222.バルコウブステ砦の構築
アルファオリテ市を勇んで出てきたのであるが、カウトサラゴ市には先にランド王国の援軍が入ったということで、このまま進んでも、多分向こうの兵力は我軍の3倍ぐらいはある。すると、戦闘になったら、不利である。たぶん軽騎兵と魔道馬車だと3倍ぐらいの兵力差なら勝てると思うが、あくまで今回の戦争はマエズラ族と東の族の戦闘訓練である。犠牲が多く出たのでは割に合わない。
とりあえず、カウトサラゴ市から1日ぐらいのところにある丘の上で陣を張ることにした。陣を張ると言っても魔道馬車を適当に並べただけである。軽騎兵についても睡眠や休憩は魔道馬車の中でするようにした。そうするとテントを張らなくてもよくなる。また、動くときはすぐに動ける。
本当はもう少し進んで、カウトサラゴ市を見下ろせる丘の上に陣を張れるとよかったのだが、何分敵軍の展開が早くて、これ以上は進めなかった。
ここで、各部隊の指揮官を集めて、今後の展開を協議した。
「我軍がここにいる限り、パンプアイロス市もシグローニョ市も安泰である。しかし、我々がずっとここにいるわけにもいかない。何かいい案のある者はいるか」
「カウトサラゴ市の敵軍の規模は」
「ランス王国の援軍が3万人、また、ポルイスト王国の東部貴族の領軍が約2万人の計5万人である」
「これに対して我々の軍は2万4000人か。カウトサラゴ市で籠城されると、攻略は難しいな」
「6万人のポルイスト王国主力を我々3万人が打ち破った話は伝わっているだろうから、たぶん敵軍は打って出てこないだろうな」
「このままここで、足止めか。早く国に帰りたいな」
何となく意見というよりは愚痴が出る。
「カウトサラゴ市の周辺の村々を焼き討ちして、カウトサラゴ市への食料の補給を絶ってはどうか」
「しかし、それをすると、今まで占領した都市で反乱が起きるかもしれない」
「確かに、そんなことをすると、我々は完全に悪だものな」
「今まで、占領した都市で反乱が起きないのは、我々が占領した都市で食料の強制調達をせず、市民に危害を加えていないので、都市の支配者がそれまでの貴族から我々に変わっただけで、都市の住民の生活が変わらなかったせいもある」
「結局、ここで籠城するしかないのか」
「それなら、もう少し、ここの生活を快適にしてほしいな」
結局、ここの陣地を砦にして長期戦に備えることになった。今のところそれしか方法がないようである。次の日から俺は、まず丘を囲うように城壁を作った。そして、丘の上を平らにして街路の区画を作って中央に広場と尖塔を作った。このような作業は何度も経験しているので、慣れたものである。しかし、3万人が暮らす砦となると、砦というよりはもう都市である。時間がかかる。4月から始めた作業は2か月後の6月に完成した。名前は.バルコウブステ砦とした。
そのうち、カウトサラゴ市の敵軍がこちらへ決戦を挑んでくるかなと思っていたが、相変わらず彼らは籠城を続けるようである。
砦が出来たらすることが無くなった。暇である。こういう時マエズラ族は単純である。彼らはすることがないと唯寝て過ごす。東の族は馬を走らせて狩りの練習をしている。脳筋族のすることは単純である。リチ族はどうしているかとみると、彼らは俺と同じで暇を持てあましているようである。
することがないので、再度作戦会議をした。単なる暇つぶしである。各部隊の指揮官を集めてみたが、出るのは愚痴かあくびぐらい。まともな案は出てこない。
本当は敵の補給路を断ちたいのであるが、何分敵はこちらの3倍以上それを適宜街道沿いに配置している。我軍が、後方のかく乱のための部隊を派遣でもしようものなら、取り囲まれて殲滅されることは目に見えている。
しかし、カウトサラゴ市もよく食料が足りているなと思う。なんせ、兵士だけで約6万、それ以外に馬や物資を運ぶ荷駄隊もいるはず。
結局斥候を多数放って、敵軍の物資の運搬状況を把握して、それから再度作戦を考えることになった。つまり、俺たちのできることは現状ないということである。
暇な時間が過ぎていく。こういうときは、居酒屋でハーレム生活がしたい。しかし、それを口に出すと、俺のクリーンなイメージが崩れる。特にリチ族はほとんどが女性である。彼女たちの前では俺のイメージを大切にしたい。
ちなみに、マエズラ族にも東の族にも女性兵士はいる。「女性兵士を多数採用する」これは俺の軍隊のコンセプトである。ほんとは、美人ばかりを採用したかったのだが、レンをはじめとした妻たちの横槍で、不細工な方から採用されたので、うちの軍隊の女性はレベルがかなり低い。その代り、「こんな私でも採用された」ということで女性兵士の忠誠心は篤い。
結局することもないので、マエズラ族と同様寝て過ごした。俺は東の族みたいに軍事教練に明け暮れることはしない。また、リチ族みたいに、本を読んだり、刺しゅうをしたり、時には仲間内で詩を語り、物語を書くといった教養の高いことはしない。




