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203.東方視察3

 東方視察に出たハルト一行はイーストブルガシェル国、イーストブルガシェル国と順調に日程をこなし、最後の訪問国カンテリク国に向かった。


カンテリク国は遊牧国家で決まった王宮はないそうである。草原を草を求めて遊牧する、一応季節ごとに移動する草地は決まっているようである。そして、その遊牧民は幾つかの部族に分かれていて、その中で最強の者が国王になっているとのこと、その国王のもと統率がとられているそうである、この統率が乱れると周りの異民族に草地をとられてしまうそうである。


 イーストブルガシェル国を出て、1週間ほどしてカンテリク国の国王のいる部族のテント村に着いた。テントはかなりの数である。この部族だけでも2万人ほどの人口があるそうである。数十あるいは数百家族ごとにテント村を作ってその周りで家畜を放牧する。そんなテント村がこのあたりにいくつもあるそうである。そんなテント村が辺り一面に広がっている。


遊牧ということで、東の族の族長を呼んで

「お前たちもこのような生活をしていたのか。家がないというのは不便ではないのか」

と聞くと、族長は、

「俺たちは元の東の町、今の東の市だが、木造だが一応家があった。もっとも俺たちの種族以外はこのようにテントで暮らしている種族がほとんどだ。今でも東の市に住まない東の族はテントで暮らしている。今の生活を知ってからはもう昔の暮らしには戻れないが、昔はそれで十分だと思っていた」

「ということは彼らからすると、今のお前たちは堕落したということか」

「そういう言い方はやめてくれ、文化を知ったと言ってくれ」

「うう、なんともごまかしのような表現だな」


 そんなくだらない会話をしていると、カンテリク国のテントに案内された。

テントに入ると国王が

「ようこそ来られた。歓迎する」

と言われた。

「貴殿の国が我国に臣従の意を示し、側室としてエイネを入内させてきたので、それにこたえる形で、今回の訪問になった。

それと貴殿たちは遊牧ということで季節ごとに移動しているとのことで、国の境界がはっきりしないと、他国ともめることになるので、国の境界を教えてもらうためにここに来た」

と答えた。

すると、国王は

「エイネを気にいってもらえたようでよかった。国の境界は明日から部下に案内させる。現在、南のニープール王国とセープール王国が絶えず小競り合いをしている。戦争になれば我国にも被害が及ぶ。我々としては、両国が戦争になって、街道を通る商人がいなくなると、商人からの税金が入ってこなくなるので大問題となる。できれば、この2国に働きかけてくれるとうれしい」

と言われた。

「何とも難しい話である。私の様な物の言うことを聞くであろうか」

と聞くと

「多分、貴殿の言うことは聞くと思う。マエズラ王国は大国である。それに『精根の王』と言う名はこのあたりでも有名である。この名がある限りこのあたりの遊牧民は貴殿の言葉に従うであろう」

と言われた。

しかたがないので

「わかりました。やれるだけのことはやってみます」

と答えた。

その後、

「この国には何か変わった物はないのか」

と聞いたのだが、

「砂漠の国、取り立てて変わった物はない」

とのことで、がっかりである。

今後ともよろしくということで会談は終了した。


 その後、その大きなテントで夕食となったのであるが、料理はもうワイルド、俺の口に合いそうもない。青い顔をしていたらエイネに

「旦那様は上品なんですね」

と寂しそうな顔をして言われた。

「こういうのは苦手」

と答えた。

そうしたら国王が

「男は、飲んでナンボだ」

と言い出した。

俺は「やめてくれ、そんな体育会系でない」と思ったが、国王の手前それを言えずに、飲み比べをすることになった。この際だから、ずるをすることにした。そう俺の魔法で口に入った酒すべて俺の収納空間ボックスに転送するのである。これで、俺はウワバミになれる。


 結局、飲み比べは俺の勝、国王が

「やはりハルト殿は男の中の男、わしの目に狂いはなかった。エイネもよく仕えるのだぞ」

と絶賛された。

ズルしているだけに、何となくむず痒い。


 次の日、南のニープール王国とセープール王国に特使を派遣した。


そして、国の境界を案内してもらった。マエズラ王国の担当官は馬であるが、こちらは魔道馬車である。担当官は砂埃が上がる中、砂漠を疾走しているが、こちらは涼しい顔で付いて行くだけ。余裕である。



 これで、今回の臣従国家への親善訪問は終わりである。


その後1か月ほどして東の市に帰って来た。


 王国歴352年9月、周辺国と友好を深めるハルト41歳、マエズラ王国は今日も平和である。

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