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172.防衛体制の整備

 今回の東の王国の侵攻はレンの魔法で一瞬で決着がついた。捕虜にした敵の騎兵は約2000人であった。反乱を起こされても困るので全員奴隷紋を刻むことにした。死んだ兵士がどれぐらいいたかわからないが、とにかく跡形もなく消えたのでよくわからない。かなりとだけ言っておこう。


 東の王国がどれくらいの兵を動員できるかよくわからないが、少なくとも万単位の兵は動員できるとすると、逆侵攻は危険である。防御を固めて、侵攻した敵を撃退するしかない。そこで、おれはNO.20以外の植民都市も要塞化することにした。また、ここのマエズラ族からも兵を募って防御態勢を整備することにした。


 降伏した騎兵を拘束して、奴隷紋を刻んでいった。そして植民都市NO.20に戻った。レンが魔道馬車から降りると大歓声が上がった。マエズラ族は『魔力弾の女神』、『魔力弾の女神』と叫んで地面に頭をつけて平伏している。そして

「今回女神が降臨された」と口々に叫んでいる。

「女神の鉄槌の前には敵も無力である」と言っている者もいる。

まさに英雄である。


 レンは

「この地の人間は私の真の力をよくわかっている」

とご機嫌である。


 興奮冷めやらぬ状況であるが、早急に防衛態勢を整備したいので、俺とレンそれにバルトカイそれにこの地に赴任している事務官と軍の司令官とで会議室に集まって協議した。そして先ほど考えた俺の案を示した。


 まず、マエズラ族から兵を募って防衛体制に組み込む。他の都市も同様に要塞化する。魔道馬車はここに200台配置する。残り100台は中間のNO.10に配置する。それに敵の軽騎兵の能力を明日調べる。


 次の日奴隷紋を刻んだ捕虜の軽騎兵に、ここの防衛をするように命じた。そして広場で的を作って、彼らに攻撃してもらった。


 すると彼らは馬を走らせながら、弓をたやすく操作出来ることが分かった。まるで前世の流鏑馬を見ているようである。それから魔法についても、威力は小さいが、馬に乗ったまま魔法攻撃ができるようであった。


 彼らの戦闘能力はかなり高い。特に問題なのが、そのスピードである。今回国境とNO.20の中間まで1.5日で到達したのである。つまり国境を越えてから3日でここNO.20に到達できるということである。これに対抗するには、敵が国境を越えた次の日には応援部隊を送らなければならないということである。


 次の日、ここのマエズラ族に戦士を募った。応募してきた中から鑑定魔法で才能のある人間を600人選別した。そしてクロスボウとロングボウを扱わせた。また魔法の才能のある人間には魔力弾を教えた。彼らのその後の練習はここに駐留する従士に任せることにした。


 次に今度はNO.19に行って都市の要塞化と戦士の選別、魔法の訓練を行った。そこが終わるとNO.18と順番に都市の要塞化と戦士の選別を行っていった。すべての都市の要塞化と戦士の選別を終わったのは8月の終わりであった。


 この間レンはマエズラ族におだてられて、植民都市すべてに自分の銅像を土魔法で作っていた。そうしたら、マエズラ族は、その銅像を見て「『魔力弾の女神』なんとお美しい」と言って拝んでいる。よくわからん。彼らの美的感覚はかなりおかしい。


 それと彼らには宗教のような物はなかったのだろうか。しかし、それを確かめるのは至難の業である。彼らの言葉が分かりにくいのと、とにかく語彙が少ないのである。こういう物というと、まず「?」、ちょっと説明してもやはり「?」、会話にならないのである。俺も暇でないので、この件についてはあきらめた。


 俺もレンもバルトカイもずっとここにいるわけにはいかない。しかし、東の王国がその後何も言ってこないので不気味である。たぶん次の侵攻を考えているのだろうが、それがいつになるのか。悩ましいところである。


 そこで、一旦領都へ戻ることにしたが、緊急時の連絡用にすべての都市に俺の監視装置を設置して、1日3回朝昼夕と侯爵邸に定時連絡を入れるようにした。またその情報はすべての植民都市で共有できるようにした。


 これで、マエズラ王国の防衛体制が整備できたということで、俺とレンそれにバルトカイは領地に戻ることにした。しかし、連れてきた3000人の兵士はそのままマエズラ王国に常駐させることにした。これについてはだいぶ裏目しそうなことを言われたので、来年までには交代要員を送ると言った。


 レンが帰るときにはマエズラ族が涙して別れを惜しんだ。どうして、ここまでレンがマエズラ族に好かれるのかよくわからない。レンを美しいという彼らの美的感覚もおかしいが、レンを女神としてあがめる精神も理解しがたいものがある。彼らは強い人間を本能的に敬う精神があるのかもしれない。それと、サウナと食に対するこだわりも異常である。とにかく訳の分からない種族である。でもまあ、レンを気に入ってくれているので良しとした。

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