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229.モンタフアルコ要塞の攻防戦2

 次の日の早朝、我軍はエイダリア市に向けて軍を進めた。俺が敵の将なら、エイダリア市に軍の一部を割いてエイダリア市の防御を固め、その間にモンタフアルコ要塞を落として、軍を反転させる。そして我軍を叩く。そんな作戦だと思う。


 わが軍は2万。そのうちどれくらいの軍勢が砦を出てきたかは分かっていないだろう。エイダリア市を完全に防御するならエイダリア市には最低7千の軍が必要である。市民から兵を募ったとして最低5000人はエイダリア市の防御に残したいと考えるのが妥当だろう。すると敵軍は約2万5千人、モンタフアルコ要塞陥落前なら我軍にも十分勝機がある。


 このあたりは緩やかな丘陵が続く畑作地帯、小高い丘でもあればそこから市内を見下ろせるのだけれど、そんなものはない。ここで、時間を食うと敵軍の思うつぼである。


 今回も途中で街道を離れ、畑の中を突き切って、エイダリア市は無視することにした。通常だと、そんなことをすると後続の補給部隊が襲われて軍が孤立するのだけれど、我軍は魔道馬車と軽騎兵、もっとも1万2000人の軽騎兵は3万頭の馬を引き連れているが。とにかく孤立する後続の軍がいないのである。


 そのまま、エイダリア市を無視して、その横を進んだ。軽騎兵が動くとそれにつられて彼らの連れている馬も一緒に動く、すると背後に茫漠とした砂塵が舞う。たぶんエイダリア市の敵軍は何が起こってのかわからないだろう。これで半日ぐらいは時間が稼げる。


 エイダリア市を過ぎると、俺は索敵を駆使して敵軍の把握に努めた。しかし、まだ敵本陣とは距離があるようである。このままの形で進軍することにした。


 そして昼前ぐらいにやっと敵軍が俺の索敵にかかるようになった。丘陵地の小高い丘の上に本陣を構え、その前方に、騎兵や歩兵、魔法士が布陣している。軍の規模は2万5千人といったところか、俺の予想と大体一致する。


 今のところ、後方の備えはあまり感じられない。後方へ備えるなら、後方にも部隊を配置するはずだが今ところ後方へは遊撃部隊しての騎士と歩兵を側面に配置しているだけである。魔法士は本陣のあたりに配置している。


 この配置だと、俺たちが背後から襲えば、敵は大混乱に陥る。出来れば、ここで、ランド王国軍は殲滅しておきたいので、俺は軍を4つに分けた。魔道馬車と軽騎兵をそれぞれ1/4ずつの数にした部隊を4つ作った。


 そして、その4つに分けた最初の部隊には北に大きく回り込んで、北から敵の側面を攻撃するように指示した。そして2番目と3番目の部隊にはそのまま前進して敵の背後を突くように指示した。また4番目の部隊には南に大きく迂回して南から敵の側面を突くように指示した。


 もし敵軍と対峙する辺境伯家の領軍3000人が健在なら、包囲殲滅戦である。前世では〇〇ニバルのカ〇〇ナの戦いが有名である。包囲殲滅戦の代名詞のような戦いである。


 まず、北と南に向かう部隊を先行させた。そして中央を進む軍はゆっくりと段々と隊列の幅を広げて、街道だけでなく畑の中も突き抜ける形で進軍した。決戦の時間は今日の午後、それまで辺境伯家の領軍3000人のうちどれだけ多くの部隊が生き残っているかによって今日の勝敗が決まる。


 戦場が見渡せる距離まで近づいた。戦況としてはランド王国軍有利に展開している。ランド王国軍の先方が丘の至る所に設置された旗に向けて突撃を繰り返している。


 その多くはただの旗だけのフェィクである。旗のところまで行くと誰もいない。そこを背後の魔道馬車の爆裂魔法で攻撃されている。


 しかし、ランド王国軍は数が多い。だんだんと旗の数が減ってくる。すると残った旗のところ向けて敵魔法士の攻撃魔法が放たれる。すると、魔道馬車は後退していく。


 だいぶ押されているようである。そこで俺はもう待っていられないと、側面からの挟撃部隊の到着を待たずに敵本陣を突くように命令した。


 魔道馬車が敵の後方へ向けて突撃していく。魔道馬車の上のマエズラ族は弓や魔法攻撃を行う。すると敵は本陣の側に配置した遊撃部隊の騎兵と歩兵を本陣の背後に回した。


 その時ちょうど北と南からの挟撃部隊の攻撃が開始された。間に合ったようである。敵は側面の遊撃部隊を後方へ向かわせたので、側面の攻撃に対応できる部隊がいない。


 その後、敵軍は大混乱に落ちいった。その後は一方的な蹂躙戦である。こうなると魔道馬車の背後に展開する軽騎兵は強いし、小回りが利く。逃げ惑うランド王国軍を確実に倒していく。


 降伏しようとするランド王国兵もいるようであるが、マエズラ族にも東の族にも捕虜を取るという習慣はない。


 それに弓矢と魔法による一斉攻撃である。剣を下ろして手を挙げた瞬間に狙ってくれと言っているようなものである。次々とランド王国軍の兵士が倒されていく。


 可哀そうだが俺にもどうにもできない。今ここで彼らを止めようとすると、俺も攻撃に巻き込まれる。弓矢や魔法攻撃で傷ついて動けなくなるのを祈るだけである。生きていれば後で治癒魔法で回復させられる。そうすれば捕虜にできる。


 とにかく彼らは脳筋なのである。剣をふるい魔法を放つたびに奇声をあげ、歓喜している。夕刻までに勝敗は決した。


 こうして、モンタフアルコ要塞の攻防戦はマエズラ王国遠征軍・辺境伯爵家領軍の勝利で終わった。

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