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207.南東方面への備え

 軍事演習で使用したベイカス平原の尖塔については、周りを城壁と空堀で囲って、ここを要塞化した。ここに魔道馬車とマエズラ族の兵士を駐留させれば、南方方面へかなりの睨みを効かせることが出来る。この要塞の設置はカンテリク国には許可をもらった。


さらに、ベイカス平原の要塞はニープール王国と、リチ市を結ぶ街道沿いにあることから、規模を拡大し、要塞都市にした。そして、魔道馬車50台とマエズラ族の兵士500人それに東の族の兵士1000人を駐留させた。またこの要塞には馬運車200台を配備した。この兵士は新たに雇用した。また、イーストブルガシェル国とイーストチャルクス国とカンテリク国にも1000人ずつ兵を出させた。この要塞はベイカス要塞と名付けた。


この要塞からニープール王国の王都までは魔道馬車で2日の距離にある。魔道馬車を24時間走らせれば1日で行ける。南のニープール王国に、睨みを効かせるのは十分な距離である。そして、ニープール王国で何かあった時はすぐに魔道馬車の部隊を派遣できる。まさに、戦略上の要衝である。


 同様の要塞を、セープール王国と東の市を結ぶ街道沿いのオプラスカ平原にもベイカス要塞と同様の要塞都市を作って同規模の軍を駐留させた。この要塞からセープール王国の王都までは魔道馬車で2日の距離にある、魔道馬車を24時間走らせれば1日で行ける。もしセープール王国で何かあった時はすぐに魔道馬車の部隊を派遣できる。この要塞はオプラスカ要塞と名付けた。


 前回東方視察の際に出した使者については適当にはぐらかされていたので、今回再度通知をすることにした。

まずは南のニープール王国から説得することにした。当然我々が、ここベイカス平原で軍事演習を行い要塞都市を築いていることは知っているはずである。そこで、「我々は街道の安全を望んでおり敵対する意思がない」という内容の親書を使者に持って行かせた。


「ニープール王国とセープール王国は仲が悪い」と聞いているので、多分この親書には食いついてくるはずだある。もし、この親書を無視して、我々がセープール王国につけば間違いなくニープール王国は負ける。帰って来た使者の話では一度話し合いをしたいとのことであった。場所は、カンテリク国とニープール王国の境界の町となった。


 ニープール王国からは第一王子が出てきた。こちらは当然俺である。

「私はマエズラ王国の国王のハルト・サウスブニューデンである。この度は、こちらの呼びかけに応じてもらって感謝する。現在、マエズラ王国はイーストブルガシェル国とイーストチャルクス国とカンテリク国を従えている。私はアムスム王国やフラ王国それにポルイスト王国にも領地がある。その軍事力は強大である。


今回、カンテリク国の要請により、ニープール王国とセープール王国は争いを中止し講和条約を締結してほしい。貴殿たちの国が戦争をすると、街道を通る商人が減って、我々の国には大きな痛手となる。それと、我国の人々はいろいろな宗教を信仰している。そのため、宗教の自由を受け入れてほしい。要求はこの2つである」


 これに対して、

「本当に、我国と敵対する気はないのか、貴殿の国なら我国を征服することもできると思うが」

「敵対する気はない。軍を破っても。民を治めるのは難しい。私は民を苦しめる気はない」

「その言葉、言葉どおり受け取ってよいのか」

「言葉通りである。貴殿の国と戦争をする気はない」

「我々は街道が安全になり商人の行き来が増えれば国の利益になる」

「わかった。セープール王国とは講和する。しかし、我国が一方的に不利益が生じる講和条約は締結できない」

「わかっている。両者痛み分けということで、案を作る。とりあえず、現在の国境で凍結、その後捕虜の交換し、あと金銭的な補償をするというのが俺の案である」

「わかった。その線で了解する。細かいところは事務的に詰めるということでよいか」

「よい」


「ところで宗教の自由とはどういうことか」

「マエズラ王国の民はいろいろな宗教を信仰している。宗教でもめると、国が乱れる。だから、貴殿の国にも宗教の自由を認めてもらわないと困る」

「わかった。これは難しいことではない。しかし、人頭税はとっても良いのか」

「かまわない。ただし、ある宗教だけ人頭税をとるというのは困る。すべての宗教を平等にしてほしい」

「わかった、これも善処する」


「感謝する。そして同じ条件をセープール王国にものませる」

こうして、ニープール王国には力で停戦を飲ませた。


 その後、セープール王国と同様の交渉を行い、この条件を飲ませた。そして、俺の立会いの下、ニープール王国とセープール王国の間で、講和条約が締結された。また、彼らの国での宗教の自由が宣言された。


 このようにして、来るべきモ〇〇ル軍の西方征服に対する俺の東南方面への備えは着々と進展していった。


 王国歴352年11月、南東方面への備えを着々と進めるハルト42歳、マエズラ王国は今日も平和である。

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