208.ペテン師騙される
ヨハンはハルト侯爵から金貨10万枚をせしめたのであるが、その後すぐにフラ王国を出てポルイスト王国に行った。途中一度教会へ立ち寄ったのだが、そこでヨハンの見たものは、捕まえた者には金貨100枚と書かれたヨハンの人相書きであった。もう賞金首になっていたのである。
そこで、ヨハンは名前をアンブロシオと変え、変装用の魔道具を買って姿を変えて、言葉もランド王国の言葉でなく、フラ王国の言葉を話すようにした。このあたりは器用である。元々ペテン師だけに頭もいいようである。
もう教会のある国にはいられないとして、サウス王国に行ったのであるが、サウス王国では人頭税さえ払えば他の宗教でも信仰できる。当然教会もあるわけで、そこにはヨハンの人相書きも張ってあった。
そこで、教会のないところということで、いろいろな国を旅した。その間路銀は段々と減っていく。そして東の帝国に行きついた。ここにも教会はあったが、ヨハンの元居た国の教会とは違う教会のようで、当然ヨハンの人相書きもなかった。やっと一息つくことが出来た。
これまではなるべく人目を避けて、飲み屋や娼館にはいかなかったが、余裕が出ると女気が欲しくなった。娼館に行ってみようかと思ったが、もしそこで人相書きが張ってあると捕まってしまうということで奴隷商のところへ行った。
若し文字が読めると人相書きを見て密告されても困るので、文字の読めない女を買うことにした。そして一人の女奴隷を買った。名前はアゲダである。農家の娘で口減らしのために売られたのである。
アゲダと暮らし始めて1年もすると子供が出来た。女の子だったので、アルムデナと名付けた。アゲダには昔の蓄えで暮らしていると答えたが、子供が大きくなってくると、近所の子供から
「お前のお父さん何している」
と聞かれるようになった。アルムデナは分からなかったので
「毎日家でゴロゴロしている」
と答えた。
すると、近所の子供から
「働かないと、そのうち食べられなくなるのではないか」
と言われた。
家に帰って、そのことを父親に言うと、ヨハンもこたえた。ペテン師も子供がかわいいようで、子供から言われるとこたえるようである。
そこで何か仕事をすることにした。仕事をするなんて何年ぶりである。しかし、これまでしてきたことは盗みと人をだますことである。司祭をしていた時も、献金のピンハネと懺悔のゆすりである。あまり人に言えるようなことをしてきていない。最近は逃げるために変装が得意になった。
そこで特技を生かして、人に変装の仕方を教えることにした。店の名前は「あなたも美人になれる店」である。しかし、どこのだれかわからないような人間がやっている店である。まともな人はあまり来なかった。来るのは娼婦や飲み屋の給仕などであった。
ヨハンとしては、娘への言い訳、仕事をしているというポーズなので、別に儲ける必要はなかったのであるが、ここで変な人間に目をつけられた。名前をアルセルニオと言ったが、本名かどうかわからない。彼が、
「あなたの腕は素晴らしい。これを貴族にすればもっとお金がもうかる。知り合いの貴族を紹介する」
と言ってきた。
「うまくいったら紹介料を払う」
と言って、貴族を紹介してもらった。
そして、貴族のところへ行った。
貴族の屋敷で変身の手ほどきをしたのであるが、話が違うと貴族に怒られた。何故怒られるのかよくわからない。
そこで、ヨハンは勇気を出して
「どうして、そんなにお怒りになるのですか」
と聞くと、
「アルセニオから、『素敵な男を紹介する』と言われたのに、お前の姿は小手先だけだ。顔はそこそこだが、あそこは小さいみたいだ。何より男の色気がない。紹介料を返せ」
と言われた。
どうもアルセニオはヨハンを男娼として貴族に紹介したようである。
「秘密を知った限りは消えてもらう」
と言い出したので、あわてて屋敷を逃げ出した。そして、その日のうちにヨハンは家族とともに街を逃げ出した。
今日短編を投稿しました。
「雨の日は嫌い、雨の日はやっぱり嫌、でも雨の日もちょっぴり好きかも」
です。
よろしくお願いします。




