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206.軍事演習

 俺は臣従した東と南の3つの王国とともにカンテリク国で軍事演習をすることにした。俺の東方支援軍のうち200台の魔道馬車に乗員800人、馬運車で移動する軽騎兵1000人と、イーストブルガシェル国とイーストチャルクス国とカンテリク国からそれぞれ1000人ずつの軽騎兵を出してもらい、カンテリク国の砂漠で合同演習を行った。


俺はカンテリク国の南に位置するベイカス平原に尖塔を建てて小さな要塞を作った。そこに、イーストブルガシェル国とイーストチャルクス国とカンテリク国の参謀に来てもらい軍の連携について演習を行った。


 まず魔道馬車の能力を見てもらうことにした。尖塔の北2kmぐらいのところの砂漠に小さな棟を建てて攻撃目標とした。そして、魔道馬車が時速60kmで疾走しながら爆裂弾を発射する。それが正確に棟に命中していく。そして、しばらくして魔道馬車が止まると、並走していた東の族の軽騎兵が突撃し弓矢と魔法攻撃を繰り返す。この状況を3か国の参謀に見てもらった。


参謀からは魔道馬車が遠距離から魔法攻撃を行うさまを見て賞賛の声が上がった。また東の族の弓の能力の高さに驚いていた。東の族の使っていたクロスボウとロングボウについてはこの3ケ国にも提供することになった。


その後、この3ケ国の軽騎兵にも演習に参加してもらった。役割は東の族と同様、魔道馬車と並走して、魔道馬車が停止した後のとどめのための魔法攻撃や弓矢の攻撃である。この練習を数日行った。


 次に戦闘になった場合の敵の周囲を囲んでの殲滅戦を行う訓練をした。軽騎兵は小回りが利く、そこで正面を突くと見せて、側面へ回り込んでもらう。その間に魔道馬車の一部を背後に回す。このような訓練を数日行った。


 次に偽装撤退である。これは遊牧民がよく使う手であるが、俺はどのあたりで逃げればいいのかよくわからない。そこで、これは東の族の族長に指導してもらった。そうしたら、カンテリク国の参謀から

「逃げるのが早すぎる。被害も出ないうちから撤退すると偽装と感ずかれる」

厳しい指摘が出る。


すると東の族の族長が俺に

「以前、東の族がハルト様と戦ったとき追ってこなかったのは、そういう訳なのか」

と聞かれたので、

「確かにあの時は違和感があった。それで川を越えるなと指示した。そうしたら逃げた東の族がすぐに止まって、それ以上逃げなかったので、これは誘っていると感づいた」

と答えると、

「俺たちのやり方はすぐにばれるのか」

ということで、これについては、カンテリク国の参謀の指導となった。この指導はかなり厳しかった。東の族のやり方は甘かったようである。


 次に、都市を攻略する攻城戦についての訓練を行った。俺が都市に見立てて、城壁と堀を作った。堀はこのあたりでは砂漠で水がないので空堀である。


おれが、土魔法でカタパルトを数基作ったのだが、これを扱える人間がいなかった。魔道馬車の乗員は魔道馬車の運転と攻撃装置の操縦で余裕がない。東の族、イーストブルガシェル国、イーストチャルクス国、カンテリク国の軽騎兵のうち、一番弱そうなのはイーストブルガシェル国の軽騎兵である。そこでイーストブルガシェル国の兵士にカタパルトを扱わせることにした。


これにはイーストブルガシェル国の兵士もほっとした様子であった。彼らは、あまり戦闘が得意でないので、馬を扱うよりの機械を扱う方が慣れているようであった。


カタパルトを城壁から300mぐらいの位置に出して、その周囲を軽騎兵で固める。そしてカタパルトから石が放出される。城壁が一部崩れる。そこを魔道馬車からの爆裂弾で、城壁の一部を破壊する。すると軽騎兵が突入して行く。このような訓練を数日行った。


 最後は市内に入ってからの、市街戦である。魔道馬車は近距離からの魔法攻撃に弱い。しかし、最初に軽騎兵の突入では軽騎兵の被害が大きすぎる。そのあたりを参謀とも協議した。その結果、


最初は小回りの利く軽騎兵が、慎重に周りを注視しながら進んでいく。そして、敵の魔法士の状況が分かってから、魔法士を避けながら、魔道馬車を少しずつ投入する。そして戦闘が進んで敵の魔法士が魔力切れになる頃合いを見計らって、魔道馬車をすべて投入し、一気に市内を制圧するという計画になった。


この訓練も数日行った。


 1か月余りの軍事演習であったが、各国の兵士の状況も理解できて非常に有意義であった。この軍事演習はこれからも継続していくことで話がまとまった。

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