174.マエズラ王国の産業育成計画
俺はフラ王国やポルイスト王国の新領地での施設整備が一段落したので、マエズラ王国での産業振興を図ることにした。この国だけで自立できるようにしないと、国が亡ぶ。マエズラ族は冬の間することがないので子づくりが盛んである。すぐに人口が増えてしまう。食べられなくなると近くの国に略奪に行くのである。そうすると周りの国から攻められる。この悪循環を断ち切らなければならない。
今のところ、俺が持ち込んだ食糧で胃袋は満たされているため、他国に略奪に行くようなことはないが、いつまでも俺が養うわけにもいかない。とにかく自立してもらわないと困るのである。
まず俺が取り組んだのは農地の拡大と液体肥料の大量投入である。これはある一定の効果をもたらしている。しかし、この地域は冷涼で正直って農業では生産量が知れている。それにライムギばかり取れても、あんなまずい物、食通の俺としては御免こうむりたい。
そこでこの冷涼な気候を利用して牧畜業を振興してみてはどうかと思った。牛は乳を絞っても、こちらまで移送できない。そこで羊を飼うことにした。羊なら刈り取った毛で毛織物を作れば農業以外でも人を雇用できる。
まず最初ということで、一番南の植民都市NO.20で羊の牧畜を始めた。とにかくこの都市の周りは草原なのである。草はいくらでもある。フラ王国内で大量の羊を購入してマエズラ王国に運んだ。そしてNO.20近くの草原で飼ってみた。マエズラ族も家畜を飼う習慣はあるようで、何となくうまくいくようである。
しかし不安なので、俺の領地で借金をかかえ、羊を飼ったことのある農家を募集した。そしたら辺境伯領からかなりの応募があった。1000戸で閉め切ったら「増やしてほしい」と言われたので2000戸にした。
辺境伯領の農家は貧しいようである。彼らを先生代わりに送り込んだ。もうマエズラ族の指導は借金をかかえた農家しかない。まともな人間はあんな極寒の地には行こうとしない。これは前回得られた教訓である。
何とか羊の飼育はうまくいきそうである。そこで次は毛織物工業を起こすことにした。しかし、文字もろくに読めないマエズラ族に毛織物を織らせても、出来た製品が売れるとは思わない。
そこで毛織物を作る魔道具を作ることにした。
まず刈り取った羊毛をきれいにする魔道具、これはクリーンの魔法陣を設置することでできた。
次に毛糸を作る魔道具を作ることにした。刈り取った羊毛を丸め回転させながら引っ張り上げることにより糸を繰るようにした魔道具なのだが、中々上手くいかない、微妙に太さが違う。こういうことは「先人に聞くべし」ということで、移住してきた農家に聞いたら、きれいな毛糸を作ってくれた。そして「この魔道具は便利だ」と言われた。「これまで手でやっていた時よりずいぶん早くできる」と言われた。
次は機織り機、これも移住してきた農家に聞いたら魔道具としてできた。
ついでだからと、
「これらの機械を使って、工場を作るので、マエズラ族を工場で雇用して毛織物を作ってほしい」
とお願いしたら、
「赤字になったらどうするのだ」
と言われたので、
「その場合は侯爵家で補填する」
と言ったら、やってくれることになった。
この毛織物産業がうまくいけば、マエズラ族に無限食糧援助は続けなくてよくなる。それで、
「ここで作った毛織物をヤマユリ商会で扱うように」
リタさんに言ったら、
「文字もろくに読めないような種族が作った製品が売れるのか。売れ残ったらどうするのだ」
と怒られた。
もう現地に移住した農家に期待するしかないようだ。




