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202.東方視察2

 イーストブルガシェル国の親善訪問の2日目、今日は市内の見学ということで、希望を聞かれたので、鉄の産地ということで

「鍛冶屋を見てみたい」

と答えた。すると鍛冶屋に案内してくれた。


鍛冶屋に行くと、大きな炉の様な物で鉄を作っていた。風を送るフイゴの様な物もある。前世のたたら製鉄という言葉が浮かぶがよくわからない。

「高い炉の様な物を作って、鉄鉱石を上から入れて下から木炭を燃焼させると熱い空気が上へいくので、鉄鉱石の鉄が溶けるのでは」

と言ったら

「それはどのような物か、ハルト様の国にもあるのか」

と聞かれたので、

「よく知らない。鉄を作るのは専門ではないので。アムスム王国では鉄は土魔法の魔法士が魔法で作っていた。俺も魔法で鉄を作れる」

と答えた。

すると国王が

「アダの産む子が土魔法が使えるといいね」

と言われた。

また、俺が思いつきで言った方法についても研究してみることになった。


 次の日は、市内の粉ひき場の見学となった。ここは山の中で、水車小屋が設置されている。その水車を利用した粉ひき場である。担当者が浮かない顔をしているので、

「どうしたのだ」

と聞くと、

「歯車がよく壊れる」

という。

何となく前世の記憶にある「互いに素」という言葉が浮かぶ。思わずつぶやいたら、

「それはどういう意味か」

と聞かれた。

「歯車の歯数を公約数を持たないようにすることで、同じ歯車が接触しないようになる。すると均一に接触するので壊れにくくなる」

と答えたのだが、

「公約数?」

やっぱりわかってもらえない。しかたがないので、俺の土魔法でこの場にうまく合うような歯車を作ってあげた。これには国王以下すごく驚かれた。


 このようにして、イーストブルガシェル国での滞在は彼らにとってはすごく有益であったようで

「もっといてほしい」

と言われたが、

「次の予定もある」

と言って、1週間ほどで次の訪問国イーストチャルクス国に向かった。


イーストチャルクス族はチャルクス族の東方に住む種族で、まさに草原の民である。しかし、王都はボルゴ川の下流に位置するこれも交易都市である。商人の落とす金もこの国の重要な収入源とのことである。したがって、街道の安全を図るために野盗や山賊は絶えず討伐しているそうである。街道の安全が図れるということはマエズラ王国の利益にもつながる。まさに、ウィンウィンの関係である。


 そして1週間ほどで王都イーストチャルクス市に到着した。ここはボルゴ川の灌漑による農業が盛んで、小麦や綿花などが生産されているようである。そのため、液体肥料を購入したいとのことであった。代わりにここで産出されるカリ鉱石や綿花を輸入することで話がまとまった。今回カリ鉱石の購入のめどがたったことから、東の市の周辺で産出されるリン鉱石と合わせて、東の市に液体肥料の工場を作ることにした。


 王宮での晩さん会では、出てくる料理はボルゴ川の流域の畑で生産された野菜をふんだんに使った料理がふるまわれた。肉主体だと引くのだが、野菜は大好きである。また、カイスピ湖でとれる魚料理も絶品である。どうも俺の前世は肉食系ではなかったようだ。ここでの料理は食が進む。するとアダが

「旦那様は私の国の料理はあまり食が進まなかったのに、ここでは食が進むのですね」

言葉に何となく棘がある。

しかし、俺は絶対君主、マエズラ王国に貴族はいない。王様と従士だけである。そこは威厳をもって

「俺は野菜と魚料理は大好きだ」

と答えた。レンと違って、魔力も飛んでこない。これぐらいの嫌味、かわいいものである。

そうしたら、アヌが嬉しそうに

「旦那様は、イーストチャルクス国の料理が大好きなのですね」

と言い出した。

側室の間でも確執はあるようだ。

ここで、もめられると、俺の奴隷ハーレム計画が破綻する。「何とかせねば」と思うが、いい言葉が浮かんでこない。やっと、

「妻たちは仲良くするように」

こう言うのが精一杯であった。

すると、国王が

「妻たちを黙らせるのは男の甲斐性、男の強さを見せつけるのですよ。そう言えばハルト様は『精根の王』と呼ばれているそうですな。夜にかわいがってあげれば、黙るのではないですか」

その二つ名は俺として不名誉なのだけれど、「これで俺の遊牧民への忠誠が得られるのなら」とあえて黙認しているのである。今はそれをいう訳にはいかないので、

「ご助言、感謝する」

とだけ答えた。


 次の日は、現地視察ということで、綿花農園を見せてもらった。ちょうど綿花の摘み取り時期ということで、辺り一面の綿花畑、白い綿花の実を娘さんが摘み取りをしている。前世の早乙女と言う言葉が浮かんでくる。早乙女は田植えだっけ。少し違うか、でも農作業を見ていると癒される。そういえば、俺の産まれたコー村にもずいぶん長い間行っていないなと思い、ちょと感傷的になった。

すると、国王が

「どうかされたのですか」

と聞いてきたので

「俺は農家の次男だったので、農作業風景を見ていたら、故郷の村を思い出したのです」

と答えた。

「元農家の次男。それが今は国王、ずいぶんと出世されたのですね」

と言われたので、

「たまたまですよ。運がよかっただけです」

と答えた。


 国王が、

「低い川の水を高いところに上げられたら、農地をもっと広げられるですが」

と言ったので

「風車でも作ったら」

と言ったら

「風車とはどんなものですか」

と言われたので、

その場で俺の土魔法で風車と水車を作って川に設置してあげた。そうしたら、川の水が高いところに汲み上げられるようになった。

すると国王が

「これはすごい。同じものを作ってもいいか」

と言われたので、

「好きにして」

と答えた。


 ここでも1週間ほど滞在したのち、最後の訪問国カンテリク国に向かった。

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