表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
188/253

187.公聴会1

 王国歴349年12月、公都ライフブルグで公聴会が開催された。今回の議題は

「南の都市同盟が東の王国に貸し付けたという借用書が本物かどうか。

そして、南の都市同盟が東の王国にリチ王国を襲撃するように教唆したかどうか。

そして、南の都市同盟の商業活動を規制するかどうか」

この3点である。


 議長は皇帝である。原告は北の都市同盟の代表者、被告は南の都市同盟の代表者、判事はこの国の貴族で当主が出席する場合もあるし代理人が出席する場合もある。今回ブルヘンハイム公爵とバイエルベルク公爵それにライフブルグ公爵は本人が出席した。これには皇帝もあわてた。この3公爵相手では皇帝の威光で他の弱小貴族を黙らせて南の都市同盟の都合のいいような結論に持っていけない。仕方がないので皇帝は中立でいることにした。


 皇帝の開会のあいさつの後、議事が進められた。

「まず第一の議題、『南の都市同盟が東の王国に貸し付けたという借用書が本物かどうか』であるが、これについて原告は内容を説明してください。」

「私は北の都市同盟の代表です。これは南の都市同盟が東の王国に金を貸した借用書です。これに記入されている代表者の名前は、以前帝国に提出された南の都市同盟の営業許可申請書の代表者名と一致します。これは帝国商業省にも確認をとっています。ですから、この借用書は本物と判断されます」

「これに対し被告人は意見がありますか」

「私は南の都市同盟の代表者です。前の代表者は体を崩して入院しておりますので、今月から私が代表を務めております。それで前の代表にも確認したのですが、その様な国に金を貸したことはないし、借用書に署名したこともない。私の名前を勝手に使われたのではないかと思うとのことです」

「これに対して原告は意見がありますか」

「この借用書の署名の筆跡は間違いなく帝国に提出された書類の筆跡と同じです。それに金貨80万枚などと途方もない金額を貸し付けられる者など限られてくると思うのですが」


 このようにして議論は進んだが、南の都市同盟はあくまで白を切るので、しかたがないので皇帝は採決を採ることにした。

「議論がかみ合わないし、時間も限られているので、ここで採決を採ります。ただ、あくまで南の都市同盟が否定するので、ここでの採決の結果はあくまで参考となります」

「それでは、この借用書が本物と考えられる人は起立願います」

するとほとんどの人が起立した。仕方がないので皇帝は

「採決の結果この借用書は、本物と判断される。しかし、南の都市同盟が否定するので真偽のほどは分からない。そういう結論になります」



「次に、『南の都市同盟が東の王国にリチ王国を襲撃するように教唆したかどうか』という議題に移ります。原告は内容を説明してください」

「先ほどの借用書が本物らしいという採決ありがとうございます。ここに、先月行われたマエズラ王国と東の王国と戦争で負けた東の国の国王の聞き取り結果があります。

これによると『東の王国の戦力ではマエズラ王国に勝てないと言ったところ、南の都市同盟からはリチ王国を襲えば多くの金が入るから、それで借金を返せと言われた』とあります。これにはサウスブニューデン侯爵の署名入りです。公聴会にはハルト侯爵は出席できないが、もし必要なら元東の国の国王を出席させるともあります。それで、今回ここに呼んであります」

これには南の都市同盟の代表はあわてた。「マエズラ王国と戦争になれば東の王国の国王が死んで、証言できない」と思っていたのが、生きているのである。しかしここも白を切ることにした。

「そのような蛮族の言うことをまともに聞くのですか。それにその国王を教唆した者は南の都市同盟の名を語った偽者かもしれないのに、どう判断しろと言うのですか」

その後も議論は進んだが、南の都市同盟が認めないので、結局、これも採決をとることになった。今回は原告の意見に賛同したものとしなかったものはほぼ同数となり、これについて皇帝は

「採決の結果、南の都市同盟が東の国にリチ王国を襲えと教唆したかどうかは分からないという結論になります」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ