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177.東の王国の再侵攻

 王国歴348年6月、東の王国の軍隊が国境を越えたとの連絡が入った。俺はレンとともに植民都市NO.21に転移した。敵軍の規模は現在不明だが、軽騎兵が先行し、後ろに後続部隊が続いている模様とのことである。俺は索敵を使ってみたが、さすがにこの距離では正確には分からなかった。このままいくと明日の昼頃にはここNO.21の川の対岸に到着するだろう。


 前回のNO.20では打って出たが、今回はNO.21が要塞化されているのと、この川を渡河する時に襲う方が効果的と判断し籠城戦を決めた。前回はこの川をNo.21の北側の川幅が広くなっている箇所で渡河していることが、その後調査で分かっているので、今回も同じ地点で渡河すると予想される。


 そこで、この地点に罠を張ることにした。川の深みになっているあたりに足をとれら易いように縄でわなを作って多数設置した。さらに念のため、NO.21の南側の川幅の広くなっているあたりにも同様の罠を多数設置した。


 渡河した敵軍はたぶんNO.21の西側に展開すると思うので、そこにも落とし穴を多数設置した。今回軽騎兵対策として有効かどうかわからないが、スピーカーを至る所に設置した。このスピーカーから大音響を流せば、敵がそこにも我軍の伏兵がいると思って混乱するかもしれない。そう思って、まず両軍に、掛け声を出してもらい録音した。次に馬が怖がるかなと思って狼の声も森に言って録音してきた。


 次の日の朝、敵の先鋒が現れた。対岸からこちらの状況を観察している。すぐに渡河する気はないようである。その後NO.21の北側の昨日罠を設置した辺りに行った。そして、明らかに様子の違う兵士を川に向かって歩かせている。たぶん、あれは降伏した国の兵士だと思う。川の中へ歩いて行った兵士は罠に足をとられて動けなくなった。


 そうしたら、今度はNO.21の南側の昨日罠を設置した辺りで同様なことをした。これで昨日の罠は全部ばれてしまった。その後、彼らはここからかなり北に行ったようである。索敵でさぐると、ここから30kmも北である。そこでも同じように捕虜にした兵士に川を渡らせている。これだけ離れると手が出せない。しかし、敵の本体が渡河する直前に転移魔法で川底に罠を設置すれば、うまく行くのではないかと思い。敵本体が来るまで罠作りに専念した。


 その後、敵先鋒は先ほどの箇所で渡河を開始した。NO.21の秘密がばれるのを防ぎたかったので、一戦交えることにした。敵の数は約3000人、すべて軽騎兵である。魔道馬車100台を渡河地点に向かわせた。


 すると、敵先鋒は戦わずにせっかく渡河したにもかかわらず、再び川を渡って東に逃げていった。部下から「敵を追撃していいか」との連絡を受けたので、「敵主力の規模が分からないので、NO.21に帰還するように」と命令した。しばらくして魔道馬車が戻ってきた。川の中で動けなくなっている敵の兵士は、偽装かもしれないのでほっておいた。今日は顔合わせといったところである。


 逃げだした先鋒がどうするのか監視装置を空に浮かべて探っていると、しばらく逃げて追ってこないのを確認すると、そこでとどまるようであった。明らかにこちらが追いかけてきたら、本体のところまでこちらの追撃部隊を引っ張っていくつもりのようである。


 とにかく敵の本体がどこにいるのか、そしてその規模はいくらぐらいなのかわからないのが不気味である。戻ってきた部隊にそのことを伝えると、「追わなくてよかった」と言っていた。


 その次の日も、同じように、こちらを誘うようなしぐさが見られたので、川を越えることを禁止して敵先鋒を追い払うようにした。


 なお、昨日NO.21の北と南の敵軍が渡河しようとしたあたりを見ると、川の中に昨日の兵士はいなかった。川の中で動けなくなった兵士は、かろうじて縄を切って逃げ出したようである。

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