178.NO.21平原会戦
このようにしていてもらちが明かないので、敵の本体の位置を探るように、監視装置を国境を越えて飛ばした。そうしたら、敵本体の位置が分かった。ここから魔道馬車で半日弱彼らの馬だと約2日のところにいる。こんな遠いところまで俺たちを引っ張っていくつもりだったと思うと、恐ろしくなる。こんなところまで追いかけて行ったらもう戻れない。敵の規模約3万人。草原の中に陣を敷いている。攻城兵器も見られる。
敵の作戦として、偽装撤退で俺の部隊をいくらか削って、そのあと本体が出て行って、NO.21を包囲、攻城兵器で城壁を壊して、城内に突入という作戦だと判断した。
どうしたものかと作戦会議をした。レンは敵本体を叩きたくて仕方がないようである。今回はNO.21の防衛が目的だから、敵の攻城兵器を破壊すれば、敵本体も引くのではないかという話になった。
あんな見晴らしの効く平原のど真ん中、奇襲も難しい。結局夜襲しかないということになった。とりあえず3000人の敵先鋒は無視して、300台の魔道馬車で全力で敵本体を叩く。目標は敵の攻城兵器。明日の夜半にここを出て、一旦西に進んで、大きく南側を迂回して、敵の背後に回り、攻城兵器を攻撃する。作戦はそのようになった。
次の日も散発的な陽動は見られたが、いつもと同じように追い払って終わり。そんな状況で1日が終わった。
夜になるのを待って、俺たち魔道馬車300台は西の門から出て一旦西に向かった。そして、その後、南に大きく迂回、敵軍の背後に回ったが、このまま突っ込めば、いくらなんでも音で事前に察知されてしまう。
それで、俺トレンの乗る魔道馬車だけ、静かに敵に近づいて、レンが攻城兵器に向けて魔力弾を飛ばす、俺がそれを誘導して敵の攻城兵器にあてる。なお、敵の攻城兵器は昼間に目印をつけておいたので、夜でも索敵を使えば攻城兵器の位置がわかる。
レンが放った魔力弾が爆発する音が合図で、そのあと全軍で突入し、敵の戦力を削く。そして、敵軍を突き抜けたらそのまま西に移動してNO.21に戻る。作戦はそのようにした。
敵から2kmぐらいのところで魔道馬車を止めた。レンが静かに魔力を込めていく。こんな遠くで聞こえるはずもないが、とにかく用心してお互いに無言である。レンが魔力弾を放つのを見て、俺は転移魔法で魔力弾を敵の攻城兵器の真上に転移させた。すぐに魔力弾が炸裂した。夜で見えないので結果は分からいが、多分攻城兵器は破壊できたと思う。
その後、味方の魔道馬車の突入が始まる。レンはその間、魔力弾を作っては投げ、作っては投げしている。俺はそれを転移魔法で敵軍の上に転移させている。そろそろ、味方の魔道馬車が敵軍と接敵する頃合いになってきたので、俺たちの魔道馬車も突っ込むことにした。
そして、敵軍を突き抜けたのだが予想された敵魔法士による反撃はなかった。不思議である。そのまま俺たちは元来た道を西に向かい明け方にはNO.21に戻った。敵魔法士の反撃がなかったので、我軍の損害はゼロである。
次の日監視装置を空に飛ばして、敵軍の様子を探ると、攻城兵器はすべて破壊できたようである。軍にもかなりの損害が出ているようである。そして、馬の姿が見えない。たぶんレンの放った魔力弾の爆発音に驚いて馬が逃げ出したようである。
敵魔導士の反撃がなかったのは、馬が逃げ出してそれどころではなかったようである。軽騎兵は馬がなければ、ただの歩兵になってしまう。そして彼らは歩兵としては戦う訓練をしていないようである。俺はそう結論付けた。
その次の日俺たちは残った3000人の敵先鋒を周りを魔道馬車で囲んで殲滅した。軽騎兵といえども魔道馬車には勝てない。周りを囲まれて逃げる場所がなければ、動きが制限される。確かに動きが早くて大変だが、マエズラ族の弓の腕は超一流、正確に軽騎兵に矢を当てていく。見事としか言いようがない。確かにこれだけ強いと周りの国々から恐れられたはずである。結局、負傷して動けなくなったものを含めて捕虜は2000人ほどになった。前回同様奴隷紋を刻んだ。
その後、再度敵本体に魔道馬車で攻撃を仕掛けた。馬がなけばただの歩兵、魔道馬車の敵ではなかった。半分ほどには逃げられたが、1万人ほどを捕虜にした。これらの兵士も奴隷紋を刻んだ。
こうしてNO.21郊外の平原で行われた戦いはマエズラ王国の勝利で終わった。この戦いはのちにNO.21平原会戦と呼ばれるようになった。そして、この戦いで植民都市No.21を守り抜いたことにより、この都市がこの地域の経済の中心となる礎を築いたのであった。
前回の戦闘と合わせて東の王国からの捕虜は1万4000人になった。東の王国からは何も言ってこないので、これらの捕虜は奴隷紋を刻んで、マエズラ王国の兵士として運用している。軽騎兵1万4千人はすごい戦力である。
マエズラ王国の戦力は本国からの駐留軍4000人、マエズラ族の戦士12000人、それに奴隷の軽騎兵14000人あわせて30000人である。少し異常なので、いやいや来ている本国の駐留軍は数を減らして2000人に、マエズラ族の兵士も6000人にした。なお、マエズラ族の元兵士6000人については予備役ということで、有事には兵士として参加してもらうことにした。それでも、22000人すごい戦力である。
王国歴348年6月、ハルト37歳、マエズラ王国の平和は守られた。




