205.マエズラ王国の財政計画(強力な軍隊の維持経費の算出)
マエズラ王国の軍は整備した。しかし、軍の維持には金がかかる。いつ来るのか分からないモ〇〇ル軍の西方遠征軍が来るまでこの軍隊を維持しないといけない。そこで、簡単な試算をしてみた。
北大陸の他の国の兵士だが、騎士はお抱えの従士がしている。これは給料というか領地を与えている。しかし、これは少数である。大部分は農民の徴用兵で無給である。したがって、お金は彼らに与える食料ぐらいで、お金はかからないが、農作業の合間にしか動員できない。若し農作業で忙しい時に徴用しようとすれば、その年の農産物の生産に支障が出る。
これに対して、俺はすべての兵士を従士として雇用している。これには膨大な金がかかる。しかし、兵士の士気も高いし、いつでも戦争が出来るという利点でもある。このため、俺の軍隊は強い。これまでは、領内の農業生産を液体肥料の投下と連作対策の農地のローテーションを組んだ作付け方法により著しく向上させることにより賄ってきた。それとヤマユリ商会で販売する商品もこの費用の一部を賄ってきた。
アムスム王国でも、フラ王国でも、ポルイスト王国でもこの方法で得られる税金の範囲内で軍隊を維持してきた。これまではそれでよかった。周りの軍隊がそれほど強力でないため、魔道馬車を配置するだけで十分な阻止力となった。
今回はまだ十分な税収の上がらない段階で、強力な軍隊を整備したのである。この費用を捻出する必要がある。兵士50000人である。兵士に支払う給料だけで年間1人金貨15枚とすると年間金貨75万枚である。経費なども入れると金貨150万枚は確保する必要がある。
まずマエズラ族である。彼らは、基本食べて、猟や耕作をして、祈って、寝て、するだけである。よけいなことはしない。生産物は自給のため、ライムギなどの農産物と狩猟による毛皮、それに切り出した材木である。金になるようなものが少ないのでほとんど税が上がってこない。毛織物工場も作ったが、製品の品質は悪い。粗悪品として廉価で販売されている。
そこで、彼らにテンサイを作らせることにした。試験的に作らせてみたところ、なんとかいけそうなので、彼らの都市の周り森を開墾して畑を作りテンサイを植えることにした。砂糖工場も作った。工場の運営はヤマユリ商会が行っている。ここで砂糖を年間2万t生産すると砂糖がt当たり金貨50枚とすると金貨100万枚となる。税率は4割なので金貨40万枚となる。これなら、マエズラ族はもうお荷物でなくなる。マエズラ族にはレンから「この種は絶対に外へ出さないように」言い聞かせた。彼らはレンの言うことには忠実に従う。
また、ここで得られた砂糖は周辺国との貴重な交易品となる。すると、取引に伴う商業税が見込める。商業税は1割なので、この金額は金貨10万枚となる。
次に東の族である。彼らは東の市を除いて遊牧生活を送っているので、基本自給自足である。したがって、税収もほとんどない。
しかし、東の市は今やマエズラ王国一の工業都市である。従来からある遊牧民の必要とする物を生産する手工業に加えて俺が育成した毛織物工業と綿織物工業、石鹸工場と食品工場、何よりも大きいのが液体肥料工場である。これらの工場の生産する生産額は年間金貨600万枚である。
毛織物工業は東の族の提供する良質の羊毛により品質のいいものが生産されることから、マエズラ族の作る物と違って、ここの製品は高級品として高値で販売されている。また、石鹸についても南の大消費地、東の帝国に販売されている。一番大きいのは液体肥料である。液体肥料は帝国との関係改善で帝国にも販売されるようになったのであるが、するとこれまでのフラ王国の工場では生産量が足らなくなっていたので、帝国にはここから出荷している。そのため販売価格はフラ王国産と同じにした。そのため、これは利ザヤが大きい。ヤマユリ商会としては最優良工場である。
ここから得られる商業税は工場からが金貨60万枚である。そして工場で生産された製品が販売されていく過程でそれらに伴う商業税が見込める。これらの製品は帝国に販売する時は大抵一番北のマエズラ市で取引が行われるので、商業税はマエズラ市に落ちる。また、東の帝国に販売されるときは一番南のリチ市に落ちる。他の都市で行われる場合もあるので正確な額は分からないが、たぶん商業税としては金貨60万枚ぐらいだと思う。
最後にリチ族である。彼らは基本は商業民族である。彼らの扱う商品で一番大きいのが胡椒と絹である。これらの売り上げによる商業税は年間金貨30万枚である。それ以外の商品も扱っているようであるが、何分把握が難しい、税金は彼らの言うことをそのまま信用している。
旧リチ王国の地域で、最近は遊牧民の危険がなくなったことから都市周辺にかなり広大な農地が造成された。そこでは小麦やジャガイモ、ともろこし、大豆などの農作物が作られている。液体肥料の投下と連作対策の農地のローテーションを組んだ作付け方法により単位面積当たりの生産額も著しく向上した。まさにマエズラ王国の食糧庫である。そして、その農産物は南の遊牧民の国家にも販売されている。これらの農産物の生産額は年間金貨60万枚である。農産物の税率は4割なので、税金は年間金貨24万枚である。
この時代、農地は基本領主のもので、農民は領主に税を払う。税を払ったのちの生産物については、自家消費分を除いて自由に販売できるが、悪い商人に買いたたかれても困るので、俺はヤマユリ商会以外はマエズラ王国での直接農民からの買い取りを禁止した。これまでの生産量だと、税金と自家消費量を除くとほとんど残らなかったのだが、液体肥料によって生産量が増えたので、かなりの農産物が販売に回るようになった。それで、ここでも商業税が金貨4万枚ほど上がるようになった。
これらを合計すると230万枚となる。もっとも、文官の雇用や民生にも経費を払う必要があるが、マエズラ王国は夜警国家である。軍隊意外に使う費用は少ない。50000人の軍隊は十分維持できるようである。




