50台死者0人負傷者200人(すべて治療原隊復帰済み)

 マエズラ王国軍 魔道馬車1400台(マエズラ族2500人、リチ族3500人)、軽騎兵12000人(東の族)のうち、破壊された魔道馬車200台死者0人負傷者300人(すべて治療原隊復帰済み)、軽騎兵死者30人負傷者600人(すべて治療原隊復帰済み)

である。


 一方ランド王国軍25000人のうち、死者7000人負傷者10000人(すべて治療して捕虜)、逃亡8000人である。


 なお、ランド王国の負傷者は治療して奴隷紋を刻んで辺境伯領で奴隷とすることにした。身代金を払ってくれれば解放するが、戦争が継続している状況では交渉は無理である。


 約8000人に逃げられたのは痛かった。逃亡先はたぶんエイダリア市である。そこを守る兵と合わせると15000人となる。愚痴を言っていても仕方がないので、ここで3日ほど戦場の後始末をしてから、我軍21000人はエイダリア市に向けて取って返した。


 エイダリア市に到着すると、向こうは完全防御、門を固く閉ざしている。一応降伏勧告をしてみるがモンタフアルコ要塞での虐殺に近いような戦い方を経験するとマエズラ族と東の族に恐怖して降伏勧告を受け入れようとしない。


 とりあえず、都市の周囲を包囲して、食料の供給を断った。しかし、エイダリア市は東側に大きな川が流れこれを天然の堀としているため、東側からは攻めにくい。攻撃を西側に集中させると敵も当然守りを西側に集中させる。


 ここエイダリア市は交通の要衝で幾多の戦火を潜り抜けてきた都市のようである。そのため、このような籠城戦にはなれているようである。そのため守りの手際もいい。簡単には落とせそうもない。


 ここで流暢に包囲戦を展開すると、カウトサラゴ市から援軍がきて背後を突かれても困る。かといって、攻城兵器であるカタパルトはあるにはあるが、それを扱えるカタパルト操作兵3000人(イーストブルガシェル国)はシグローニョ市に置いてきた。


 現状、攻城兵器はあるが、それをうまく扱える人間はいない。無理やり突入しようとすればどれだけ損害を出すかわからない。とにかくマエズラ族と東の族は脳筋なのである。やれと言えばやるだろうが、損害が大きいと後で補充の効かない我軍は不利である。


 ここは交渉でということで

「都市を解放すれば、市民には危害を加えない。食料が足らなければ食料の配給を行う。ランド王国の兵士は武装解除後ランド王国まで届ける」

この3点セットで交渉した。


 この提案は市民には好評のようだが、領主とランド王国からの派遣軍が抵抗しているようである。そのまま時間だけが過ぎていく。


 そのうち東の族がいらいらしてきた。族長が俺に

「面倒だから市内に突入しよう」

「攻城兵器を扱えるイーストブルガシェル国の兵士はいないのだぞ、そんなことをしたらどれだけの被害が出るかわからない」

「それなら、俺たち決死隊をハルト様の転移魔法で、場内に転送してくれ、そうすれば城門を開ける」

「たしかに、それなら被害が少ないな。たまにはお前もいいことを言うものだな。東の族は脳筋だとばかり思っていたが、少しは知恵が回るようだ」

「何か褒められたのか、けなされたのか分からないな」


 ということで、東の族の決死隊100人を夜半に城内に転移させることにした。そして、城門が開くとそこから魔道馬車と東の族の軽騎兵が城内になだれ込むことになった。目標はこの地方の領主とその一族、市民には手を出さないように命令した。


 夜半に東の族の決死隊100人は城内に消えていった。それからしばらくして城門が開いた。すると魔道馬車と東の族の軽騎兵が城内に突入して行った。


 城内の至る所から悲鳴と戦闘音、それに爆裂音が聞こえる。一応市民への無益な殺戮と略奪はするなと指示したが、どれくらい守られるのか。とにかくこの暗がりである。市民と兵士の区別がつくはずがない。朝になるのを待つだけである。


 一応市民が逃げられるように、この門以外の包囲は解いた。つまりこの開いた門から、この門の周囲を固める兵を残して、残りの全軍が突入して行ったのである。


 朝になった。一応大火にならないように、火の手が上がると俺の水魔法で消したが、燃えた家も多く出た。市民も多くが死んだようである。


 一応領主一族のうち当主は死んだようであるが、領主の妻と娘は捕らえた。あとランド王国軍の指揮官も捕らえた。


 これからどうするか、ここの後始末は辺境伯軍3000人に任せることにした。そして昼にはマエズラ王国軍は、カウトサラゴ市に向けて出発した。


 辺境伯軍の司令官が悲鳴を上げていたが、時間をかければカウトサラゴ市の防御を固められると言って無視した。

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