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179.NO.21の投げた波紋

 植民都市7NO.21が守られ、東の王国の軽騎兵の部隊が、壊滅的な打撃を受けたため、多分当面NO.21の安全は確保されたと言っていいであろう。すると、安全になったということで、植民都市NO.21にはこの地域の多くの商人が集まるようになった。特にヤマユリ商会で販売している液体肥料や陶磁器に注文が殺到するようになった。


 これらの商品はこれまでサウス王国を除いて、北の大陸の北部地域の国々でしか販売されていなかったのであるが、これが、北の大陸の東や南の国々にも販売できるようになったのである。


 このため、NO.21のヤマユリ商会の商館には多くの外国の商人が訪れるようになった。また、一部の商人はマエズラ王国の南北に延びる街道に沿ってマエズラ市まで行き、そこから船で北の大陸の北部地域の国々にもいくようになった。彼らの便宜を図るため、ハルトはマエズラ王国の街道に定期バスを運行した。また、マエズラ市からサウスナンテンブルグ市までの間にも定期連絡船を運行した。


 定期バスや定期連絡船を運行しなければ、たぶんヤマユリ商会が彼らの扱う商品を独占できたであろうが、あえてハルトはそれをしなかった。ヤマユリ商会が大きくなりすぎると反発を食らう。それと北の都市同盟との関係は帝国との関係上、良好にしておきたいと判断したからである。


 これにより、これまでは東方の産物は北の大陸のランド王国の商人が扱い、それを帝国で産出される銀と交換するという北の大陸の金の流れが、No.21を経由することにより直接北の都市同盟に加盟する諸都市に向かい、そこから帝国の銀と交換されるという流れに変わろうとしていた。之これに危機感を覚えたのが、これまでこれらの商品を扱っていた北の大陸のランド王国の商人たちであった。何とかしなければと思うのだが、東の王国は今のところ頼りにならない。そこで、NO.21より南位置する王国にいろいろ暗躍したが、これらの国々にしてみれば、この交易路は自分たちの国にも利益をもたらすことから、あまり乗ってこなかった。


 そこで目を付けたのは帝国の皇帝選挙である。この選挙で、自分たちに便宜を図るような皇帝を選出できれば、北の都市同盟に圧力がかけられる。若しハルトの艦隊を殲滅してくれば、北の交易路を破壊できる。


 そのため、今回の皇帝選挙は、以前に増して苛烈な買収合戦となった。


 皇帝が当時大陸を席巻した疫病で死亡したのは王国歴339年9月、今から9年近くも前のことである。それがなぜこんなにも長く次の皇帝が決まらなかったのか。


 それは、次の年に一応新しい皇帝は決まったのだが、その皇帝が帝国以外の国の人だったため、帝国の貴族が反発して、皇帝が帝国に入国できない状況となった。やっと反対していた有力貴族と和解して、と言ってもすんなり和解したわけではなくそこにはかなりの金が動いたと噂されている。実際のところは不明である。そしてやっと入国したのだがすぐに死亡してまた選挙になったのである。


 つまり皇帝は決まっていたのだが実際はいないとの同じ状態になったというのが実情である。そしてその選挙が今年行われる。今はその前哨戦として買収合戦が行われているという状況である。


 帝国はこの北の大陸で最大版図を有する強大国家である。それは1つにまとまれば、という条件付きである。現在は先の大陸を席巻した疫病の流行以来、その実態は有力貴族の連邦国家という状態に落ちいっている。


 しかし、有能な皇帝が選出され、彼のもとに国が再統一されば、もともと国力があるだけに、その影響は予断を許さないのである。周りの国々もその成り行きを見守っているのである。


 ほんとはハルトの作り上げた交易路など、帝国にとっては取るにならない話のはずであるのだが、ランド王国の商人が火をつけたことが影響して今後問題を生じることになるのである。

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