198.帝国観光1
王国歴351年10月、腹黒皇帝が前年に退位したので、新しい皇帝が選ばれた。新しく皇帝になったのは北部の有力貴族ブルヘンハイム公爵である。
今度の皇帝は先の皇帝とは違ってかなり誠実なようである。選挙も公正に行われたようである。そして、低下した国力の回復を図るため、周辺国との融和政策をとるようである。先ずユルノギ王国やアムスム王国には幾度も侵攻してきたので、これについては損害補償を行うとこで、講和条約の締結に成功した、これで俺も大手を振って帝国に行けるようになった。
講和条約の締結後、帝国から大量の液体肥料の注文が入った。この時代の産業は農業が大きなウエートを占める。したがって、農業生産力を上げれば、国力を回復できる。今帝国はフラ王国から多くの農産物を輸入しており、これが無くなればかなりの費用の節約になる。その分を他の投資に回せば、といきたいところだが、実際は、先の無能皇帝のせいで、帝国の資産とも呼べる銀鉱山の収益の半分を失ったことからこの損失を埋めるのが関の山である。
とりあえず、帝国にも自由に行けるようになったことから、帝国の名所旧跡を訪ねてみようと思う。「とにかく帝国の窮状は他人事である。俺の懐か痛むわけでないからいいや」と思うハルトであった。家族の夕食で
「今度帝国の観光旅行に行こうと思うが一緒に行かないか」
と言うと
「いく」
ということで妻たち全員で行くとこになった。俺、レン、アンナ、リタ、エバ、ソフィー、ミレーヌ、パメラの8人である。子供たちは別で行くとのこと。
しかし、この姿で行くと、目立つということで、認識疎外の魔道具を全員まとって、変装用のかつら、メガネ、あと肌の色を変える魔道具をまとっていくことになった。
定期連絡船で、帝国の北の大都市ハンブルゲン市に行った。港について船を降りると、そこは港町何となくエキゾチックな香りがする。とりあえず今日泊まる宿を決めることにした。通りに面した一番高そうな宿にした。金はある、それに女性が多いことから安い宿は不安である。
宿を決めたので後は気楽である。通りを歩いて行ったら教会があった。かなり大きな教会である。中に入ってみると祈りをささげている人がいる。そこで、俺たちも一緒に祈りをささげた。そうしたらレンが
「旦那様と教会で夫婦の誓いをして結婚してから、ずいぶん時間がたったわね。なつかしいね」
と言い出した。そして、俺にすり寄ってくる。
何となく嫌な予感がするが、ここは無難に
「そうだね」
とだけ返しておく。
そうしたら、エバやソフィー、ミレーヌ、パメラが
「私たち式をしていない。なし崩し的にそういうことして、子供が出来たら『家族だと言われた』」
と言い出した。
レンやアンナ、リタの見る目がきつい。俺は
「だって、『側室は王家に届けが必要だが、愛人は何もいらない』と言われたから、何もしなかった」
と答えた。そしたら
「ひどい」
と言われた。
それでここで結婚式をしようということになった。
司祭さんを呼んできてもらって、エバやソフィー、ミレーヌ、パメラと式を挙げた。と言っても誓いの言葉を述べただけである。俺としてあまり気にしないのであるが、女にとっては大事なことだそうだ。
俺が
「今日は新婚初夜だな」
と言うと、レンとアンナ、リタから
「まだ子供を作る気ですか」
と言われた。
「俺にとっては大事なことだ」
と言うと
「それなら私たちもかわいがって」
と言われたので
「お前たちは年だ」
と言ったのだが、どうも地雷を踏んだようである。
結局その夜は全員の相手をさせられた。
次の日は疲れたので、宿で何もせずに過ごした。妻たちは市内を見てくると出かけていった。夕方妻たちが帰って来た。
「市庁舎を見て、広場で英雄の像を見て、屋台で買い食いをした」
そうだ。
昼間ごろごろしていたので、夕方になると俺も元気になった。
「それじゃ選手交代だな、今度は俺が市内を見てくる」
と言って、出て行こうとするとレンが
「どこへ行く気ですか。もう店は閉まっていますよ」
と言うので、俺が
「これから開く店もあるだろう」
と言ったら
「旦那様は侯爵、いかがわしい店に行くことはやめてください。女なら私たちがいます」
結局、レンの迫力に負けてその夜も妻たちの相手であった。
この都市はいい都市じゃないということで次の都市に行くことにした。別に予定を決めてきたわけではないので、気が楽である。妻たちは「まだこの都市の半分も見てない」と言っていたが、強引に「次へ行く」と言って行くことにした。このへんは当主の威厳である。
連絡馬車に乗って次に行った都市はライフブルグ市である。ここは帝国の経済の中心とかでかなりにぎわっている。中心の広場では新年になると有名なマーケットが開かれるそうである。帝国中だけでなく周辺国からも、これを見に来る人もいるそうである。これは宿の主人に聞いた話である。川下りが出来るというので、乗ってみることにした。
船着き場に行くとかなりの人である。カップルが多い。「男は大根」と思うと周りは美女だらけである。目の保養だなと眺めていると、レンがにらんでいる。いつもことである。無視した。順番になったのでお金を払って船に乗った。船が岸を離れて、動き出すとかなり揺れる。俺とレン、エバとソフィー、ミレーヌ、パメラは大丈夫のようだが、アンナとリタは青い顔をしている。
俺が、アンナとリタに
「若者は元気だな」
と言うと、これも地雷を踏んだようで、怒ったような顔したが、すぐに青くなって吐いた。俺はすぐに結界を張ってこれを防いだ。結界を張らなかったら、もろに俺にかかっていた。そうしたらアンナとリタが
「結界を張るなんて、ずるい。ひどいことを言ったのだから、ゲボがかかればよかったのに」
と言い出した。
濡れ衣である。俺は声をかけただけだ。結局、これも俺が悪いことになった。




