181.南の都市同盟の暗躍
南の都市同盟の首脳は頭をかかえた。帝国の皇帝選挙は資金を湯水のように投入した結果、同盟の操り人形のような皇帝を就任させることが出来た。しかし、選挙の際の条件で、うまく同盟の意図する政策を実行できない。おまけに貸した金もほとんど返ってこない。皇帝は金を返す手段がないようである。金を返す気があるのかさえ疑ってしまう。
とにかくサウスブニューデン侯爵によって構築された北の交易路の破壊が急務である。そうしないと南の都市同盟の商人が干上がってしまう。だんだん北の都市同盟の商人に押されて取引額が落ちていると聞いている。
最近は東方の絹も、砂漠を越えてきたキャラバンは直接植民都市NO.21に行くそうである。そうすると定期バスで2日でマエズラ市に行く、そこから帝国の北部の都市まで定期連絡船で5日である。途中宿泊を入れてもNO.21から帝国北部まで9日である。
これに対して、南の都市同盟の商人は大陸東部の港で絹を仕入れて中の海を渡るだけで10日以上かかる。それから陸路山脈を越えて帝国の中心部に至るのに20日以上かかる。合わせて1か月である。
これらの日数が費用に反映する。すると、とても勝てない。
ただ、胡椒については北の都市同盟も大陸東部の港まで買い付けに行かないといけないので、かなりの日数を要するため、あまり値下げできないようである。しかし、これもかつてのような膨大な利益は見込めなくなった。
いろいろ思案したが、一度は敗れた東の王国に資金を貸し付けて、この王国の軍隊を復活させて、マエズラ王国を襲わせるしかないという結論に達した。
膨大な資金を投入した結果、東の王国の軍隊を復活することが出来た。部隊の装備と馬は復活できた。しかし、東の王国は元々他の北の大陸の王国の様な国の制度が整った国ではなかった。どちらかというと部族長が部族を率いるという感じである。そのため、マエズラ王国に徹底的にやられたため、族長の権威が失墜し、「マエズラ王国と戦へ」と言うとしり込みして戦おうとしないのである。
族長がだめなら、誰かかわりをと思うのだが、族長になるなら武勇がすべてということで、とにかく強くなければならない。今のところ彼が一番強いので、族長のなり手がいない。
もし、ハルトが、NO.21平原の戦いの後、東の王国の内部へ深く逆侵攻を企てていれば、自分たちの国を守るということで、一致団結できたであろうが、ハルトはそのあとすぐに軍を引いて、その後、東の王国を攻めてくる気配がない。そこで気が抜けてしまったというのもある。
とにかく役に立たないのである。あまりがみがみ言ったら、「もう出て行け。お金はありがたくもらっておく」と言い出した。この部族には借金という概念はないようである、南の都市同盟としては東の王国に投入した資金はあくまで貸し付けたという概念であったが、彼らにすればもらったものという感覚であった。
これには南の都市同盟の人間もあきれてしまった。そこでマエズラ王国からに南にある王国を襲わせることにした。何もマエズラ王国を襲わなくても、その南の王国でもいいのである。要は北と南に連なる交易路を破壊できればいいのである。
東の王国に 「マエズラ王国の南の国の兵は弱いし、交易路がにぎわっているから金もある」とおだてたら、やっと襲う気になった。




