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215.ビトリア市包囲戦とシグローニョ市の包囲

 マリナンダ町での戦闘で、敵の増援軍を打ち破ったわけであるが、敵兵の半分近くには逃げられた。その後、再度ビトリア市を包囲したわけであるが、市内にはもともとの市民兵に加えて先の戦闘での敗残兵を集めて、ビトリア市を守る兵は約2万人ぐらいと見積もられる。これに対して、我軍は2万2000人である。砦や城の攻略には普通攻める側は守る側の約3倍の兵員が必要とされている。1:1の戦力比ではビトリア市の攻略は無理である。しかし、現状ポルイスト王国としても追加で援軍は出せないだろうし、時間は十分ある。気長に包囲を続けることにした。


 今は冬、マエズラ族も、東の族も暇な季節である。彼らは、たぶん冬の間は何も言わないだろう。しかし春になったら、国に帰りたいと言い出すかもしれない。仕方がないので、カタパルトで、城壁を壊すことにした。しかし、ここでハタと困った。マエズラ族と東の族ではカタパルトを操作するような知能は持ち合わせていない。とにかく彼らは脳筋なのである。単純なことはできるが、「難しいことをしろ」と言うとパニックである。


 しかたがないので、以前行った軍事演習でカタパルト担当だったイーストブルガシェル国の兵士を呼び寄せた。冬ということもあり、イーストブルガシェル国から兵士3000人を呼び寄せるのに1か月近くかかった。ところが、イーストブルガシェル国から来た兵士は、こちらに来たら暑さでばててしまった。北の国の民にすれはこちらの冬は春か初夏とのこと、気候になれるのに半月かかった。


 俺の作ったカタパルトは強力である。カタパルトで攻撃を始めると、城壁が壊れ始めた。すると、以前の演習のように、魔道馬車からの爆裂弾で、城壁の一部を破壊する。すると軽騎兵が突入して行く。このあたりは演習通りである。そうしたら、「降伏する」と言ってきた。判断が遅いよ。もう東の族の一部は市内に突入している。仕方がないので、上空に超巨大な信号弾を打ち上げた。東の族がその音に気付いた時に拡声魔法で東の族に戦闘停止を命じた。


 何とか間に合ったようである。その後、市内に入り、市長以下領主一族を拘束した。あと、ポルイスト王国の増援軍の指揮官を探したのだけれど、彼は逃げていなかった。どうも彼が降伏を渋っていたようである。彼が逃げ出したので、降伏することが出来たとのことである。


 その後、辺境伯領から領軍3000人を呼び寄せて、ビトリア市の警備をさせることにした。マエズラ族も東の族も都市を守るというようなことは期待できない。彼らは戦闘担当である。


 このあたりは丘や丘陵は続くが、基本起伏の少ない平原である。次はビトリア市の南に位置するシグローニョ市を攻めることにした。シグローニョ市はアブロブ川流域の平野の中心都市であり、河川の舟運と東西南北の交通の要衝として幾多の戦争に見舞われてきた都市である。また、南へ向かう巡礼者の通り道としても有名である。


 我軍は、当初の戦力を維持したまま、数日後にはシグローニョ市を包囲した。丘陵地を通るときにゲリラ戦でもあるかなと思ったが、このあたりでは山岳地帯と違って、兵を隠すことも出来ない。また、俺の魔道馬車は道でなくても平坦ならある程度走れる。それで、ゲリラ戦は無意味と判断したようである。兵士の損耗を防ぐ意味でも籠城戦を選択したようである。


 ポルイスト王国の救援軍がマリナンダ町で完膚なきまでに敗退している現状では、援軍が来る当てはないはずなのに、籠城戦に対する市民の戦意は高いようである。さすが、幾多の戦争を潜り抜けてきただけはある。降伏勧告をしたが、「我々は絶対に降伏しない。最後の一兵になっても戦う」という返事が帰って来た。


 俺としては別にすんなり降伏してくれれば、市民に危害を加える気はないのであるが、略奪をしたくてうずうずしているマエズラ族や東の族はこの返事を聞いて、かえって喜んだようである。こいつはほおっておくと何をしでかすかわからない。頭の痛いところである。

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