194.アリルヌリア王国からの要請
王国歴350年4月にアリルヌリア王国からの使者がリチ市に来たという知らせを受けた。
なお、リチ王国が俺の領地になって俺は王都リチを復興した。それで北の交易路も植民都市NO.21から旧王都リチまで延長した。当然定期バスも延長している。商人もマジックバッグを持っている商人はよく利用しているようである。
街道と定期バスがリチ市まで延長されたので、これまで定期船がNO.21まで来ていたが定期船はリチ市どまりとなった。そこでヤマユリ商会もリチ市に商館を設けている。だから現在ではマエズラ王国で一番人口の多い都市になった。あの旧王族の三姉妹によると
「リチ王国の時代よりも人口も増えたし、町もにぎやかになった」
とのことである。
このあたりの牧草地は東の族の縄張りのようで、他の遊牧民はこのあたりには来ない。そして、その東の族がマエズラ王国の一員となったことから、リチ市の安全は確保されていると言ってよい。なお、東の族の領域の南にはチャルクス族という遊牧民がいるが草地は重なっていないようである。東の族はこのあたりでは強者に分類されるようで、あえてチャルクス族も境界を侵してこないようである。
話を戻すと、アリルヌリア王国からの使者が来たということで、書状を受け取った。その書状には、
「折り入って相談したいことがあるので、アリルヌリア王国の王都に来てほしい」
というものである。
アリルヌリア王国の王都に行くと、国王と宰相から
「最近、チャルクス族が、アリルヌリア王国の領地をたびたび侵すようになってきた。
以前はマエズラ族が北部の国境を侵してきたが、マエズラ王国が出来てからはマエズラ族は侵攻してこなくなった。
しかし、チャルクス族が以前にも増して侵攻する回数が増えてきた。
これまでは侵攻してきたチャルクス族を撃退するだけだったが、今度は逆にチャルクス族の領地に侵攻して、彼らの領地を我国の領土に加えようと思うのだが、マエズラ王国としても協力してもらえないであろうか」
これに対して俺は
「チャルクス族は今のところマエズラ王国の領地を侵してはいない。東の族とは領地のすみわけが出来ているようである。
もし、こちらから攻撃すれば、チャルクス族も反撃してくる。彼らはこちらが強いと思えば引くし、弱いと思えば攻めてくる。だから、一旦戦端を開くと永遠に戦争を続けることになる。
だから、マエズラ王国は協力できない」
このように答えた。
すると国王が
「そんな弱気でどうするのだ。若し、こちらがチャルクス族の領地を切り取っても、後で後悔しても知らないぞ」
と言われたので、
「こちらに影響がなければ問題ない」
と答えた。
(ここからはアリルヌリア王国のチャルクス族への戦争の状況である)
アリルヌリア王国はマエズラ王国に断られたことから単独で動くことにした。各貴族に依頼して3万人の兵を集めた。そして、チャルクス族の野営地ツリツイク平原に向けて進軍を開始した。
そして、侵攻を開始してから10日後に、ツリツイク平原に到達したのであるが、そこにはチャルクス族の姿はなかった。王は斥候を放って彼らのいる場所を探させた。すると、ツリツイク平原から南へ150kmほど行った場所にいることが分かった。
そこで、そこへ向かって進軍を開始したのであるが、5日後、そこに行くと彼らの姿はなかった。そうやって、彼らの姿を求めて1か月ほどチャルクス族の領地を行ったり来たりしていたのであるが、食料が残りわずかになってきたので、国へ帰ることにした。
そして帰還の途に就いた5日後の夜、野営地で火の手が上がった。国王は襲撃かと思って、枕もとの剣をとったのだが、襲撃してきたチャルクス族は撃退したようであった。しかし、この襲撃でただでさえ少なかった食料がさらに少なくなった。敵は食料の置いてあるテントを狙ったようで、かなりの食料が燃やされたようである。
それからは、すきっ腹を抱えて、夜になると敵の襲撃におびえ、苦難の連続であった。とにかくチャルクス族の土地には草しかないのである。これが我国なら町や村があってそこで食料を調達できるのであるが、ここでは草しかないのである。まさか草を食べるわけにもいかず、途中で倒れる兵もいて、国に帰った時には3万人の兵が2万人ほどになっていた。マエズラ国王の言った言葉の意味が分かったような気がした。




